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680話 傭兵団との再会

 ヤーべはリオがぶっ飛ばしあほ面晒して気絶していたクズリーダーを見て言った。


「私が止め刺してきますね」

「は?」


 ヤーべは腰に差していた短剣を抜くとスキップしながらあほ面の元に向かう。

 そして手にした短剣であほ面の喉を掻っ切ろうとした。

 その行動は冗談ではなく本気だった。

 サラが止めるのが後一歩遅かったらクズリーダーは間違いなく死んでいただろう。

 不満顔のヤーべにサラが説教する。


「あなたは一体何を考えているのですか。クズとはいえ街中で殺せば兵士に捕まりますよ」

「すみませんでした」

「わかってくれましたか」

「ええ。あそこはデッドオアアライブの決闘に持ち込むべきでしたね。リオ、あなたの失策だとサラが怒っています」

「ん?」

「そうではありません」

「なるほど。一旦街の外へ誘き出すのが正解ですか。確かにその方があのあほ面だけでなく他のクズ達もまとめて一掃できましたね!流石サラ。クズ抹殺スペシャリストですね!」

「誰がスペシャリストですか!」

「リオ、次からはそのように誘導して下さいね」

「ん?」

「だからそうではありません!」

「確かにそうですね。その役目はヴィヴィの方が適任ですね!」

「ぐふ」

「流石サラです!」

「あなたねえ……」


 サラがヤーべの暴走に頭を抱えていると先ほど逃げ去ったクズの何人かがコソコソと戻って来た。

 サラ達に見つかると卑屈な笑みを浮かべながらあほ面を担いでその場から去ろうとする。

 その行動にヤーべが激怒する。


「あっ!?待てクズっー!そのあほ面を置いて行けっー!私に止めを刺させなさーい!!」


 サラが激昂したヤーべを押さえ付けている間にクズ達はあほ面を抱えて逃げ去っていった。


「あなた、本当にいい加減にしなさい」


 サラは疲れた顔で言った。



 そこへ新たな一団が現れた。


「久しぶりだな。リサヴィ」


 それはかつてアズズ街道の入口でリサヴィに喧嘩を売って返り討ちにあい、ボコボコにされた傭兵団であった。

 彼らを見たリオが首を傾げる。

 副団長は自分達を恐怖のどん底に突き落とした存在であるリオとの再会を内心びくびくしていたのだが、リオの反応を見て拍子抜けした。

 忘れられているということは取るに足らない存在だと言われたようでショックだったが、それ以上にラッキーと思う方が大きかった。

「その方が話がスムーズに進むぜ」と思った副団長だがヴィヴィがその思いを打ち砕く。


「ぐふ、アズズ街道で私達に絡んできたクズ傭兵どもだ」

「……ああ」


 リオの表情が微かに変化した。

 副団長が慌てて謝罪する。


「ちょ、ちょっと待ってくれ。あれは本当に俺達が悪かった!だからもう水に流してくれ!」

「どうでもいい」


 リオの言葉を聞いて内心ほっとする副団長と団員達。


「そ、そうか」

「ぐふ、それで何か用かクズ」

「ちょ、ちょっと待ってくれよヴィヴィ。俺達のことをクズ呼ばわりするのは勘弁してくれよ」

「ぐふぐふ」


 サラが本題に戻す。

 

「それで私達に何か用ですか?」

「ああ。だが、まずはそっちのお嬢さんのほうからだ」


 そう言って副団長がヤーべを見た。


「お嬢さん、あんた、ヤーべだよな」


 ヤーべが不信感丸出しの目で副団長を見た。


「……私はあなた達のことなど知りませんが」

「だろうな。初対面だからな」


 副団長が用件を話し始める。


「実は俺達よ、あんたの兄貴から連れ戻すように依頼を受けてるんだ。嘘じゃないぜ。あんたの兄貴から手紙も預かってる」


 そう言うと副団長は懐から手紙を取り出しヤーべに渡す。

 ヤーべは手にしていた短剣で封を切り、サッと目を通す。


「……確かに兄の筆跡ですね。しかも兄が言いそうなことが書かれています」

「信じてくれたようだな。じゃあ、俺達と一緒に帰ろうぜ」

「嫌です」

「そんなこと言わないでよ。リサヴィだってあんたみたいな新米冒険者がいたら迷惑だぞ。そのくらいわかるよな?」

「ええ」

「だろ?なら……」

「でもリサヴィの皆さんはそれをわかって私をパーティに加えてくれたのです!」


 そう言ったヤーべの顔はなんか誇らしげだった。

 その言葉を聞いて傭兵団全員が驚きの表情をする。

 傭兵の一人は驚きのあまり踊りを始めるくらいである!

 ……あ、その傭兵は頭がおかしくて勝手に踊り出しただけで今の話とは全く関係なかった。


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