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848話 サンドクリーナー退治

 リオ達が望んでいたサンドクリーナー討伐の依頼が来た。

 ザッパー号の前方に二体のサンドクリーナーを発見し、向こうもこちらに気づいている様子だった。


「昼過ぎということもありサンドクリーナーの動きは鈍いですが二体いますので油断はできません」


 ギルド職員が簡潔に状況を説明し参加希望者を募る。

 リオが真っ先に手を挙げた。

 直後、ギルドルームの出入口付近から「ガハハハ!」とバカしたような笑い声がした。

 グレートヒーローズである。

 彼らは壁に格好つけてもたれかかりながらリオを見ていた。


「Cランクの依頼を達成できたのが自分達の力だと勘違いして調子に乗ってるようだな!クズども!」


 リオがぴくりと反応したのにサラは気づく。


「リオ、落ち着いて下さい」


 サラの努力は無駄に終わる。

 別の者が彼らにケンカを売ったからだ。


「ぐふ、おい警備員。クズ達が脱走してるぞ」

「「「誰がクズだ!誰が!?」」」


 戦闘態勢をとるグレートヒーローズをギルド職員が注意する。


「本当にいい加減にしてください!もう騒ぎを起こさないと言うから解放したのです。また問題を起こすようなら牢屋へ逆戻りですよ!」

「「「ざっけんな!!」」」

「こいつらが俺らを馬鹿にしたんだろうが!」

「あなた方が先に馬鹿にしたでしょう」

「ざっけんな!俺は本当のことを言ったまでだ!」

「「だな!」」

「とにかく静かにしてください!デスサイズの皆さんもですよ!」

「わかりました」


 返事したのはサラだけだった。

 とりあえず静かになったのでギルド職員は先に進めようとした。


「デスサイズの皆さんも参加したいとこのことですが、」

「図に乗んなって言ってやれ!」

「Fランクのお前らにゃ無理だとな!」


 グレートヒーローズがすぐさまヤジを飛ばし「ガハハ!」と笑い飛ばす。

 ヴィヴィがボソリと呟く。


「ぐふ、奴らの記憶力は鳥以下だな」


 ギルド職員はヤジを聞き流してリオ達に尋ねる。


「本当によろしいのですか?」


 サンドクリーナーは強敵だ。

 サラ達の正体を知っているギルド職員はサラ達が戦いの中で神聖魔法を使わざるを得ない状況が起きて探索者達に正体がバレることを危惧しているのだ。

 これはサラ達のためというよりこれ以上、揉め事を増やしたくないとの思いが大きい。

 リオがそのことに気づいたかどうかはともかく、その問いに無表情で、「ああ」と返事した後で更に続ける。


「俺達で一体を倒す。なんなら二体とも倒してもいい」


 その言葉に反応したのはギルド職員ではなかった。

 

「ガハハハ!まじでこいつ馬鹿だ!」

「サンドクリーナーのことを全然分かってねえ!」

「あれはな、遠距離から魔法で攻撃して倒すのが基本なんだぞ!」

「お前らに魔術士はいんのか?あん!?」


 珍しく彼らの言っていることは正しい。

 サンドクリーナーの体は弾力があり物理攻撃は効きにくい。

 凶悪な噛みつき攻撃もあるため、距離をとり魔法による攻撃で仕留めるのがセオリーであった。

 それに対してデスサイズのパーティ構成は見た目は戦士三人に魔装士と接近戦に特化しているように見える。

 ギルド職員がリオを見る。

 グレートヒーローズの指摘を全く気にしているようには見えない。

 それだけの自信があると判断した。

 実際、リサヴィのこれまでの戦績がそれを証明している。


「……わかりました。では参加者が少ない場合に限りデスサイズの皆さんの参加を許可します」


 いくら参加者が少なくとも力不足の者を依頼に参加させることはない。

 そのことからこの場にいる探索者達はリオ達がBランクの魔物を倒せるほどの実力者であると確信する。

 頭のおかしいグレートヒーローズもそのことは理解できたらしく「ガハハ」笑いをやめ口をぽかんと開けたあほ面状態で固まった。



 今回の討伐に参加の意思を示したのはアーヴィスが所属するBランクパーティ、サンドレインとCランクパーティが二組だった。

 流石にこれでは戦死者を出す可能性が高いと判断したギルド職員はデスサイズの参加を認めた。

 その後でもう一組のCランクパーティが参加を決め、サンドクリーナー退治はBランクパーティ一組、Cランクパーティ三組、そしてFランクパーティのデスサイズで行うことになった。

 振り分けだが、リオの希望通りデスサイズがサンドクリーナー一体を受け持つことになった。

 反対する者もいたがアーヴィスの口添えもあり、そう決定したのだった。


(……やはり、アーヴィスは私達の正体に気づいているわね。他の者達に知らせないのはこれ以上、問題を増やしたくないからかしら?)



 二体のサンドクリーナーは距離が離れており、共闘するのは難しいだろう。

 それは探索者にも言えることだ。

 二手に分かれて討伐を行うことになっているが、一方がピンチになったとしてもすぐには助けに行けないだろう。

 Cランクパーティの一組がリオ達の元へやってきた。

 

「よっ」


 それはデザートナイフのエルエルで、リオ達の参加が決まった後に参加することになったパーティでもあった。


「やっぱ一組じゃ危険だからよ、俺達もお前達の方を担当することになった。よろしくな」

「よろしくお願います」


 返事したのはサラだけだった。

 デザートナイフの面々はデスサイズの他のメンバーの態度に機嫌を悪くしたがエルエルは気にせずサラに話しかける。


「さっきお前達のリーダー、リオだったか、が二体とも倒すとか大きく出たけどよ、実際どうなんだ?サンドクリーナーを倒したことはあるのか?」

「ありません」

「おいおい……」

「ですが馬鹿が戦っているのを見たことがありますので大丈夫だと思います」

「馬鹿って……そいつはどうなったんだ?ここにいるのか?」

「ぐふ、死んだ」


 その問いに答えたのはヴィヴィだった。

 

「そうか。じゃあ、今回は敵討ちと言えなくもないのか……ああ、だからリオは張り切ってるのか。なるほどな」

「「……」」


 エルエルはその者、カリスがサンドクリーナーに殺されたと勘違いしたようだが、ヴィヴィは訂正はしなかった。

 まあ、今の話の流れからならそう勘違いしても仕方ないだろう。

 サラも余計な情報を与える気はないので黙っていた。


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