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640話 クローズドサークズ

 最初にリサヴィ派を名乗ったクズパーティのクズリーダーが顔を真っ赤にしながら言葉を発した冒険者の前にやって来ると指差して叫んだ。


「てめえがクズ冒険者だ!」


「だな!」と自称リサヴィ派のクズ達が同意する。

 その冒険者はクズ達に囲まれながらも平然とした表情で言った。


「クズを見たけりゃ鏡見ろ」

「ざけんなっー!!」


 クズリーダーがその冒険者に殴りかかろうとしたところでギルド職員の注意が飛ぶ。


「ケンカはおやめください!!」

「……ちっ」


 クズリーダーは仕方ないと握った拳を収めたもののその冒険者を睨んだままだった。

 その冒険者は相手にしてられないとギルドを出て行った。

 それを見てそのクズパーティが後を追いかけて行った。

 その場に残った自称リサヴィ派の二組のクズパーティが笑った。


「あのクズ野郎、終わったな」

 


 次の日。

 自称リサヴィ派のクズ冒険者達を馬鹿にした冒険者が冒険者ギルドにやって来た。

 自分達よりランクが下のマトモな冒険者達に難癖つけていた自称リサヴィ派の二組のクズパーティが彼に気づき、無事だったことに首を傾げる。


「おい、てめえ!」


 目の前に現れたクズパーティの顔を見てその冒険者はつまらなそうに言った。


「なんだまだ殺し合ってなかったのか。さっさと殺し合ってあの世へ行けクズ」


「ざけんなっー!!」の大合唱が二組のクズパーティから起きる。


「あいつらはどうした!?」


 詰め寄る一方のクズパーティのクズリーダーにその冒険者は首を傾げる。


「あいつら?」

「お前を追いかけて行っただろうが!」

「知るか。なんで俺がクズの管理しなきゃならないんだ」

「ざけんなっー!」

「ケンカはおやめ下さい!」


 ギルド職員がやって来てその冒険者からクズ冒険者達を引き剥がす。

 その冒険者はため息をついて言った。


「ったく、落ち着いて依頼も見れねえのかよ」


 その冒険者が冒険者ギルドを後にする。


「待ちやがれ!」


 馬鹿にされたクズリーダーのクズパーティが彼の後を追って出て行った。

 残った自称リサヴィ派の最後のクズパーティが笑いながら言った。


「あのクズ野郎、今度こそ終わったな」

「「だな!」」



 更に次の日。

 自称リサヴィ派のクズに絡まれていたあの冒険者が再び冒険者ギルドにやって来た。

 自称リサヴィ派の最後のクズパーティはまたも彼を追いかけていったクズパーティが消えた事で流石に何かおかしいぞと怯えだす。


「て、てめえ、やりやがったのか!?」


 クズパーティのクズリーダーが虚勢を張っているのは誰の目にも明らかだった。


「何言ってるのかさっぱりだ」


 そう言った冒険者は自分の発した言葉が気に入ったらしく、


「今のはリオさんらしかったな」


 と笑う。

 

「何がおかしい!?お前の後を追いかけていったあいつらはどうしたって聞いてんだぞ!!」

「そりゃ処分されたんじゃないか……本物のリサヴィ派によ」

「「「「な……」」」」

「よく聞けクズ。本物のリサヴィ派はな、こんな目立つところで名乗ったりしないそうだぜ」

「ま、まさか、お前、お前が……」


 その冒険者が笑みを浮かべた。

 クズパーティはその冒険者の笑みに狂気を見た。


「「「ひっ」」」


 彼らは自分達がリサヴィ派の標的にされていると察した。

 

「お、俺らはクズじゃねえ!俺らが保証する!!」

「「だ、だな!!」」


 そう言った途端、ギルド中から笑いが起こった。

 彼らにはギルドにいる冒険者が全員リサヴィ派に見え、悲鳴を上げると冒険者ギルドから逃げ出した。

 その冒険者は彼らの後ろ姿を楽しそうに眺めながら呟いた。


「どこへ逃げる気だ。お前らクズが作ったこのクローズドサークズからよ」



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