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悪夢を振り払え〜あなたを魔王にはさせません!〜  作者: ねこおう
第4部 クズ達のレクイエム編(タイトル変更)
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477話 クズ、見張りの邪魔をする

 サラが新米女冒険者達に他のパーティとキャンプする時の注意をする。


「冒険をする中ではこのように全く信用できない者達と同じ場所でキャンプをすることもありますが、絶対に油断しないでください。彼らがなんだかんだと意味不明な事を言ってこちらに侵入してきたら容赦なく攻撃しなさい」

「「「はいっ」」」


 サラの話はクズ達にも聞こえていた、というかずっと聞き耳を立てていたのでその言葉を聞いて怒り出し「ざけんな!」とまたも喚き始める。

 が、自分達のスペースからは出ない。

 ヴィヴィが続ける。


「ぐふ。攻撃する時は容赦するな。殺しても構わんぞ。責任はサラが取る!」

「ですねっ」

「おいこらっ!!」


 ヴィヴィの言葉に新米女冒険者達が躊躇する事なく「はい!」と即答したのを見てクズ達は沈黙した。

 もちろん、その時は、である。



 クズ達がまだこちらに聞き耳立てていたのでヴィヴィ達は新米女冒険者達と共にキャンプスペースの端に移動して小声で更に細かな注意を与える。


「ぐふ。クズ達と話してもいいが絶対に私達の依頼内容や目的地は話すな」

「はい」

「知ったら付いて来そうですもんね」

「ぐふ。逆に可能なら奴らが何故ここにいるのか探れ」

「確かにっウォルーにすら勝てないパーティがっ森で何をしていたか気になりますねっ」

「ぐふ。まあ聞かなくとも勝手に話し始めるだろうがな」

「そうなんですか?」

「ぐふ。クズとはそういう生き物だ」


 サラが補足する。


「ただし、彼らクズの話は基本的に妄想話なので信じる必要はありません」

「あの、では聞く意味がないのでは?」

「そうでもありません。いくら妄想話とは言え、全てを妄想で作り上げるのは不可能です。その中に少しは事実が含まれているはずです」

「なるほど」

「わかりました。聞いたことをそのまま皆さんにお伝えします」

「お願いします」

「「「はい」」」

「ぐふ、無理はするなよ。クズの話を聞き続けると頭がおかしくなるからな。限界だと思ったら一切無視しろ。それでも奴らが話をやめないなら攻撃してもかまわん」

「「「はい」」」

「殺しちゃってもいいですよっ」

「ぐふ。サラが責任をとる!」

「サラさんが責任を取りますっ」

「「「はい!」」」

「おいこら!」



 注意事項を聞き終えた新米女冒険者達が見張りを始めるときにはクズ達は聞き耳を立てるのを諦めて酒を飲んでいた。

 それも全員がだ。

 あっという間に全員酔っ払い見張りをしている新米女冒険者達に絡み始めた。


「おい、Fランク冒険者!こっち来て酒を注げ!」

「お断りします」

「ざけんな!Dランク!冒険者の命令だぞ!」

「こちらはCランク冒険者からの命令を受けています」


 ランクに弱いクズ達はCランクと言う言葉で沈黙する。

 が、すぐにまた声をかけてくる。


「じゃあよ、俺らがそっちに行ってやる。それならいいだろ?」

「即攻撃します」


 新米女リーダーが剣を握るとクズリーダーが怒り出した。


「んだと!?」


 クズリーダーも剣に手をかけた。

 それに他のメンバーも倣う。

 新米女冒険者達も負けてはいない。

 新米女魔術士、そして休憩中だった新米女盗賊も起きて来て戦闘体制をとる。

 新米女魔術士が本気であることを見せるためか、二人にシールドの魔法をかけた。

 新米女冒険者達がやる気満々の姿を見てクズ達は少し酔いが覚めた。

 ちっ、と舌打ちをして武器を下ろしてその場に座った。

 もちろん、それで終わらない。



「なあ、こっちこいよ。こっちに来ればいろいろ教えてやるぞ」

「天国を見せてやるぜ!げへへっ!」

「俺様のテクニックを受けろてみろよ!な?」


 クズ達が卑猥な言葉を吐き続ける。

 彼女達がシカトし続けると彼らは勝手に自慢話(妄想話)を始めた。

 彼女達はシカトしながらも話を聞いていた。

 その話で彼らクズ達がこの場所に来た理由がわかった。

 彼らの話によれば、

 頼りなさそうなパーティが魔物討伐依頼を受けて森に向かうことを知り、親切心で手助けしてやろうとこっそりその後をついて行ったらちょっと目を離した隙に彼らが迷子になってしまったらしい。

 そこで仕方なくそのパーティを探してやっていたらウォルーと遭遇した、ということだった。

 今の話を意訳すると次の通りである。


「コバンザメとごっつあんです狙いで依頼を受けたパーティの後をつけて行ったら気づかれて撒かれた」

 

 現在の話になり、先ほど倒したウォルーは自分達の協力があったから倒せたのだから俺達にも分け前を寄越せと言い出した。

 新米女冒険者達はシカトしていたがあまりにしつこく、スペースギリギリまで寄って来て喚くので仕方なく答えた。


「私達では判断できません。明日にでもサラさん達に聞いてください」


 クズ達は納得できず怒鳴り散らしているとスペースの区切りをリムバールバインダーが通り過ぎた。

 それと同時にサラ達が起きて来たのを見てクズ達は慌てて口を閉じた。

 サラはクズ達をひと睨みした後で新米女冒険者達に言った。


「ここからは私達が代わります。あなた達は休みなさい」

「え!?でも……」

「ぐふ。あのクズ達がいてはきちんと休めないと判断した」


 ヴィヴィのクズ発言にクズ達は怒鳴り散らそうとしたが、再びリムーバルバインダーが通り過ぎたのでその言葉を飲み込む。


「落ち込むことはありません。これは私達のミスです。彼らを過小評価していました」

「ぐふ、奴らは冒険者ランクはDらしいが、クズランクは間違いなくB以上だ」

「そうですね。あれの相手は初級冒険者には荷が重過ぎます」

「ぐふ、その代わりきちんと体を休めろ。今朝のような事は許さんぞ」

「「「はい!」」」


 見張りがリサヴィに代わるとクズ達は途端に大人しくなった。

 しかし、怒鳴ることはなくなったがちょっかいをかける事はやめない。

 猫撫で声や同情を誘う声、さらにキメ顔でサラ達の気を引こうとするがそれらの行動はことごとく失敗に終わった。 

 そしてやがて静かになった。

 酔いが回って寝てしまったのだ。



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