637話 中間地点のキャンプスペース
休憩を終えて先に進むと結界が消えていたが幸いにも魔物に襲撃されることなく再起動に成功した。
そして、アズズ街道の中間地点にあるキャンプスペースに到着した。
「やっと着いた……」
魔術士ギルドの男Bが疲れた表情で言った。
と言っても仮面で顔は見えないが。
カレンの女リーダーが魔術士ギルドの者達に確認する。
「これでオッフル側の結界の確認はすべて終了したのね?」
「ええ!これで私達の任務は完了よ!やっと帰れるわ!!」
魔術士ギルドの女がぴょんぴょん跳ねて喜びを表す。
「ではここから先はフェランギルドが依頼した冒険者達が警備を担当しているということですね?」
「そうです」
サラが先の様子を見ながら言った。
「見える範囲では結界は正常に動作しているようですね」
魔術士ギルドの女はサラの言葉を聞いて不安を覚えた。
飛び跳ねるのをやめてサラに尋ねる。
「ねえサラ、まさか、フェラン側も確認するとか言わないわよね?」
「といいますか……」
サラが最後まで言う前にリオが言った。
「俺達はこのままフェランに向かう」
「ええ!?フェラン側は担当外でしょ!フェラン側はフェランに任せておけばいいじゃない!」
「ぐふ、私達は黒歴……」
「カレンよ!カレン!」
「ぐふ、と違い依頼を受けているわけではないのでどう行動しようと自由だ」
「ですねっ」
「そ、そんなあ……じゃ、じゃあ、黒れ……カレンの皆さんは帰りますよね?ね?ザブワックも倒したんだし!」
魔術士ギルドの女はカレンのメンバーに睨まれ、強張った笑みを浮かべながら(と言っても仮面で顔は見えないが)パーティ名を訂正して確認する。
カレンの女リーダーが不機嫌な顔をしながら言った。
「まあ、そうなんだけど結界復旧がオッフル担当範囲までか確認し忘れてたわ」
「口頭での依頼だったしね」
「だ、大丈夫よ!フェラン側を警備してた冒険者はみんな真面目だって聞いたわ!オッフルのクズ冒険者どもとは違うって!」
まるでオッフルの冒険者が全員クズともとれる発言だったが誰も指摘しなかった。
「あの、リサヴィの皆さんがよければ俺もついて行っていいですか?」
そう尋ねて来たのは魔術士ギルドの男Aだった。
「ちょっと何言い出すのよ!?」
「落ち着けって。行くのは俺だけだ。それにもしここで別れるなら戦えない俺達三人連れてじゃ黒……カレンの皆さんも大変だろうし、やっぱりフェラン側も気になる」
「オレは……」
魔術士ギルドの男Bが結論を出す前にサラが口を開いた。
「今日はここでキャンプしますからその話は食事のあとにしましょう」
「そうね」
サラの提案に女リーダーが頷き反対する者はいなかった。
結局、リサヴィとカレンは別行動を取ることにした。
ザブワックを退治したこととオッフル側の結界が復旧したことを早く知らせたほうがいいとの判断からだ。
魔術士ギルドの男Aはリサヴィと共にフェランに向かい、残りの二人はカレンと共にオッフルへ戻ることになった。




