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766話 破壊の剣の反省会 その2

 ガックリしているフルーダを横目にジットが話題を変える。

 

「ところでさ、フォトトナ。リオはフォトトナのこと“ライネ”って呼んでたよね。あれってどういう意味?」

「……」

「いやっ、言いたくなければ無理に話さなくていいぞ」


 フルーダが慌ててフォトトナのフォローをする。

 フォトトナがフルーダに首を振る。

 

「いえ、いいのです。私も皆に謝らなければならないと思っていたことがありましたのでそのこともあわせてお話ししましょう」


 フォトトナが何を謝罪するのか皆見当もつかない。


「まずは“ライネ”についてからですね。私はジュアス教団に入団した際に新しい名を得ました。それが今名乗っているフォトトナです」


 そこでグースはピンときた。


「なるほど。つまりライネっていうのはお前の昔、というか元々の名前か」


 グースの答えに皆が納得した。

 しかし、


「違います」


 とフォトトナは否定した。


「何?違うのか?」

「グースも気が短いな。最後まで聞きなよ」

「そ、そうだな。すまない」


 フォトトナは「いえ」と言った後で話を続ける。


「ライネとは私が最後まで悩んで選ばなかった方の名前です」

「ちょっと待て」

「それはどういうことだ?」


 最後まで聞きなよ、と言ったジットまで思わず突っ込む。


「その場にリオがいたってこと!?」


 フォトトナがジットに首を横に振る。


「そのような事はありません」

「じゃあなんでその名をリオが知ってるんだ?」


 そこでジットがハッとした顔をする。


「まさか……」


 フォトトナが頷く。


「おそらく彼は私がライネとなった未来予知を見たことがあるのだと思います」

「待て待て!未来予知を見たって事はあいつはジュアスの神官なのか!?」

「未来予知を見るのは神官だけではありません。ジュアス教徒に限ったものでもありません」

「え?そうなのか?」

「はい。有名なところでは六英雄の一人、ユーフィ様も未来予知を見られたことがあるということです」

「ああ、聞いたことあるよ。言われてみればそうだったね」


 そう言った後、ジットが「あれ?」と首を傾げる。


「今の話ちょっとおかしくない?」

「どこがおかしいんだ?」

「リオはその未来予知いつ見たんだろう?」

「「!!」」

「……」


 ジットがどこに疑問に思ったのか具体的に直接言葉にする。


「フォトトナが教団に入団したのって十年以上前だよね」

「そうですね」

「それより前にリオは未来予知を見たことになるけどそのときリオは何歳だったんだ?そんな昔のことを今まで覚えてたってこと?」

「確かに言われてみればそうだな。俺だったらそんな昔に見た夢のことなんか覚えてないだろうな」

「おい、フォトトナが嘘をついてるって言いたいのか!?」

「まさか。そんなこと全く思ってないよ。ボクは言葉通りリオに疑問を持ってるんだ」


 ジットはもう一つの可能性を口にする。


「もしその未来予知を最近見たと言うならそれは現在の先にある未来とは全然違ってることになる。フォトトナ、そんなことってあるのかな?」


 フォトトナは首を横に振る。


「少なくとも私はそのような矛盾した未来予知を見たことはありません」

「そっかあ。なんか不思議な奴だよね、リオって」

「リオがいつ、その未来予知を見て私とどう関わったのかわかりませんし、ここで議論したところで意味もありません」

「確かにそうなんだけどさ!ボクはすごく気になるよ!!ああ!!できるものなら今すぐリサヴィを追いかけてリオに聞きたいよ!」

「できるわけないだろ」

「わかってるよ!!」


 ジットが不満そうだったが確かにフォトトナの言う通りリオ本人がここにいない以上、議論しても正解はわからないのでこの話はここで終わった。



 フォトトナが一度姿勢を改めてから話し始める。


「では私が皆に謝らないといけないことですが、私は今回の状況に酷似した未来予知を見たことがあるのです」

「なんだって!?」

「その未来予知で俺達はどうなったんだ?」


 フォトトナは少し間を置いて淡々と言った。


「私達はリオによって全員殺されました」

「「な!?」」


 ジットはフルーダとグースが大声で驚く姿を見たおかげで少し余裕が出来た。


「お、落ち着きなよ。ねえフォトトナ、その未来予知はもう起きないんだよね!?」

「はい」


 その言葉でフルーダとグースは落ち着きを取り戻す。

 フルーダが申し訳なさそうに言った。


「お前があそこで恥を忍んでリオに謝ってくれたお陰だな」


 フォトトナは首を横に振る。


「違うのか?」


 そこでジットは「ああ」と呟く。


「サラだね!」

「サラだと?」

「リサヴィの中でサラだけが必死に決闘を止めようとしてくれただろ」

「ああ、確かに言われてみれば」


 フォトトナはジットの考えを否定しなかった。


「恐らくですがサラも私と同じ未来予知を見ていたのだと思います」

「そうか。いや、なら納得だな」

「サラに感謝しないとな」


 フォトトナがもう一人追加する。


「アリスにもです」

「何?あのトンチンカンなことを言い出した顔だけで頭が弱いって噂の神官……神官服着てなかったけどあいつもジュアスの神官だよな?」

「ええ」

「でもさ、彼女は終始リオの味方だったよね」

「ですが、彼女のあの行動でリオの気が削がれて運命が変わった、そのように見えました」

「そ、そうなんだ」


 ジットは取り敢えず頷いたが納得できていないのは誰の目にも明らかだ。

 実際、他の者達も信じられないでいた。


「もちろん、アリスだけでも無理でした。そもそも彼女だけではあの行動を起こすことはなかったでしょう」

「確かにね」

「サラと私、そしてアリスの三人が行動を起こしてやっと運命を変えることができたのです」



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