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621話 討伐隊の生存者

 前方にガルザヘッサが徘徊している姿が見えた。

 中にはリバース体らしきものも見える。


「ここに来るまで結界は正常に働いていたから再起動する前に入り込んだか、」

「この先に結界が消えた場所があるか、ね」

「そうね……向こうもこっちに気づいたわ。行くわよ!」


 女リーダーの掛け声にメンバーが声を上げて応える。

 リサヴィはカレンの援護に回る。

 リオとサラがそれぞれ弓、スリングを構える。

 リオの弓には魔法がかかっているが矢自体にはかかっていないため、爆発を起こして周囲を巻き込むことはない。

 カレンは流石Bランク冒険者といったところか、苦戦する事なくガルザヘッサを仕留めていく。

 新装備の効果もあるだろうがリバース体をもあっさり倒す。

 逃げ出そうとしたガルザヘッサをリオとサラが仕留めた。

 結局、一体も逃すことなくガルザヘッサを全滅させることに成功した。



 リオの弓の腕にカレンのメンバーが感心する。


「リオって弓も上手いのね」

「はいっ!リオさんの強さはっ無限大ですっ」


 そう言ったアリスの顔はなんか誇らしげだった。


「……あ、そう」


 カレンのメンバーはアリスのドヤ顔にちょっと引いた。

 ガルザヘッサの素材回収は皆で行ったがここでもリオは手際よくプリミティブを抜き取っていく。

 その様子を見て女リーダーがまたも感心する。


「リオって器用なのね。パーティに一人欲しくなっちゃうわね」

「あげませんよっ!」

「冗談よ」

「あげませんよっ!」

「……あなた、なんかムカつくわね」

「そんな事ないですよっ」

「本人が言っても説得力ないわよ」

「そんな事ないですよっ」

「……」



 前方にキャンプスペースが見えて来た。

 日も暮れかけていることもあるが、元々今日はこのキャンプスペースで一泊する予定だった。

 ただ、そこは結界が起動していなかった。


「先発した討伐隊はこの辺りで全滅したようね」

「アイツらにね」


 カレンの女戦士が睨んだ先、キャンプスペースにはガルザヘッサが群がっていた。

 冒険者達の姿はない。

 死体すらない。

 ただ、死体を運んだときについたと見える血の跡が樹海へと続いている。


「全員、樹海の奥へ運ばれたみたいね……」

「ぐふ、全員ではないかもしれんぞ」

「え!?」

「ぐふ、何故獲物がいない場所にあんなに集まっていると思う?」

「確かに。でもこの状態じゃ生きている可能性は……」

「ぐふ、それもどうかな」


 そう言ってヴィヴィが指差す。


「ぐふ、リムーバルバインダーが転がっている」


 女魔術士はリムーバルバインダーが遺体や負傷者を運ぶことにも使われることを思い出し叫んだ。


「もしかして中に避難してる!?」

「ぐふ、その可能性がある。まだ生きているかは知らんがな」

「そう……って!じゃあ呑気に話している場合じゃないでしょう!」

「ぐふ」

「生きてる可能性があるなら急いで向かいましょう!」



 今度はガルザヘッサを全滅させることは出来なかった。

 結界がないので街道から樹海へ逃れることができたのだ。

 深追いは誰もしない。

 キャンプスペースに転がっていたリムーバルバインダーは全部で四つだった。

 周囲を警戒しながらリムーバルバインダーを軽く叩いて声をかける。


「誰かいる?」


 すぐに反応が一つあった。


『た、助けに来てくれたのですか!?』

「違うよ」

『え!?』

「リオはちょっと黙っててください」

「……」


 サラは冒険者ギルドから正式に依頼を受けているカレンに対応を任せることにした。


「よろしくお願いします」

「あ、うん」


 女リーダーが我に返りサラに返事した。


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