618話 フラインヘイダイを倒したい
女リーダーがフラインヘイダイの話題に変える。
「ところであれからフラインヘイダイと遭遇した?」
「いえ、していません」
「まだ探してたんですかっ?」
アリスの呆れた口調にムッとするカレンのメンバー。
「当たり前じゃない!あれだけの屈辱を味わされて泣き寝入りなんて出来ないわ!」
女リーダーが力強く叫び、女盗賊も続く。
「そうよ!ボッコボコにして今度はこっちが両手の武器をぶん取ってやるわ!」
フラインヘイダイの装備している武器は、暗黒大戦時代の既に失われた技術が使われており、現代の武器より強力でその価値も高い。
「ぐふ、返り討ちにならなければいいがな」
「そのために装備を強化したし腕も磨いてるから大丈夫よ!」
女リーダーが力強く答え、女盗賊が力強く頷いた。
ところで、リオは空気が読めないことには定評があるが、アリスも負けてはいない。
その評価はうなぎ登りで一説にはリオを超えたとする者もいる。(どっか調べ)
それに加えて自ら進んで足を突っ込んでいくのでリオよりタチが悪い。
今の話を聞いてアリスが首を傾げながら疑問を口にする。
「あれっ?でもっ前回ぱんつ取られたのってあなた達じゃないですよねっ?」
女リーダーと女盗賊が不機嫌な顔をしてアリスを睨む。
実際に被害を受けた女戦士と女魔術士はというと余裕の表情をしていた。
「次は私達が狙われるのよ!!」
「間違いないわ!」
「別にっ自分から狙われに行かなくてもいいんじゃないですかっ?」
アリスの正論を彼女達は既にフラインヘイダイに狙われた者の余裕の発言に思えた。
二人の目には劣等感補正が思いっきりかかっていたのである。
「……あなた、なんかムカつくわね」
「そんなことないですよっ」
「本人が言っても説得力ないから」
「そんなことないですよっ」
「「……」」
女魔術士が間に入る。
「まあまあ二人とも落ち着きなさいよ」
「「……」」
二人には仲裁に入った女魔術士の顔が余裕の表情に見えた。
いや、実際女魔術士からは優越感が滲み出ていた。
客観的に見て、ぱんつを取られて喜び、取られなくて悔しがっているのはとてもおかしいのだが彼女達はそう思っていないようだった。
女リーダーが気を取り直してリサヴィのリーダーであるリオに声をかける。
「ともかく、この依頼が終わったらフラインヘイダイ討伐に協力してもらうからね!」
「気が向いたらね」
リオはやる気ない返事をする。(つまり平常運転)
その言葉にカレンのメンバーはむっとする。
「ちょっと!」
「あんな女の敵を放っておく気!?」
「というか、あなた達は狙われてるのよ!!」
女盗賊がサラとヴィヴィを指差す。
「ぐふ、そうだったな」
ヴィヴィがどうでもいいような口振りで言った。
「ギルドを辞めてもフラインヘイダイがあなた達を標的にしてることは変わらないのよ!」
女リーダーはなんか必死だった。
「そうよ!一緒に女の敵を倒しましょう!」
女盗賊もなんか必死だった。
「ぐふ、そこまで言うのだ。当然フラインヘイダイの居場所を掴んでいるんだろうな?」
「「う……」」
「ぐふ、知らないで倒そうと言っていたのか」
「いやっ、だからさっ、あいつらの方からあなた達のところにやって来るはずから!」
サラは彼女達以外にもフラインヘイダイに執着している者達がいる事を思い出した。
「そういえばあなた達は美女仮面団とは出会いませんでしたか?」
サラの言葉でアリスも思い出したらしい。
「あっ、確かにいましたねっ。正体不明の露出狂の痴女達がっ!」
「「「……」」」
リサヴィの中で正体不明と思っているのはアリスだけだが、サラ達は指摘しない。
「ぐふ、彼女達を追っている痴女盗賊団捕獲隊と名乗るクズ達もいたな」
サラ達の言葉を聞いて女リーダーが答える。
「そういえば前にもそんなこと言ってたわね。でも私達は会ってないわよ」
「美女仮面団には興味あったけどね」
そう言った女戦士は何かに目覚めたがっているような表情を見せるがサラ達は気づかないことにした。
フラインヘイダイ退治に拘る彼女達にサラが言った。
「今は依頼を達成することだけを考えたほうがいいしょう。ザブワックはAランク、Bランクのフラインヘイダイより強敵のはずです」
「わ、わかってるわよ!ともかく考えておいてよ!」
サラは面倒くさそうにリオに言った。
「リオ、考えてはおきましょう」
「わかった」
リオはどうでもいいように答えた。




