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悪夢を振り払え〜あなたを魔王にはさせません!〜  作者: ねこおう
第4部 クズ達のレクイエム編(タイトル変更)
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469話 二つの争い

 少しとはいえ休憩を取ったのは大きかった。

 新米女冒険者達は皆顔色がだいぶ良くなっていた。

 まあ、サラ達に起こされるまで熟睡していたのはどうかと思うが。

 ともかく、旅を再開した。

 隊列は前方がリサヴィ、後方が新米女パーティだ。



 新米女冒険者達の中で最初にそれに気づいたのは新米女盗賊だった。

 隣を歩く新米女リーダーに声をかける。


「ねえ、気づかない?」

「え?どうしたの?」

「森から魔物の気配がするわ」

「ほんと!?」

「ええ、たぶん、ウォルーだと思うわ。私達と同じ方向に移動している」


 新米女リーダーは気配を探るが全くわからない。

 新米女魔術士に聞くが彼女もわからないし、探索に使える魔法も持っていない。

 

「間違いないのね?」


 新米女リーダーが新米女盗賊に確認すると頷いた。

 女新米リーダーは先を歩くリサヴィのメンバーに控えめに声をかける。

 

「あの、魔物の気配が森からするみたいなんですけど」

「しますね」


 サラが振り返りもせずに即答した。

 その答えを聞き、新米女盗賊は自分の感覚が正しかったとわかり安堵するが、すぐに魔物がいる事で緊張する。

 新米女盗賊がサラに尋ねる。


「あの、戦わないのですか?」

「あなたは魔物を見つけたら全て倒していくつもりですか?」

「え?そ、そうじゃないですけど……」

「まず、相手がこちらに敵意を持っているのかどうかを見極めるのが必要です。私達は殺戮者では無いですし、体力が有限であることはさっき身を持って知ったのではないですか?」

「は、はい、すみません……」


 サラは新米女盗賊が気落ちしたのに気づいたがそのまま続ける。


「それでどうですか?敵意はありますか?」

「は、はい、あると思います。ずっと私達について来ているみたいですから」

「数は?」

「え……三、いえ、四体だと思います」

「そうですか。それであなた達はどうしたいですか?」


 新米女冒険者達で話し合い、新米女リーダーが結論を述べる。

 

「戦います!」

「勝てますか?」

「「「!!」」」


 ウォルーはEランクの魔物だ。

 Fランク冒険者三人で四体を相手にするには厳しいハズだ。

 ではなぜ戦うという判断をしたかといえば、彼女達はリサヴィを数に入れて考えていたのだ。

 確かに彼女達だけで戦って危なくなったらリサヴィは助けてくれるだろう。

 だが、これは冒険者研修なのだ。

 自分達だけで冒険をしている前提で勝てる算段を立てる必要があったのだ。

 その事に今のサラの言葉で気づいた。

 サラが催促する。


「いつどこで戦いますか?」

「あ、その……」


 新米女リーダーは自分達だけでは勝つことが難しいとわかり言葉を詰まらせると新米女魔術士が代わりに答えた。


「向こうに大きな動きがなければこのままキャンプスペースまで向かってそこで戦う準備をしてからです。キャンプスペースに他の冒険者がいれば協力してもらえますし」

「そ、そうね!」

「それよ!」


 新米女リーダーと新米女盗賊が同時に叫ぶ。


「わかりました。ではそれで行きましょう」

「「「はい!」」」



 幸いにもウォルーの襲撃に遭うことなくキャンプスペースに到着した。

 その時にはウォルーの気配が消えていた。

 その事を新米女盗賊から聞き、ほっとするメンバー。

 だが、すぐに新米女魔術士が不安げな顔をした。

 それに気づいた新米女リーダーが理由を尋ねる。

 

「どうしたの?」

「本当にいなくなったのかな?私達はFランクよ。探知できないだけで隠れているのかもしれないわ。リオさん達はそれに気づいているかも」

「そ、それもそうね」

「確かにサラさん、さっき私が報告した時驚く素振りなく当然のように答えたもんね。あなたよりもっと前に気づいていたに違いないわ」

「そうよね」

「どうする?」

「正直にリサヴィの皆さんに聞いてみましょう……って、何揉めてるのかしら?」


 新米女盗賊が聞き耳を立て、何とも言えない顔をして言った。


「誰が料理を作るかで揉めてるみたい」

「え?リオさんが作ってくれるんじゃないの?」

「私達の訓練に付き合ってくれるらしいわ」

「あっ、じゃあ、私が……」

「ちょっと待ちなさいよ!なんで魔術士のあなたなのよ!リオさんは戦士なんだから私よ!」

「何?もう失恋から立ち直ったの?ちょっと軽すぎじゃない?何がとは言わないけど」

「なんですって!?」

「落ち着きなよ。リオさんは私の相手をしてもらうんだから」


 新米女盗賊の言葉にすぐさま新米女リーダーが反論する。

 

「なんでよ!?またヴィヴィに投剣を教えてもらいなさいよ!まだマスターしてないんでしょ!」

「それも大事だけどリオさん“インシャドー”を使えるのよ!盗賊必須のスキルよ!是非手解きしてほしいわ!てか、あなたこそサラさんでいいでしょ!同じ片手剣と盾なんだから!」

「剣術はリオさんの方が上でしょ!それに弓も手解き受けたいのよ!リッキー退治するなら弓をしっかり使えるようになっておかないと!」


 こうして新米女パーティの間でも言い争いが始まった。

 そんな中でただ一人我関せずの態度をとっている者がいた。

 リオである。

 リオはまたも空をぼーと眺めていたのだった。



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