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635話 ザブワック その8

 サラが再度言った。


「ザブワックは魔物ではありません。魔族でした」

「ちょ、ちょっとほんとに!?」

「はい」

「早く言ってよ!」

「すみません。言おうか迷ったのですが戦いの途中でしたし、下手に言って緊張させる方が良くないと思いまして」

「ま、まあ、言われてみれば確かにそうかも」

「そうね。魔族だって知ってたら積極的に攻撃をしなかったかも」

「でもそっか、私達は魔族を倒したんだ」


 女リーダーは魔族を倒した実感が湧いて来て顔をほころばせる。


「まあ、それなら私の上級魔法ライトニングプラズマ食らって倒れないのも納得ね……いや、シールド張られてたら上級魔法でも効かないのまずいでしょ!」


 女魔術士が自分の言葉に自分で突っ込み、魔族の力を知って不安になる。

 それは他のメンバーにも感染した。


「た、確かにね」

「運が良かったわよね。あなたのライトニングボルトが“たまたま”目を潰したリオの短剣に当たって大ダメージを与えなければどうなっていたか」


 女盗賊の言葉に女魔術士はかっとなり、不安を吹き飛して猛抗議する。


「たまたまじゃないわよ!狙ったのよ!!」

「「「はいはい」」」

「はいはいじゃなーい!!」


 カレンのメンバーは誰も信じてくれなかった。



 アリスが拾っていたリムーバルダガーの柄の部分をリオに渡しながら尋ねる。


「このダガーってあんな機能があったんですねっ」

「そうだね」


 そのやり取りを耳にした女盗賊は女魔術士との言い合いを中断してリオに尋ねる。


「そうよ、それ!その短剣なんなの!?勝手に動いてたわよね?それに刃が飛び出さなかった!?」


 リオは替えの刃をはめながら答えた。


「これはリムーバルダガーだ」


 以上、説明終わり。

 

「いや、それじゃわからないから!」

「ヴィヴィよろしく」

「ぐふ……」


 振られたヴィヴィは面倒くさそうな顔をしながら(と言っても顔は仮面で見えないが)説明する。


「ぐふ、それはマルコの魔術士ギルドのマッドサイエンティスト、クレッジ博士が開発したリムーバルダガーという遠隔操作出来る武器だ」

「クレッジ博士!!」


 その名に反応したのはオッフルの魔術士ギルドの者達だった。


「ぐふ、知っているのか?」


「まあ、魔術士ギルドの者なら大抵知ってると思う」

「変人よ変人!」


 魔術士ギルドの男Aの言葉の後に魔術士ギルドの女が叫ぶ。

 アリスが納得顔で頷く。


「どうやらみんなっ共通の認識ですねっ」


 女魔術士がヴィヴィに質問する。


「遠隔操作って言ったわね。ということは魔装士のリムーバルバインダーの技術の応用?」


 ヴィヴィが頷く。


「ぐふ、魔装士のリムーバルバインダーからヒントを得たと言っていた。実際、そうだろう」

「確かに……」


 女魔術士がリオの手にしたリムーバルダガーを見ながら考え込む間に今度は女盗賊が尋ねる。

 

「でもさ、それ、リムーバルバインダーについているマジックアイ?がついてないみたいなんだけど」

「どうなのリオ」

「ん?」


 女魔術士に尋ねられリオが首を傾げる。


「ちょっと!話聞いてなかったの?」

「そうだね」

「『そうだね』じゃなーい!」

「そうなんだ」


 カレンのメンバーはぐっと疲れた。


「まあ、いいわ。そのリムーバルダガーにマジックアイはついてるの?」

「ないよ」

「じゃあ、どうやって位置を把握しているのよ?」

「なんとなく?」

「私に聞かれてもわかりません」


 リオに尋ねられたサラが困った顔で答えた。



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