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815話 シャイニングクリーナー討伐依頼を受け……

「ところでバカリスの話に出て来たのはリオだけですか?」


 サラの問いにギルド職員は首を横に振る。


「いえ。その他の方達も出て来ましたが、その、リオさんと同じく失敗談ばかりで活躍したのはカリスさんとサラさんだけだったとの事でした」

「全て妄想です。彼、以外が活躍しました」

「そ、そうですか。“ほら吹き”の二つ名は伊達ではありませんでしたね」

「はい」

「ぐふ」

「ですねっ」


 ヴィヴィがシャイニングクリーナーについて尋ねる。


「ぐふ、ラビリンスのことはウィンドに確認するとしてだ。そのシャイニングクリーナーは倒したのか?いや、倒せていないのだろうな」

「はい、その通りです……シャイニングクリーナーは強力で討伐に向かったパーティメンバーに重傷者がでて撤退したとのことです」

「ぐふ、その冒険者……いや、探索者の腕はどうだったのだ?」

「彼らはBランクの探索者で腕も確かだったんです。ですが、想定外のことが起きて動揺してしまい、そこをつかれてしまったそうです」

「想定外のこと?」

「シャイニングクリーナーがその剣を使ったらしいのです」

「えっ!?」

「そんなことが……」

「……ぐふ、ミミズの姿をした魔物が魔道具を使うか。人型ならともかく珍しいな」

「はい」


 ギルド職員が姿勢を改めて言った。


「そこでラビリンスの件とは別件で依頼したいことがあります」

「「「「……」」」」

「あなた方の手でシャイニングクリーナーを退治していただけないでしょうか?あのブラッディクラッケンをも倒したあなた方であれば間違いないでしょう」

「ぐふ、その場合、当然その剣、ナンバーズは私達がもらうぞ」

「ええ!?」


 ヴィヴィの言葉にギルド職員は酷く動揺する。


「何か問題があるのですか?」

「じ、実は先日、ナンバーズを発見した際には魔法王国へ必ず報告するようにとの連絡がありまして……」


 その言葉を聞いてサラは安堵する。


「報告するだけでしたら別に構いませんよね?」


 サラがリオに確認をすると小さく頷いた。


「ということですので問題ありません」

「え、ええとですね……」


 ギルド職員は苦しい表情で先を続ける。


「その、魔法王国はある機能を持つナンバーズを探しているらしいのです」

「ある機能?」

「はい。その機能については明かされていません。その、そういうことでして発見したナンバーズが探しているものならば買取、あるいは魔法王国が保有する別のナンバーズとの交換、ということになるのですが……」

「「「「……」」」」


 しばし、沈黙の後、アリスが口を開いた。


「交換と言いましたけどっ、それはっ能力の劣るものと交換ということですかっ?」

「いえ、そうとも限りません」

「そうなんですかっ?」

「はい」


 ギルド職員が説明する前にヴィヴィが口を開いた。

 

「ぐふ、ナンバーズには相性というものが存在する」

「相性ですかっ?」

「ぐふ、ナンバーズは強力な魔道具だ。誰が使っても一定の力を発揮するが、相性がよくなければ真の力を発揮できないと言われている」

「ヴィヴィさんのおっしゃる通りです」


 ギルド職員がリオを見た。


「リオさんはそのナンバーズの剣を使ったことがありますか?もし、あるのでしたら何か感じたことはありませんでしたか?」

「俺は使っていない」


 サラが補足する。


「あのナンバーズを使用したのはベルフィとバカリスだけです」

「ぐふ、ベルフィとはそこそこ相性が良かったように見えたな」

「確かに。ベルフィが使った時には何かの能力が発動していたように見えましたね」


 サラはその時のことを思い出しながら言った。

 サラ達の話を聞いてギルド職員が「なるほど」と頷く。


「リオさんとの相性は不明ということですね」

「そうですね」


 そこでリオが不意にくすり、と笑った。

 それは含みのある、どこかバカにしたような人を不快にさせる笑みだった。

 サラはそれに気づき、ムッとした顔をしながらリオに尋ねる。


「リオ、言いたいことがあるなら言ってください」

「別に。ただ……」

「ただ、なんですか?」

「俺はナンバーズならなんでもいい。相性なんて関係ない」


 そう言った直後、「いや、違うな」と発言を取り消す。


「ラグナを使う時に壊れなければなんでもいい。ナンバーズでなくてもいい」

「……そうですか」


 サラは他にも何かありそうな気がしたが話が逸れていきそうなので追求はしなかった。


「本人がそう言っていますので交換は問題ありません」

「そうですか」


 ギルド職員がほっとした表情をすると先ほど持ってきた書類の中からシャイニングクリーナー討伐依頼書を取り出した。

 ここでギルド職員は大きな過ちに気づく。 

 この依頼はBランクであり、Fランクのリオ達は受けられないことに。


「あの、やはり、優遇制度を利用しませんか?」

「必要ない」

 

 リオは即答した。

 リオ達は依頼を受けたいわけではない。

 ナンバーズを手に入れたいだけでシャイニングクリーナー討伐はどうでもいいのだ。

 ギルド職員は依頼を諦めて直近のシャイニングクリーナーの目撃場所を教えるに留めた。


「ナンバーズを発見したら必ず連絡してくださいね」


 と念を押して。


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