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704話 バルバール海賊団

 ヤーべがへろへろになりながら戻ってきた。

 怪我はサラによって治療されているが疲労はそのままなのである。


「私が何をしたというのよ」


 ヤーべの呟きにアリスが反応した。


「わからないんですかっ?」


 得意満面の笑顔のアリスにヤーべが驚いた顔で尋ねる。


「えっ?アリスはわかるのですか?アリスが?アリスがですか?」

「なんか失礼ですねっ」


 ムッとしたアリスを見てヤーべは失言に気づく。


「失礼しました。それで教えてもらえますか?私の何がサラを怒らせたのでしょう?まったく身に覚えがありません」

「簡単なことですよっ」


 アリスはそう言った後で自信満々に言葉を続けた。


「リオさんを一人占めしたからですっ!」


 その話を聞いていたサラはコケそうになった。


「え!?そうなの!?」


 アリスが大きく頷く。


「サラさんは独占欲が強いんですっ。私もいつも苦労してますっ……痛いですっ」


 アリスはサラにどつかれ頭を抱える。


「ぐふ、図星を突かれて思わず手が出たか」

「……あなたも殴られたいようですね」

「ぐふぐふ」



 サラとヴィヴィが睨み合っているをヤーべが眺めていると女傭兵達がそばにやってきた。


「お疲れ」

「よくがんばったよ」

「お姉様方!」


 ヤーべがお姉様方?に文句を言う。

 

「酷いです!なんで助けてくれなかったんですか!?」

「あんたが言い出したことだろ」

「それはリオだけです!」

「まあまあ。男も女も嫉妬してる奴は面倒だからね」

「それに理由はどうあれあんたを鍛えたことには変わりはないだろ」

「そ、それはそうですが……」


 女傭兵達の言っていることは嘘ではないがその思いは十パーセントほどだ。

 残りは下手に手を出してリオの怒りを買うのが恐かったのだ。


「あんたはもういいから帰って休みな」

「そうは行きません!」

「なに?」

「忘れないうちに教えられたことをしっかりd書き留めておかないと!」

「あんたのその復讐心には感心するよ」

「そうね」

「当然です!私は残りの人生をクズ抹殺に捧げると誓ったのですから!」



 財宝探しは日が暮れるまでと決まりが設けられていた。

 辺りが暗くなると魔物と人の判別が難しく警備の邪魔になることが主な理由だ。

 日が暮れリオ達は宿屋へ帰った。

 今夜見張りの兵士達が浜辺から人々を追い出しにかかった。

 とは言え、その頃にはほとんどの者達が引き上げていた。

 彼らとて星の光だけで財宝を探すなど不可能なのだ。

 それでも兵士達に急かされ一旦は引き上げたものの、こっそり戻って来てマナランプや松明を照らしながら財宝探しをする者達が何人かいた。



 これまで魔物の襲来は起きておらずその気配もない。

 兵士達が対応したことと言えばブラッディクラッケンの体から溢れたと思われる財宝を巡っての争いの仲裁くらいだ。

 そのほとんどは街の外からやって来た者達であった。

 それもリサヴィがやって来てからぐっと減った。

 このまま何事もなければ警戒体制を解くのも時間の問題だろうと誰もが思っていた。



 夜が明けた頃、それは現れた。

 最初に気づいたのは魔道具、望遠くんで沖を見張っていた兵士だった。


「なんだあれは!?」

「何!?どこだ!?」


 その兵士が仲間に望遠くんを渡し、ある方向を指差す。


「……あれは船?……まさか!?」


 やって来た船は全部で三隻。

 全て大型船だ。

 この港街に大型船が現れるのは約百年ぶりであった。

 久しぶりにやって来た船だが、歓迎すべき相手ではなかった。

 その船が掲げる旗を見て兵士達が恐怖に顔を歪ませる。

 それは海賊旗であった。

 それも悪名高きバルバール海賊団の旗であった。

 


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