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81話 GHの本気

「それでそっちはどうだった?」


 ベルフィの問いにサラが代表して説明する。

 現在の場所はナックの言った通りだった事とサラ達の出た場所はサンドクリーナーの縄張りらしく、余力を残しておかないと脱出が厳しい事をだ。

 話を聞いて真っ先に声を上げたのはカリスだった。

 

「心配するなサラ!サンドクリーナーなんて俺が軽く仕留めてやるぜ!」


 とカリスがキメ顔をサラに向けるが、効果は全くなかった。

 サラは表情を変えずカリスに質問する。


「と言う事はカリス、あなたはサンドクリーナーを倒した事があるのですね?」

「ない!だが任せておけ!俺を信じろ!」

「「「「「「……」」」」」」


 これにはサラだけでなく、皆が呆れた。

 サラはベルフィとナックに顔を向ける。

 

「ベルフィとナックはどうですか?」

「お、おいっサラ!」


 不満顔のカリスをサラはスルー。


「俺はない。ナックはどうだ?」

「俺はあるぜ」


 ナックがサンドクリーナーと戦った事があったことをウィンドのメンバーも知らなかったようで驚きの表情をする。

 カリスが悔しがってナックの言葉を疑う。

 

「ナック!お前、サラにいいとこ見せようと嘘ついてんじゃないだろうな!」


 ナックが呆れた顔をする。

 

「なんでそんな事すんだよ。俺はもう十分いいとこ見せまくってるから必要ないぜ。な?」

「そうですね」


 ナックの軽口にサラが感情を込めず返事して塩対応する。

 

「おお、冷てえ」

「それでナック、本当なんだな?」

「おいおいベルフィもかよ。本当だぜ。忘れたか?俺、カルハンの王立魔術学校出てんだぞ」

「ぐふ?」

「え?そうなんですか?確かそこは大陸一と呼ばれる魔術の名門校ですよね?」

「おお、その通り。実は俺、すげえエリートな訳よ。ああ、俺は教団に敵対しないから安心していいぜ」

「いえ、そんな事は心配していません」

「おう、そうか。でだ、実技でサンドクリーナー討伐をやらされた訳だ。ありゃキツかったな。なんせアイツの皮膚、硬くて弾力もあるって反則級でよ、剣も魔法も効きにくいんだぜ」

「その時はどうやって倒したのですか?」

「ま、なんだかんだで口を開かせて、その中にファイアボールをぶち込んで中から焼いてやった」

「ぐふ。なるほど。いい作戦だ」

「だろ?」

「そうなんだ」

「タイミングを合わせる必要はありますが、確かに有効な作戦ですね」


 サラが感心してる様子にカリスの機嫌が悪くなる。

 自分以外がサラに褒められるのが我慢できないのだ。


「もういいだろ!ベルフィ!迷宮攻略に行こうぜ!」

「ああ」

「今度はサラもだ!」

「……」


 しかし、サラの反応は鈍い。

 ローズが軽蔑した目をカリスに向けて口を開く。


「あたいは行かないよっ!」

「おいおいローズ、トラップあったらどうすんだよ?」


 ナックの問いにローズがプイッと顔を背けて言った。

 

「まずはあのエロスライムを一掃してきなっ!あたいはそれからさっ!」

「おいおい……」

「私もちょっと。ガールズハンターがそれほど強くないのであれば、ローズの言う通り男性陣だけでどうぞ」


 サラもローズに同意する。

 それを聞いてカリスが慌てる。


「いやっ、大丈夫だサラ!お前は俺が守る!俺がなっ!」


 カリスがキメ顔をするが、その必死さは逆効果だった。


「ぐふ。サラ、あれだけお前の裸を見たがっているのだ。行ってやってはどうだ?」


 ヴィヴィの言葉にカリスが真っ赤になって否定する。

 

「馬鹿野郎!何言ってんだ棺桶持ち!違うぞサラ!俺はそんなこと考えてない!俺が活躍する姿を見せてやろうと思ってだなっ」

「結果だけで十分です」


 サラは無表情に言った。

 

「さらぁ」


 いつもはケチをつけるローズもサラの意見に同意する。

 

「ほらっ、さっさと行って来なっ!日が暮れるよっ!」


 今回、女性陣の結束が固かった。

 結局、二度目の探索は女性陣の猛反対を喰らい、ベルフィ、カリス、ナックの三人で挑戦する事になった。

 男のリオが外されたのはトラップに引っかかりやすいと判断されたからだ。

 ヴィヴィは呼ばれなかった。呼ばれたとしても従ったかは微妙だが。



 ベルフィ達がガールズハンターに近づくとガールズハンターの全身が水色から赤色に変化した。


「ん?さっきはあんな変化しなかったな」

「こけおどしだぜっ!さっさと倒しちまおうぜっ」


 今回のカリスはサラに結果を見せろ、と言われてやる気満々だった。


「やるぞベルフィ」

「ああ」


 ナックがファイアアローを放つ。

 ファイアアローはガールズハンターに命中するが、体内に吸い込まれるように消え、ダメージらしきものはない。


「なっ!?嘘だろ!吸収しやがった!?さっきはこれで死んだだろう!?」


 ガールズハンターが攻撃範囲に入ったベルフィに襲いかかった。

 ベルフィがガールズハンターの体当たり攻撃を盾で受ける。

 体重差があり、吹き飛ばされはしなかったが、盾から煙が出て体当たりを受けた箇所が溶け出していた。

 カリスがガールズハンターに大剣を振るう。

 命中したがノーダメージで逆にカリスの大剣からベルフィの盾と同じく煙が上がった。


「魔法防御を破壊しただと!?」

「誰だっ!ガールズハンターが大した事ないって言った奴は!?」

「お前だ!」


 ナックが防御の呪文を用意する。


「離れろっベルフィ!カリス!」


 ナックがアースウォールを唱え、ガールズハンターとベルフィ達の間に土の壁を作った。

 ガールズハンターが土の壁に体当たりする音が聞こえると同時にピリっと土で作った壁に亀裂が入った。


「長くは持たないぞ!どうするっ!?」

「撤退する!」

「待てベルフィ!こんなんじゃ俺の活躍を期待しているサラに会わせる顔がないっ!」

「そんな事言ってる場合か!退くぞ!」


 アースウォールが崩れガールズハンターが姿を現すのを見てカリスも嫌々ながらもベルフィの命令に従い撤退した。


「俺がこんなところで死んだらサラが悲しむからなっ!今帰るぞサラ!」


 カリスの叫び声を聞き、ベルフィとナックはなんとも言えない顔をした。



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