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785話 クズ達の抗議活動

 試験を終えた者達が遺跡探索者ギルドを出るとその前で抗議活動が行われていた。

 その者達の要求が入会試験のやり直しであることから彼らは入会試験に落ちた者達であることがわかる。

 抗議する者達の中には先程の試験で途中退場、いや、それだけでなく、試験前に退場した者達も多く含まれていた。

 彼らは単純に試験のやり直しを要求していたわけではない。

 それでは前回と同じ結果になるとわかっていたからだ。

 つまり、彼らは真面目に試験を受ける気がなく自分達の行動について何一つ反省していないということである。

 彼らの要求の一例を挙げると、

 試験の緩和、

 冒険者優遇制度の復活、もっと言えば冒険者はテスト免除

 である。

 彼らは自分達が合格するために遺跡探索者ギルド側に入会試験の改善(改悪)を要求したのである!

「要求が聞き入れられないならここまで来た旅費を全額払え!」と訴える自分勝手な者達もいた。

 それも一人や二人ではない。



 彼らは文句の端々に「俺らは誇り高き冒険者だぞ!」と冒険者であることをアピールし、そんな優秀な自分達が探索者になれないのはおかしいと訴えていた。

 サラはまだ合格したかわからないのであまり大きなことは言えないが、それほど難しい試験だったとは思わなかった。

 筆記試験などは少なくとも冒険者であれば知っていて当然、いや、知らなければおかしいものばかりであった。

 彼らが本当に冒険者なら何故規則を知らないのか不思議だった。

 ヴィヴィもサラと同じ疑問を持ったようだ。


「ぐふ、奴らは冒険者に不正合格してなったのかもな」

「そうですね」

「ですねっ」


 以前、元マルコのギルマス、無能のギルマスことゴンダスが賄賂を貰い不正合格者を生み出していた。

 それも試験結果にちょっと手心を加える、というような可愛いものではなく、冒険者に必須と言える文字の読み書きが出来ない者すら合格させていたのだ。

 ただ、その者達のほとんどは既に処分されたはずであった。

 今のマルコが不正を許すはずがないので他のギルド支部が不正を働いていることになる。

 その不正に関与したであろうギルド職員経由で依頼を受けていればバレることはなかったのだろうが、その者達は本来忘れるはずがない、不正合格して冒険者になったことを綺麗さっぱり忘れて探索者になろうとはるばるバイエルまでやって来たようである。



 サラ達と同じ部屋で試験を受けていたクズ冒険者がサラ達の姿を見つけて騒ぎ出す。


「てめえら!自分達だけのうのうと試験を受けやがって!」

「卑怯者め!」

「俺らを見捨てて自分達だけ受かろうなんて恥を知れ!恥を!!」


 これ以上ない言い掛かりであり八つ当たりであった。

 サラ達が口を開くよりギルド警備員の方が早かった。


「本当にお前達が冒険者ならこんな無駄なことに時間を費やさず依頼の一つでも受けたらどうだ!?」

「お前はバカか!?」

「受けようにもお前らが俺らを理不尽にも不合格にしたんだろうが!!」

 

 その言葉に集まったクズ達が「だな!」と叫んだ。

 ギルド警備員が唖然とした表情をしたもののすぐに我に返り、頭を押さえながら言った。


「だからお前達は冒険者なんだろ。依頼と言ったら冒険者ギルドの依頼に決まってるだろう。なんで探索者の依頼だと思った?」

「ざけんな!」

「落ち目の冒険者ギルドにはな!俺らに見合う依頼がないんだ!」


 再び「だな!」の大合唱。

 

「冒険者ギルドに文句があるなら冒険者ギルドに言え。それが嫌なら他の街で依頼を受けろ」


 今度は「ざけんな!」の大合唱が起きた。

 ギルド警備員達は実力行使をしたかったがここに集まっているクズ冒険者達の数はぱっと見で五十名近くいる。

 試験のときの彼らは武器を持っていなかったが今は武器を装備しており、排除するならそれなりの覚悟が必要だ。

 そのことに人の弱みを探すのが得意なクズが気付かぬはずがない。

 彼らはデカい態度で自分勝手な要求を通そうとする。

 だが、彼らの行動もそこまでだった。


「いい加減にしろ!お前達!!」


 クズ冒険者達が騒ぎを起こしているとの連絡を受けた冒険者ギルドのギルド警備員達が駆けつけてきたのだ。

 形勢逆転、焦るクズ冒険者達は彼らを呼んだと思われる遺跡探索者ギルドのギルド職員達を怒鳴りつける。


「卑怯だぞてめえら!」

「冒険者ギルドは関係ねえだろうが!」

「恥知らずどもが!」


 先程は冒険者であることをフル活用しようと冒険者優遇制度復活及びテスト免除を要求した者達とは思えない発言であった。

 しかし、何も驚くことはない。

 クズは皆恥知らずなのだ。

 自分の言葉にこれっぽっちも責任を持たないのである。

 彼らに答えたのは冒険者ギルドのギルド警備員達だった。


「本当にいい加減にしろ!恥知らずのクズどもが!」


「誰がクズだ!誰が!?」と仲良く全員で叫ぶ。


「お前達だ!お前達!」


「ざけんな!!」の大合唱が再び起こった。


「そんなに冒険者ギルドが嫌ならすぐに退会させてやるから冒険者カードを出せ!」

「ざけんな!そんな横暴が許されると思ってんのか!?あん!?」

「てめえのような下っ端にそんな権限があるんのか!?あん!?」

「ギルマスのご命令だ!!」


 この言葉は流石にクズにも効果覿面であった。

 彼らクズ冒険者にとって冒険者ギルド会員であることが最後の砦である。

 万が一にも退会させられたらただのクズとなってしまうので(本人達はクズだと思っていないが)文句を言いながらもその場から逃走した。


「捗ります!!」


 いつからいたのかイスティが嬉しそうにメモ帳にペンを走らせる。

 そんなイスティをサラはジト目で見ながら言った。


「なんか疲れましたね。早く宿に戻って休みましょう」

「ですねっ」



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