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悪夢を振り払え〜あなたを魔王にはさせません!〜  作者: ねこおう
第2部 ウィンド編

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76話 ラビリンス攻略前夜 その1

 ラビリンス攻略の前夜、

 カリスはメンバーをリビングに集めて言った。


「ラビリンス攻略だが、リオは置いていこうぜ。奴には早過ぎる。はっきり言って邪魔だ」


 カリスの意見にナックが反対する。


「何を今更言ってんだ?リオは強いだろ。Cランクと言ってもおかしくない」

「言い過ぎだ!」


 カリスが不満顔でナックを睨む。


「そんな事はないぞ。ヴィヴィとの息なんかピッタシだしな。あの二人が連携すればそうそう遅れは取らないと思うぞ」

「棺桶持ちがいればだろ。一人じゃまだまだだ!」


 カリスがリオを貶めようとする理由を皆わかっていた。

 リオの強さがどうこうではなく、サラといつも一緒にいるのが気に食わないだけなのだ。

 だが、下手に指摘して機嫌を悪くし、明日から始まるラビリンス攻略に支障をきたすと困るので皆黙っていた。

 

「あたいはカリスに賛成だねっ」


 カリスは援軍を得たとばかりに満面の笑顔をローズに向ける。


「だよなっ!」


 しかし、ローズの意見はカリスと全く同じというわけではなかった。


「ただし、置いてくのはリオだけじゃないっ。あの三人全員だよっ!」


 それを聞いてカリスは無意識に立ち上がって反論する。


「それはダメだ!サラだけは連れて行く!絶対にだ!」

「「「……」」」


 カリスのあまりの必死な様子に皆、唖然とする。

 皆の表情を見て自分が取り乱している事に気づき、カリスは席に着く。

 ナックが呆れ顔で言った。


「お前らさ、個人的な感情で言ってないか?ラビリンス攻略に本当にアイツら必要ないか?」


 ローズが即座に言い返す。


「感情結構じゃないかっ!あのショタ神官はいつも威張っててムカつくし、棺桶持ちもどっか人をバカにしてるようでムカつくっ!それにアイツらは何を考えてるのかわからないのが一番気持ち悪いっ!」

「何を考えてるのかわからないのはリオもだろ」

「あいつは何も考えてないんだよっ!」

「おお、確かに。そう考えると似たもの同士のいいパーティじゃないか」

「ナック、真面目にやれ」

「おう、悪い」


 ベルフィにナックはぺこりと頭を下げる。

 カリスが口を開いた。


「神官は絶対必要だ!だからサラは絶対必要だ!あと、そうだな、棺桶持ちの奴は荷物持ちで役に立つだろうから連れて行ってもいい。だが、リオはダメだ!」

「「「……」」」


 ナックがため息をつく。


「なあ、カリス。お前さ、遺跡でリオに助けられたの忘れてねえか?」

「油断しただけだ!もう油断しねえ!」

「で、どうするんだい、ベルフィ」


 皆の視線を受け、ベルフィが結論を述べる。


「俺の考えは変わらん。ラビリンスには全員で行く」


 ローズはちっと舌打ちしたが、それ以上何も言わなかった。

 しかし、カリスは違った。


「ベルフィ!」

「だが、実際に決めるのは奴ら自身だ。俺は強制はしない。というかできんな。まだパーティメンバーでもないしな」

「……わかった」

「よしよし、これで問題解決だな」


 カリスはナックの顔を見ずにベルフィに言った。


「ベルフィ、奴らには俺から確認する。いいだろ?」

「「「……」」」


 カリスがまだ何かやる気だと皆が察する。

 カリスのサラへの異常な執着に皆内心ではうんざりしていた。

 ベルフィは何も気づかぬ振りをしてカリスに頷く。


「わかった。だが、強制はするなよ?」

「おうっ」


 カリスはそう言うと善は急げとでも言うようにリサヴィのいる宿屋へ向かった。



「……あれでよかったのか?」

「いいんだよっ。ベルフィが決めた事だよ。あんたも黙って見てなっ」

「うーん、なんか不安だなぁ」

「何がそんなに不安ないだい?カリスだってそろそろ脈がないと諦めんじゃないのかいっ?」

「そうかなぁ。俺の考えは違うんだけどな」

「どう違うんだ?」


 ベルフィが珍しく色恋話に加わる。


「いやな、カリスって女の扱いに慣れてないんだ」

「はあ?あんたもカリスも無節操にあちこちに女作ってるじゃないかいっ」

「いや、そうじゃなくてだな。確かにアイツは女にそれなりにモテるし、不自由はしてないと思う。俺には負けるがな!」

「あんたの下らない自慢はいいからさっさと先を話しなっ」

「ちぇっ……まあいいか。アイツは俺と違ってさ、自分から女口説いたことがないんだよ。向こうから言い寄ってくる女しか相手した事ないんだ。ああ、ちょっと捕捉すると明らかにカリスに気があるとわかる相手ならアイツから声をかけたことはあるぜ」

「……ああ、そう言う事かいっ。自分にまったく興味ない女を好きになったことがないんだねっ」

「そういうことだ。カリスは今まで勝てる勝負しかしてこなかったんだ。そのことに本人は気づいていないんだ。だからサラちゃんが自分のことを好きだと疑わない。……俺は何度か遠回しにサラちゃんはお前に興味ないどころか迷惑してると言ったんだけど効果ないんだよな」


 ベルフィとローズはナックがカリスに「サラちゃんはショタコンだから諦めろ」と言った時の事を思い出す。


「なあローズ、女のお前から見てどうなんだよ?今からでもカリスがサラちゃんに好かれる起死回生のアドバイスはないのか?」

「知らないねっ。あたいはあのショタ神官を見てるとムカムカして後ろから刺したくなるからねっ」

「おいおい、勘弁してくれよ」

「わかってるよっ」


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