620話 魔装士の評価
武器類はフェラン製と言うだけあって、どれも質の良い武器ばかりであった。
「でも最高級ってわけじゃないわね」
「いいヤツは先に来た冒険者達が持っていったんじゃないの」
「そうかもね。この中にはフォリオットから買った剣より優れたものはなさそう」
リオがあるものを木箱から取り出した。
「アリエッタ」
「リオさんっ、わたしはっ……!!」
リオそばにやって来たアリスにそれを手渡す。
それは質の高いメイスであった。
「リオさんっ、これっ」
「そっち使ったら」
「ありがとうございますっ」
アリスが満面の笑みで喜ぶ。
「リオさんがっわたしにプレゼントしてくれましたっ!」
「元手タダだけどね」
女盗賊のツッコミをアリスはスルー。
「はっ!?これはっもしや婚約指輪ならぬ婚約メイス!?」
「なにそれ?」
「初めて聞いたわ」
小躍りして喜ぶアリスにカレンのメンバーが呆れた顔で言った。
リオ、ヴィヴィそして女盗賊は短剣を補充した。
女リーダーと女戦士も予備の剣を持っていく事にした。
それらはまとめてヴィヴィがリムーバルバインダーにしまった。
女リーダーがヴィヴィに自分達の分まで運んでくれることに感謝した。
「ありがとヴィヴィ。私達もあなたみたいに戦いも出来る魔装士なら仲間に欲しかったわ」
「ぐふ。私が一般的な魔装士なのだがな」
その言葉にサラが即突っ込む。
「一般的ではないでしょう。あなたの力は突出しています」
「ぐふ」
ヴィヴィはなんか誇らしげな顔をした。
と言っても顔は仮面で見えないが。
「性格もですよっ……痛いですっ」
余計な事を言ったアリスがヴィヴィにど突かれ頭を抱える。
女リーダーがリサヴィのやり取りを呆れた顔で見ながら言った。
「魔装士の評価が低いのって廉価版魔装具を使ってる魔装士のせいよね」
「ぐふ、私はアレを魔装士とは認めん」
そう言ったヴィヴィは不機嫌そうだった。
「確かにね。カルハンの魔装士もアレを嫌悪しているらしいわね」
「カルハン以外で魔装士の評価が低い原因は冒険者ギルドにあるわ。アレを冒険者の装備として認めてしまったのだから」
「それだけじゃないわ。そのせいで本来冒険者になれるはずのない、素質のない者が冒険者になれてしまったのよ」
「まあ、冒険者になれてもその後苦労しているみたいだけど」
「自業自得よ!」
「皆さん、魔装士に詳しいのですね」
サラの言葉に女リーダーが答える。
「実はヴィヴィとフラインヘイダイとの戦いを見てね。魔装士に興味を持ったのよ」
「可能なら仲間に加えようってことでいろいろ調べたのよ」
「でもダメダメだったわ」
「それってっ、どういう意味ですっ?」
「ヴィヴィ並は流石にいなかったけど、それでも使えそうな魔装士はいたのよ。けどみんな既にパーティに入ってたわ。フリーなのは荷物運ぶしか能のないアレばっかり」
「そうなんですねっ」
「ええ。だからヴィヴィ、私達はいつでも大歓迎よ」
「ぐふ、遠慮しておこう」
ヴィヴィは誘いを即答で断った。
カレンのメンバーはやれやれ、という顔をしたが本気で勧誘したのではないのは誰の目にも明らかであった。




