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841話 フロッグ・ロック退治

 サンドシップが停止した。


「あれっ?止まりましたっ?」

「ぐふ、魔物でも発見したのだろう」


 ヴィヴィの予想通り、討伐依頼を発する際に鳴るベルが船内に響く。

 このベルが鳴ったら最低でもパーティメンバーの一人はギルドルームに集まる必要がある。

 無視した場合はペナルティを負うこともある。

 ただし、連続で依頼を受けることは推奨していないため、前回依頼を受けた者達はその限りではない。

 リオ達は初めてとのこともあり、全員で向かうことにした。



 リオ達がやってくると既に何組かのパーティが集まっていた。

 最初からギルドルームにいた者達もいるかもしれない。

 その後、数組がやってきたところでギルド職員が依頼について説明を始める。


「フロッグ・ロックの集団を発見しました。その数は十」


 フロッグ・ロックはEランクにカテゴライズされている魔物だ。

 カエルに似た姿をしており、その背に石を乗せているのが名前の由来だ。

 この石だが、ただの石の場合もあるが、中には珍しい鉱石を含んでいる場合もあり、運が良ければEランクの魔物とは思えない報酬を得ることもある。

 この依頼を受けられるのは基本的に CランクからFランクまでだ。

 基本的に、と前置きしたのは狩猟船には特別なルールが存在するからだ。

 例えばこの船内にBランク以上の探索者しか乗っていなかった場合、この依頼を受けられる者がいない。

 そういう場合に特別に依頼を受けられるようにするのだ。

 逆に低ランク探索者が本来受けることができない高ランクの依頼を受けることもできるが、こちらは死の危険が高くなるため許可することはほとんどない。

 ギルド職員の口から出た魔物の名を聞き、ため息やガッカリしたような雰囲気が流れる。

 その者達は高ランクの探索者だったのだろう。

 ギルド職員もその雰囲気には気づいたはずがそんな様子を微塵も見せずに続きを説明する。


「達成条件ですが、最低三体以上のフロッグ・ロックを討伐してください。なお、今回、初めて乗船された方もいらっしゃいますので補足しますと一体も倒せなくても他の者達で条件を満たせばペナルティはありません。もちろん、倒していなければ報酬もありませんが」


 サラはざっと探索者達を見回して確信する。


(実力がEランク以下の者はいないようね。とすればこれはFランクである私達が受けるべきでしょうね)


「この依頼受けましょう」

「ああ」


 リオが頷くの見てサラが手を挙げる。

 ギルド職員はサラを、そしてメンバーを見てから手にした書類に目を通す。


「皆さんは……Fランクパーティのデスサイズですね?」


 パーティ名を聞いて集まった探索者達から大なり小なり笑いが起きる。


「これはまた大きく出たなあ」

「死神かよお前ら」


 どうやらここいる探索者達は誰もリオ達の正体に気づいていないようであった。

 サラはほっとしたものの、とても恥ずかしい気持ちになった。

 メンバーの顔を見たが誰も恥ずかしがっている様子はなかった。

 ただし、ヴィヴィは仮面で顔が見えないので実際どうだったかは不明だ。


「皆さん、笑っては失礼ですよ」


 ギルド職員が探索者達を注意した後でサラ達に言った。


「ではデスサイズの皆さんお願いします」

「はい」


 他に参加者はいないと思っていたがあるパーティが参加を表明した。


「待て待て。俺らも受けてやるぜ」


 そう言って参加を表明したのはCランク探索者のパーティであった。

 その顔の出来は悪く、人をバカにしたような笑みを浮かべた姿から性格も悪いと察することができ、まずモテそうには見えない。

 彼らはリオ達が乗る前からこの狩猟船ザッパー号に乗船していた者達だ。


「お前らやめとけ」


 不機嫌な顔をして彼らが依頼を受けることを止めさせようとしたのはこれまた最初から乗船していた者達だ。


「なんだてめえ。俺らがどんな依頼を受けようが勝手だろうが」

「これはFランクの彼らのために用意された依頼だ。それぐらいわかるだろうが」

「わからんなあ」


 性格も悪いパーティのリーダーはこれ以上ないというくらいムカつく顔で言った。

 元の顔が悪いのも相まって相手に不快感を与える効果は絶大であった。


「お前!」


 注意した者は怒りを露わに席を立ったがギルド職員が仲裁に入る。


「おやめください」


 ギルド職員に注意され、立ち上がった探索者は不機嫌そうに席に着く。

 ギルド職員が性格も悪いパーティのリーダーに確認する。


「皆さんはグレートヒーローズですね」

「おう!」


 性格も悪いパーティ、もとい、グレートヒーローズのメンバーは元気いっぱいに腕を振り上げた。

 三人組のパーティ、グレートヒーローズの構成はその装備から判断するとリーダーが魔術士、大盾を持ったのが戦士、そしてスカウト(冒険者ギルドでいう盗賊)に見えた。


(でもここはカルハン。全員魔法が使えるかもしれないわね)


 他に依頼を受ける者はおらず、Eランクの魔物フロッグ・ロック討伐はリオ達デスサイズとグレートヒーローズで行うことになった。


「では討伐依頼を受けた方は乗船口で待機をお願いします」


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