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悪夢を振り払え〜あなたを魔王にはさせません!〜  作者: ねこおう
第4部 クズ達のレクイエム編(タイトル変更)
508/868

508話 魔術士ギルドの依頼

「お帰りなさいリサヴィの皆さん」


 リオは声をかけて来たモモのいるカウンターに向かった。

 依頼完了処理を終えるとモモが依頼の話をして来た。


「実はリサヴィの皆さんに指名依頼が来ているのですが」

「えっとっ、もしかしてっフルモロですかっ?」


 アリスはグラマスの件を思い出してそう尋ねたのだが、モモは首を横に振った。


「いえ、違います。フルモロがどうかしたのですか?」

「いえっ、なんでもないですっ」

「そうですか……」

「ぐふ、それで私達に指名依頼して来たのは誰だ?」

「マルコの魔術士ギルドです」

「魔術士ギルドですか?」

「はい。以前、皆さんはカシウスのダンジョンでゴーレムを鹵獲しましたよね」

「ああ、あれですか」

「はい、それです。今回、そのゴーレムを使った実験をするそうで万が一の時のために立ち会って欲しいそうなんです」

「ぐふ。リオ、私は非常に興味がある。受けてみないか?」


 魔道具に興味を持つヴィヴィはあのゴーレムにも興味を持っていた。


「いいんじゃない」


 リオはどうでもいいように返事する。

 こうしてリサヴィはゴーレムの起動実験の立ち会いの依頼を受けたのだった。



 そして実験当日。

 リサヴィは指定された場所へ、マルコの東に草原へ向かった。

 そこはマルコとカシウスのダンジョンの丁度中間くらいのところであった。

 指定場所に到着すると、既にいくつかの機材が並び、テントも張ってあった。

 そして魔術士ギルドの職員が忙しそうに働いていた。


「あっ、あれっ!」


 アリスが指差す方向に荷台に載せられたゴーレムの姿があった。

 そこでもギルド職員が忙しそうに働いていた。

 約束の時間までまだ時間があったので、邪魔しては悪いとその場で様子を見ることにした。

 ヴィヴィがリムーバルバインダーの望遠機能を使ってゴーレムを観察する。


「ぐふ、元の頭をつけたようだな……あと、背中に何か取り付けているな……あれは操縦席か?」

「その通りです」


 ヴィヴィの呟きに答えたのは白衣を着た女性だ。

 その白衣には魔術士ギルドの紋章が描かれていた。


「お久しぶりです、リオさん」

「ん?」


 リオはその女性を見て首を傾げる。


「やっぱり覚えていませんか。それも仕方がないですね」


 リオの代わりにサラが尋ねる。


「あなたは?」

「私はメアリーといいます。以前、無謀にもリオさんに決闘を挑んだパーティに所属していました。その決闘でリオさんに負けて冒険者を引退して魔術士ギルドに就職したのです」

「ぐふ。リオを恨んではいないようだな?」

「恨むなんてとんでもないです!アレは完全に私達が悪かったのですから。逆にリオさんにはすごく感謝しているんです」

「ぐふ?感謝?」

「はい。私を彼らから、あのクズパーティから解放してくれたのですから」

「クズパーティですか」

「はい」


 メアリーは力強く頷いた。


「最近よく思うんです。なんで私はあのクズパーティに入ったんだろうと。お恥ずかしいことにパーティにいる時は全く疑問に思わなかったのです。でも冒険者を辞めて魔術士ギルドで働いているうちに気づきました。あの頃の私はなんて非常識な人間だったのだろうと。その時に注意してくれる方もいたのですが、何故かその言葉が信じられなかったのです。でも、リオさんが私を正気に戻すキッカケを与えてくれたのです。本当にありがとうございますリオさん」

「そうなんだ」


 リオはどうでもいいような返事をした。

 メアリーはちょっと寂しそうな表情をしたが、すぐに元に戻して本題に入る。


「皆さんは今回のゴーレム起動実験の警備をしていただけるのですよね?」

「はい」

「ぐふ。ゴーレムが暴走した時の対応がメインと聞いているが具体的にどんな実験をするのだ?」

「はい、簡単に言いますと皆さんが鹵獲したゴーレムを人が直接操作できるように改造しましたので、思い通りに動くのか確認を行うのです」

「ぐふ、それは操縦者がゴーレムに魔力を送って操作するのか?」

「いえ、操縦者が魔力を供給する必要はありません。予め蓄積した魔力やプリミティブを使用するそうです」

「ぐふ、それは興味深いな」

「そうですね。今の話ですと魔術士以外でも操縦できるということですよね」

「はい。私は専門ではありませんのでそれ以上の説明は出来ませんが、興味がありましたら開発責任者のクレッジ博士とその助手のアパラパさんもここに来ていますので直接聞いてみては如何でしょうか?」


 ヴィヴィはその名を聞いて驚いた表情をした。

 といっても仮面で顔は見えないが。


「ぐふ!?クレイジーにアッパラパーだと?」

「おいこら!失礼ですよ!」

「そ、そんなことは……」


 メアリーはボソボソと小声になる。

 その様子を見るとヴィヴィの言った事は満更間違いではなさそうだった。


「あの、もしかして私達はその方達も監視した方がいいのですか?」

「流石サラさん!全てお見通しですね!」

「いえ、全く見えてませんが……」

「ぐふ、クズの次はマッドか」

「……何故私を見るんですか?」


 ヴィヴィはサラのジト目をかわしてメアリーを見る。


「お前の名前はフールだったか?」

「違います!!メアリーです!」

「ぐふ、普通だな。つまらん」

「……この名前でそんな事言われたのは初めてです」

「すみません。ヴィヴィのことは気にしないでください」

「はあ」


 落ち込んでいるメアリーを慰めようとサラは話を変える。


「そ、そういえばあなたは専門ではないとの事ですが、何の研究をしているのですか?」

「私は魔法薬の研究をしています。今回はリオさんと面識があるとのことでこの場に呼ばれたのですが、あまり意味はなかったですね。あはは……」


 またも落ち込むメアリーであった。



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