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742話 待ち伏せクズ その3

 突然、決闘することが決まり店員や店にいた客達が怯えた表情をする。

 クズリーダーはその様子を見て自分達が絶対的強者だと勘違いしてしまった。

 クズは調子に乗ると際限がない。

 彼は絶対言ってはいけない言葉を口にする。


「決闘方法はデッドオアアライブだ!嫌だとは言わせねえ!!」


 自ら断頭台にスキップしながら飛び乗ったようなものである!!

 クズ冒険者達はデッドオアアライブになればリオが怖気付くと思っていた。

 もちろん、そんなことは全くない。

 リオは平然とした顔で答えた。


「俺もそのつもりだった」

「強がりを言いやがって!」

「もう取り消せねえぞ!!」

「わかったわかった」

「てめえ!なんだその態度は!?あんっ!?」

「そんなことよりたった三人で大丈夫か?」


 リオは珍しく彼らを気にかけるセリフを口にした。

 いや、違う。

 物足りないと感じたのだ。


「大丈夫だ!問題ない!」


 クズリーダーは深く考えずリオの問いに即答した後、三人で戦うことを卑怯だと思われないように周りの者にも聞こえるように大声で三対一で戦う理由を説明する。


「本当はてめえの相手なんか俺一人で十分なんだ!だがな、それじゃあ残りのもんがストレス残したままになる。だから仕方なく三人で相手してやんだ!」

「ほんとてめえなんか一人で楽勝なんだからな!!」

「そこんとこ勘違いすんなよ!!」

「わかったわかった」


 リオはどうでもいいように答えた。


(……このクズ達の未来は決まったわね。いえ、消えたわね)


 サラは内心そう思った。

 しかし、未来は違った方向へ動き出す。

 


 クズ冒険者達はもう決闘に勝ったつもりで勝った後の話をしだす。

 これまでのクズ達同様にサラとアリスをもらうというものだった。

 彼らはとても楽しそうだったが楽しい時間はすぐ終わりが来るものである。

 店を出た彼らをギルド警備員達が待ち構えていた。

 隊長が一歩前に出て言った。


「脅迫及び営業妨害の現行犯だ!覚悟しろよ!冒険者の面汚しのクズどもが!」

「「「なっ……」」」


 クズ冒険者達がサラ達に絡んでいるのを見た誰かが冒険者ギルドに通報したようだった。

 本来、街での事件は衛兵が対応するものであるが、悪さしているのが冒険者であるため冒険者ギルドが捕らえにやって来たのだ。

 彼らを捕らえた後、冒険者ギルドで取り調べを行い、衛兵に引き渡すことになるだろう。

 クズ冒険者達は決闘どころではなくなり慌てて言い訳を始める。


「ちょ、ちょ待てよ!」

「誤解だ誤解!」

「誤解だと?」

「そうだ!誤解なんだ!」


 クズ冒険者達はそう言ったもののまだ言い訳を思いついていなかった。

 そこへリオ達が店から出て来た。

 その瞬間、クズリーダーの”ク頭脳“が起死回生の作戦を叩き出した。

 クズリーダーがリオ達を指差して言った。


「こ、コイツらが冒険者だと偽って店員を脅して強引に素材を高値で売ろうとしやがったんだ!それを誇り高き冒険者である俺らが止めたんだ!!」


 クズリーダーのアドリブにクズメンバーが飛び乗る。


「リーダーの言う通りだぜ!」

「それを誰が通報したのか知らねえが勘違いしやがったんだ!」


 仕上げとばかりにクズ冒険者達がサラ達に顔を向け、声を揃えて言った。


「「「そうだよな!?」」」


 クズ冒険者達が話を合わせろと目をぱちぱちして合図する。

 

「「「「……」」」」


 何故リオ達が彼らクズのために嘘の罪を認めると思ったのか不思議だと思うだろうが相手はクズである。

 考えたら負けである。

 当然、リオ達は無視する。

 クズ冒険者達はリオ達に無視されて激怒した。


「なんで頷かねえ!?」

「お前ら話を合わせる頭も持ちわせてねえのか!?」

「頭悪過ぎんだろ!!」


 ヴィヴィが面倒臭そうに言った。


「ぐふ、お前達には言われたくないな」

「「「ざけんなー!!」」」


 必死に抵抗するクズ冒険者達だったがギルド警備員の方が力は上だった。


「待て」


 ギルド警備員達がクズ冒険者達をギルドへ連行するのに待ったをかけたのはリオだった。


「お前!」


 クズ冒険者達が満面の笑みを浮かべる。

 何故かリオが助けてくれると思ったようだ。

 もちろん、そんなわけはない。

 ギルド警備員の隊長が怪訝な顔をリオに向ける。


「なんだ?まさかこのクズ達を許してやれなんてバカなこと言わないよな?」

「俺がクズを助ける?そんなわけあるか」

「「「ざけんな!誰がクズだ!誰が!?」」」


 クズ冒険者達の喚き声は皆にスルーされた。


「ではなんだ?」

「俺はそのクズ達と決闘することになっているんだ。連れて行くのはその後にしてくれ」


 すかさずサラが突っ込む。


「リオ、決闘はデッドオアアライブです。決闘の後では彼らは死体になってますよ」


 リオが不思議そうな顔でサラを見る。


「何か問題があるか?」

「何かって……」

「サラ、お前はまさかこいつらが更生するとでも思っているのか?」

「それは……」

「このクズ達は生きている限り悪事を続ける。ならここで処理しておいたほうがいい」

「……」


 クズ冒険者達が「何が処理だ!?」と喚くが誰も相手にしない。

 確かにリオの言う通りであった。

 余程の余罪がない限り処刑されることはないだろう。

 恐らく冒険者ギルドを退会処分となり罰金を払って街から追放というところだろうか。

 彼らが冒険者でなくなってもその力が消えるわけではない。

 クズとはいえ冒険者の端くれだ。

 一般人よりは強い。

 実際、冒険者崩れの野盗が増えていると聞く。

 サラはリオの言うことに反論出来なかった。



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