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悪夢を振り払え〜あなたを魔王にはさせません!〜  作者: ねこおう
第4部 クズ達のレクイエム編(タイトル変更)
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549話 神官見習いの訪問

 翌日の朝も宿屋の主人が部屋に食事を持って来てくれた。

 ドアを開けた際、宿屋の主人の背後にクズ冒険者達がキメ顔をして立っているのが見えた。


 いつからそこにスタンバッていたんだ?


 などと考える者はリサヴィの中には一人もいなかった。

 クズ達の考えは理解不能なのである。

 考えたら負けなのである。

 それはともかく、

 そのクズ達は宿屋の主人の後から堂々と、当然だとでもいう態度で部屋に入ってこようとしたのでヴィヴィがリムーバルバインダーを使って問答無用でぶっ飛ばした。

 あほ面晒して気絶したクズ達はしばらくして目覚めるとリサヴィの部屋のドアを乱暴に叩いてヴィヴィの悪口を喚きまくった。

 もちろん、ヴィヴィは無視。

 そのうち、宿屋の主人がやって来てクズ達は追い払われた。

 といってもその時だけだ。

 クズ達は自分達に都合の悪いことはすぐに忘れることが出来るのだ。

 その後も「重要な話がある」と言ってはクズ達が代わる代わるリサヴィの部屋の前にやって来たが全て無視した。

 そして昼過ぎ。

 宿屋の主人がやって来て神官見習いが来たことを告げた。

 ドアを開けると見覚えのある神官見習いが前に立っていた。

 その背後にはまたもクズ達がキメ顔で立っていたが、今回も無視した。

 ヴィヴィがリムーバルバインダーで威嚇した効果があり、強引に入ってくることはなかったが、部屋の前で喚き続ける。

 それでも宿屋の主人の注意「兵士を呼ぶぞ!」で渋々だが引き下がった。



 部屋の外が静かになってから神官見習いが改めて挨拶をして来訪目的を告げる。


「サラ様、アリス様。もし時間がおありでしたらまた教会のお手伝いをお願いできないでしょうか?」


 サラとアリス、というかリサヴィに特に予定はなかった。

 お婆さんの依頼が二日後にあるので新たな依頼を受ける余裕も、その気もなかったのでその日までゆっくり休養するつもりでいた。

 どうしても休養が必要というわけではないが、サラ達は手伝いを躊躇する。

 サラ達は以前、マルコの教会で治療の手伝いをした事があった。

 その時、クズ達が彼女達を勧誘しに押しかけて来て、逆に迷惑をかけることになり、大して役に立てなかったからだ。


「私達が行くと逆に迷惑をかけてしまうのでは?」

「ですねっ。何故か今のマルコにはっクズ達が異常発生していますしっ」


 アリスがクズを害虫扱いするものの、誰からも抗議の声は上がらない。

 神官見習いは説明不足を悟り、慌てて補足する。


「あ、あの、治療ではなくて、ポーションや聖水の作成を手伝っていただけないかと。二級神官の皆さんにお願いするのは心苦しいのですが……」

「ああっ、そっちですかっ」

「はい。お恥ずかしながら以前皆さんが作ってくれましたポーションと聖水の効果が私達のものより高くて好評でして……」

「そうなんですか」


 確かにサラとアリスの力は突出しているので彼女達が作るポーションや聖水の効果は一般のものより強力であった。


「ただ、それでもクズが押しかけてくる可能性は否定できませんよ」

「それは大丈夫です!皆覚悟していますので!」

「は、はあ……」

「それほど切羽詰まってるんですねっ?」

「はい!カシウスのダンジョンの攻略が進むと同時に魔物も強くなって来ているようでして特にポーションの消費量が増加していて作成が追いつかないんです」

「そうなんですねっ」


 サラがリオに確認する。


「リオ、教会の手伝いをしようと思いますがいいですか?」

「いいんじゃない」


 リオはどうでもいいように答えた。


「今回はリオもついて来て下さいね」

「ん?」


 リオが首を傾げたのでサラが理由を述べる。


「前回、あなたとヴィヴィの二人きりにしたら騒ぎを起こしたでしょう」

「確かにっ、決闘騒ぎが起きましたねっ」

「ぐふ、困ったものだな」

「そうだね」

「あなた達の事を言っているのです!」

「そうなんだ」

「いいですね?」

「わかった。でも……」

「でもなんですか?」

「僕、上手くできるかな。ポーションや聖水なんて作った事ないから」

「「「「……」」」」

「リオ、あなたはしなくていいです」

「そうなんだ」


 サラは頭を切り替えてヴィヴィに声をかける。


「あなたはどうしますか?」

「ぐふ、では教会の前まで付き合おう」

「教会には寄らないということですか?」


 ヴィヴィが頷く。


「ぐふ、私はカルハン製の魔装具を着ているからな。先の戦いを思い出させて不快な思いをさせるかもしれん」

「わかりました」

 

 サラは「それは考えすぎでしょ」と思ったものの、ヴィヴィにどうしても付いて来て欲しいとは思っていなかったのでそこで話を終わらせる。



 サラとアリスが教会の手伝いをしてくれるとわかり、神官見習いは大喜びする。

 そんな彼にアリスが言った。


「でもっ、運が良かったですねっ。わたし達に予定がなくてっ」


 神官見習いは笑顔で運ではないことを説明する。


「あ、それはですね、実はギルドの方からお二人が時間を持て余してるとお聞きしまして」

「「……」」


 サラは一度深呼吸してから神官見習いに尋ねる。


「そのギルドの方とはモモですか?」

「あ、はい」

「あんがキャー!!」

「ひっ……」


 突然大声を上げたサラに怯える神官見習いをアリスが落ち着かせようとする。


「気にしないでくださいっ。サラさんはちょっと本音がだだ漏れしてるだけですからっ」

「ぐふ、いつもの発作だ」

「は、はあ……」


 神官見習いのサラへの好感度が下方修正された。


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