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584話 絡みクズ、最後の抵抗 その3

 クズリーダーが動揺しながら叫ぶ。


「お前らなんでここにいやがる!?」

「乗客だからです」

「お前らいい加減にしろよ!毎回毎回人の後を追っかけ回しやがって!」

「……それはこっちのセリフです」


 サラは今の会話だけでげっそり精神力を持っていかれた。


「ねえサラ。このクズ達、あんた達が腕を保証するっていうんだけど」

「しませんよ」

「ぐふ、雑魚であることなら保証してやる」

「クズもですねっ」

「「「ざけんな!」」」


 そこへ誰かがギルドへ連絡したのだろう、ギルド職員のモモが必死の形相で走ってやってきた。

 その後をギルド警備員が続く。

 ギルド職員が来たのを見て他の商隊に嫌がらせ(本人達は護衛交渉のつもり)をしていたクズ達が逃げ出した。

 絡みクズ達も逃げたかったがヴェイグやリサヴィが逃げ道を塞いでおり、強行突破しようものならまたヴィヴィのリムーバルバインダーが飛んでくるのが明らかだったのでその場から逃げられずにいた。

 モモはそんな絡みクズ達に見向きもせず、真っ直ぐサラ達の前にやって来ると荒い息をしながら言った。


「ひ、酷いですよ皆さん!私に黙ってマルコを出て行こうとするなんて!」

「話す必要性を感じませんが」

「何を言ってるんですか!?皆さんはマルコギルドのエースなんですよ!もっと自覚を持ってください!」

「そんな事実はありません。バカなこと言ってないでさっさとそのクズ達をなんとかしなさい」


 サラの指摘でモモは思い出したかのように絡みクズ達に目を向けるとサラ達とは打って変わって厳しい表情で言った。


「昨日の今日でまた騒ぎを起こすとは信じられませんね」

「ちょ待てよ!」

「あなた達が全く反省していないことがよくわかりました」

「だからちょ待てよ!」

「ギルドへ来て下さい。あなた達は退会処分となるでしょう。またこれ以上、騒ぎを起こされてはかないませんのでマルコの街への入場も禁止することになるでしょう」

「「「ざけんな!」」」


 モモは絡みクズ達の抗議を無視してギルド警備員にギルドへ連行するように指示する。

 絡みクズ達は必死に抵抗するが、プライドの高さに反してその力は弱い。

 サラ達が手助けする必要もなくギルド警備員達に捕えられて連行されていった。



「では本題に戻りましょう」

「いえ、今のが本題でしょう」


 モモはサラの言葉をスルー。


「リオさん、どこへ行かれるのですか?」

「フェランだよ。武器を探しに行くんだ」


 それだけの言葉でモモは意図を理解した。


「なるほど。つまりリオさんに相応しい強力な武器を手に入れるために仕方なく一時的にマルコを離れるということですね」

「何自分勝手なこと言っているのですか」

「ぐふ、クズに思考が似てきたな」


 モモがムッとしてヴィヴィを見た。


「ヴィヴィさん!流石にそれは言い過ぎですよ!!」

「ぐふ、確かにちょっと言いすぎた、かもな」


 珍しくヴィヴィがちょっと反省した。

 それほどクズの異常思考は圧倒的と言うことである!!


「ともかく皆さんがマルコを離れなければならなくなったのはリオさんに相応しい武器を用意できなかったウーミの責任ということですね」

「は?」


 なんの前触れもなくいきなり被弾したイルミ商会のウーミ。

 サラは彼が可哀想になりここにいない本人に代わり反論する。


「何を言い出すんです?ウーミは全く関係ないですよ。そもそも彼は武器は専門ではないでしょう」

「いえ、いいんですよサラさん。ウーミなんかを庇わなくても。確かに彼は専門ではないですがヴィヴィさんの魔装具を用意出来たのですよ。やれば出来る子なんです」

「ぐふ、お前は何様だ?」


 ヴィヴィのツッコミをモモはスルー。


「今回のウーミの失態は私がしっかり叱っておきます。高級料理を奢らせながら説教します!任せて下さい!」


 そう言ったモモはもう高級料理のことを考えているのか舌舐めずりをした。


「それはあなたが食べたいだけでしょう。私達は関係ないです」

「ぐふ、お前がウーミにたかるのは自由だ。好きにするがいい」


 モモはウーミに奢らせる料理が決まりリオに顔を向ける。


「それでいつマルコにお戻りになるんですか?」

「どうだろう?」

「未定ですか。ではリオさん、ここにサインをお願いします」

「ん?」


 リオは目の前に出された紙に渡されたペンで深く考えた様子もなくサインする。

 それを見てサラが慌てる。


「リオ!?あなた何にサインしたんですか!?」

「なんだろう?なんか所属がどうとか書いてあった気がするけど」

「モモ、それ見せなさい!」


 しかし、モモは後ろに隠し満面の笑みで言った。


「では“正真正銘のマルコギルドのエース!”のリサヴィの皆さん!お早いご帰還をお待ちしています!」


 その言葉でリオが何にサインをしたのか理解した。

 この日、リサヴィはマルコ所属となったのだった。

 小躍りして見送るモモを後にリサヴィの乗った輸送隊はマルコを出発した。



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