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617話 状況確認

 カレンの女リーダーはリサヴィがなんの準備もせず来ていた事を知り呆れた顔をする。


「あなた達、ちょっと楽観的過ぎない?それで街道解放が出来ると本気で思ってるの?」


 女リーダーの言葉にヴィヴィが反論する。


「ぐふ、それはこっちのセリフだ。よくギルドはお前達だけよこしたな」

「確かにっ。今までっBランクパーティが何組も失敗してるのにっ単独パーティで行かせるなんてっ」

「まあ、数が多ければいいと言うわけでもありませんが」

「ぐふ、クズが混じっていれば成功するものもしなくなるからな」

「ですねっ」


 ヴィヴィの疑問に女リーダーが呆れた口調で答える。


「何言ってるのよ。あなた達が単独で街道解放に向かったから是非手助けして欲しいってギルマスに直接頼まれたのよ」

「だから単独パーティで来たのも無謀なのもあなた達のほうでしょ」


 カレンの話を聞き、リサヴィのメンバーは呆れた顔をする。

 もちろん、リオは除く。


「ぐふ、あのギルマス、なんでもありだな」

「ほんとっ信じられないですっ」

「まあ、ここまで深刻な状況になっていると冷静な判断を下すのは難しいかも知れませんが」

「ぐふ、それを正しく判断してこそのギルマスだと思うがな」

「まあ、そうですね。私もそれは否定しません」


 カレンのメンバーはヴィヴィ達の会話について行けず首を傾げる。

 

「一体なんの話してるのよ?」

「あなた達ギルマスと揉めたの?」

「ぐふ。お前達がギルマスから何を聞いたかは知らないが、私達は依頼を受けたわけでも自主的に街道を解放しに来たわけでもない」

「「「「え?」」」」


 カレンのメンバーはヴィヴィの言葉を聞き、呆然とする。

 リオがヴィヴィの後を続ける。


「俺達はザブワックを見に来ただけなんだ」

「ええっ!?」

「ちょっとギルドの言ってる事と違うんだけど!?」

「そもそも俺達はもう冒険者じゃない」

「「「「……は?」」」」


 カレンのメンバーはリオの発言に一瞬言葉を失う。

 女リーダーが我に返り確認する。


「本当なの!?」

「はいっ!オッフルのギルマスの態度がムカついたのでっ冒険者カードを叩きつけてやりましたっ」


 そう言ったアリスの顔はなんか誇らしげだった。


「思い切ったことするわね……」


 サラが今の話を訂正する。


「そのことですがまだ私達は冒険者です。私がみんなのカードを預かっています」

「えっ?そうなんですかっ?」

「ええ。部屋を出るときに職員から手渡されました」


 サラはそう言うとポケットから全員分の冒険者カードを取り出す。

 みんなに渡そうとするがリオが受け取らないのでヴィヴィもアリスも受け取らなかった。

 サラはため息をついてから言った。


「辞めるにしてもギルドに預けているお金を回収してからにしましょう」


 リサヴィのメンバーは、いや、大金を得た冒険者のほとんどはギルドに預けている。

 紙幣のないこの世界では大量の硬貨を持ち歩くのは重過ぎるし盗難の恐れもあるので現実的ではない。

 ホームを持っている者達もギルドに預けるほうが多い。

 リサヴィのメンバーは皆Çランクだが、預けている金額は他のCランクと比べて飛び抜けており、捨てるには大き過ぎる。

 もちろん、辞めたらすぐ没収されるということはないが、辞めた後では受取り手続きが面倒になるのだ。


「……ぐふ、確かにな」


 ヴィヴィがサラから冒険者カードを受け取る。


「ですねっ」


 アリスも受け取った。

 しかし、リオは無反応だった。


「リオ」

「サラが預かっておいて」


 リオはそう言って受け取らなかった。


「わかりました」


 サラは内心でため息をつきながらリオの冒険者カードをポケットにしまった。

 女リーダーがザブワック退治について念の為リサヴィに確認する。


「話が外れたけど、見学でもなんでもいいけど街道を進むなら協力してよね」

「わかった」


 リオがいつもの感情のこもっていない声で返事をした。

 


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