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614話 死神回避

しばらく毎日投稿します。

その分、話が短くなります。

 カレンの女リーダーが到着した時から思っていた疑問を口にする。


「ところであなた達、ここで何やってたの?その人達もなんで正座?」

「だよね。もうとっくに樹海に入ったものとばかり思ってたわ。まあ、お陰で追いついたんだけどさ」


 リオが正座している傭兵団を指差して言った。


「このクズ達が俺達の邪魔をしたんだ」

「え!?アズズ街道を封鎖することになった元凶がこいつら!?」


 副団長が慌てて彼女達の誤解を解く。


「違う違う!俺らはそもそも冒険者じゃなくて商会に雇われた傭兵なんだ」

「傭兵?商会に雇われた?それがなんでリオ達の邪魔したの?」

「その……リオさん達がリサヴィだと知らなくて、その、ケンカを売って返り討ちにあったんだ……」


 カレンの面々が呆れた顔をした。


「バッカじゃないの」

「普通、このパーティ構成見ればリサヴィだって気づくでしょ」

「……その、ちょっと……調子に乗ってて……」

「ああ、だからリオにクズ扱いされてんだ」


 カレンは納得した。



「じゃあ行こうか」


 リオが視線をアズズ樹海に向けて言った。

 

「リオさんっ、行くんですかっ?」


 アリスがリオに意思確認するとリオが頷いた。


「ライトニングプラズマがザブワックにどのくらい通じるのか興味ある」

「任せて!一発で仕留めてやるわ!あ、でも発動にちょっと時間かかるから援護よろしくね」

「わかった」

「ぐふ、このクズ達はどうする?」


 ヴィヴィの言葉に傭兵達の体が震える。

 リオは彼らを一瞥してから言った。


「どうでもいい」

「ぐふ」


 リオの怒りが収まったようで傭兵達は心底安堵したと同時に感情の起伏の大きさに戸惑ってもいた。

 彼らが命の恩人であるカレンを見つめる。

 その視線に気づき、カレンの面々は意図が分からずちょっと引いた表情をする。


「何か気持ち悪いわね」

「あんた達に感謝してるんだ!よく来てくれたぜ!」


「あんたらが来てくれなかったら俺ら死んでいたぜ!」と心の中で付け加える。

 感謝の気持ちが本物とわかり彼女達は悪い気はしなかった。

 女リーダーが気分をよくして言った。


「まあ、これに懲りたら無闇にケンカ売らないことね」

「ああ!本当にありがとう!黒歴史の姉さん達!!」

「「「「誰が黒歴史よ!カレンよカレン!!」」」」


 カレンのメンバーの絶叫が辺りに響き渡った。



 副団長はほっとしたのも束の間、彼らを雇っている商隊の隊長の伝言を思い出した。

 それをリサヴィ達に伝えるかで一瞬迷った。

 これ以上、彼らとは関わりたくない。

 だが、隊長の伝言を伝えなかったことを後で知られるほうが問題になるのでいやいや呼び止める。


「ちょ、ちょっと待ってくれ!」


 副団長の声が背後からしたが誰も足を止めなかった。

 副団長が慌てて言葉を付け加える。


「伝言があるんです!俺らを雇った商人からの!」


 その言葉でサラとカレンのメンバーが足を止めて振り返る。


「伝言?なんですか?」

「彼は魔物から逃げるために途中で積荷を捨てたそうなんだが、魔物を倒すためなら好きに使っていいとのことです」

「そうですか。わかりました」

「もっと早く言ってよ」

「す、すまない」

「以上ですか?」

「ああ。それではお気をつけて!」


 副団長がそう言って頭を下げると皆(団長と不思議な踊りをする傭兵を除く)が後に続いて「お気をつけて!」と頭を下げた。



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