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悪夢を振り払え〜あなたを魔王にはさせません!〜  作者: ねこおう
第4部 クズ達のレクイエム編(タイトル変更)
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440話 ホスティとの会談

 リサヴィは冒険者の街、ヴェインに到着した。

 

「ヴェインもセユウに負けないくらい大きな街ですねっ」


 ヴェインに初めて来たアリスが少し興奮気味に言った。

 

「そうですね」

「では皆さん、こちらへ」


 出迎えに来ていたギルド職員に案内されてヴェインギルドに向かった。

 そしてグラマス、ホスティの元へ案内された。

 

「よく来てくれたな!」


 ホスティが立って出迎えた。

 

「さあ、かけてくれ」


 皆が席に着くとホスティは改めて自己紹介した。

 

「俺がヴェインギルド、そして冒険者ギルドの長であるグランドギルドマスターのホスティだ」

「補佐官を勤めさせて頂いておりますシージンです」


 一人席に着かず、ホスティの側に立っていたシージンが挨拶する。

 リオが自己紹介する気がないのでサラはため息をついた後、フードを脱いで挨拶した。


「ジュアス教団二級神官のサラです」

「お前がサラか。噂通りの美人だな」

「ありがとうございます。彼がリサヴィのリーダーのリオです」


 サラに突かれてリオがペコリと頭を下げた。

 

「……ほう。聞いていたのとは雰囲気が違うな」


 ホスティは曖昧な言葉で濁したが、彼はリオがもっと若いと思っていたのだ。

 そしてそれ以上にこれほどの美形だとは思っていなかった。

 思わずホンモノか?とシージンを見た程である。

 そんなホスティにシージンは小さく頷いた。

 そのやり取りにサラは思うところがあったが尋ねる事はせず続ける。


「その魔装士がヴィヴィです」

「ぐふ」


 それだけだった。

 

「うむ。お前は仮面を取らんのか?」

「ぐふ?」


 ヴィヴィが首を傾げる。

 

「まあいい。よろしくな」

「ぐふ」

「彼女が私と同じジュアス教団の神官アリスです」

「サ、サラさんと同じっ二級神官のアリスですっ。よっ、よろしくですっ」

「はははっ。おう。よろしくな。そんなに緊張しなくていいぞ。お前も噂通り美人だな」

「はっ、はいっ、ありがとうございますっ」



 一通り挨拶を済ませたのでサラが早速本題に入る。


「今回、私達はリサヴィ派と名乗る者達について話を聞きたいとの事で呼ばれましたが、私達は彼らとは無関係ですのでお話しできるような事はありません」

「ぐふ。勝手に名を使われて迷惑している」


 サラにヴィヴィも続き、アリスがうんうんと頷く。

 

「そうか」

「はい」

「わかった」

「はい……はい?」


 サラはホスティがあっさり信じたので拍子抜けしてしまった。

 

「あの、ではもう失礼してよろしいですか?」

「まあ、待て。まだ話はある」

「はあ」


 サラはまだ話があると聞いてちょっとホッとしてしまった。

 これで終わりだったら何のためにわざわざヴェインまで来たのかと思うところだったからだ。

 ヴィヴィは間違いなく言葉に出して文句を言っただろう。

 

「まずリサヴィ派の事だが、お前達が彼らと無関係だとしてもだ。お前達が不良、いや、はっきり言おう、クズ冒険者達を陰で殺しているという噂が広がっている。これについてはどうだ?」


 ホスティの後にシージンが補足する。

 

「ギルドが裏で指示していると言う者もおりますが、私共はそのような指示をしておりません」


 サラがその質問に答えた。

 

「いろんなギルドで何度も説明していますが、彼らは勝手にくっついてきて勝手に死んでいるだけです。私達が直接手を下した事はありません。殺していないのですからギルドの指示だと言うこともありえません」

「そうですっ。ほんとにわたし達は迷惑してるんですっ」

「そうか。わかった」


 またもホスティはサラ達の言い分をあっさりと信じたようだった。

 それにはヴィヴィが不審に思った。


「ぐふ?本当に信じたのか?」

「なんだ不服か?」

「ぐふ、いや。だが、不満はある」

「なんだ?言ってみろ」

「ぐふ。そんな簡単に信じるなら何故私達をわざわざヴェインに呼んだ?」

「お前達には他にも話したいことがあるからだ。シージン」

「はい。では私から説明させて頂きます」


 シージンが語ったのはリオを暗殺するために盗賊を装い村を襲ったクズ冒険者達の件だった。

 そのほとんどはリオとヴィヴィによって殺されたが、村に残っていた残党は捕らえられてこのヴェインギルドで尋問を受けた。

 その時の移送にライバーを使ったらしく、その事で彼らは何故か高待遇を受けていると勘違いしてしまいバカっぷりを遺憾なく発揮した。

 彼らが「主犯はリサヴィ!」だと言った事をシージンから聞かされたときには皆、呆れ顔をした。

 いや、リオはいつも通り無表情だった。

 リサヴィも彼らを尋問しており、大まかな内容はシージンの話す内容と大差なかった。

 新情報は彼らとは別口で誘われたらしいBランクパーティと共犯だったギルド職員が捕まった事とそのすぐ後にその者がギルドの地下牢で不審死を遂げた事だ。


「ぐふ。それはまだギルドに共犯者が残っていたのではないか?」

「嘘発見くんを使わなかったのですか?」


 魔道具、嘘発見くんは希少で冒険者ギルドではヴェインギルドにしか置いていなかった。

 クズ冒険者達をヴェインに連行したのはこの嘘発見くんにかけるためでもあったのだ。

 二人の問いにシージンが答える。


「お二人のご質問ですが、嘘発見くんはもちろん使用しまして、その結果からギルド内に共犯者はいないと判断致しました」

「そうですか」

「ぐふ。ではその者はどうのように死んだのだ?」


 シージンが一度ホスティを見て、頷くのを確認してから言った。


「突然苦しみ出して体が四散したそうです」

「「「!!」」」


 リサヴィのリオ以外の表情が険しくなる。


「それを見た者は大丈夫でしたか?」

「……と言いますと?」

「私達はそのように死んだ者を以前に見たことがあります」


 サラは旅劇団の護衛をしている時にハンドレッドアイズを引き連れて来た冒険者達の事を話した。

 ホスティとシージンが納得顔で頷く。


「その話は聞いていた。やはりその時の冒険者はお前達だったか」

「はい」

「ぐふ。どうやらその時の奴らと今回のリオの暗殺をけしかけた者達は同じ奴らのようだな」

「そうですね。私達のときは四散すると同時に毒のようなものを振り撒いたのですがそちらは大丈夫でしたか?」


 サラの問いにシージンが答える。


「幸いにも彼の独房には結界を張っていましたので誰も被害者はでませんでした」

「それはよかったです」


 アリスが首を傾げながら疑問を口にする。


「村を襲撃したクズ冒険者達はそんな死に方しなかったんですよねっ?捕まえたクズもそんな事になりませんでしたしっ」

「ぐふ。人数が多かったからそんな小細工しなくてもリオを殺せると思ったのだろう。それに使えばクズ達も巻き添いになるしな」

「なるほどっ」

「お前達はそいつらに心当たりはないのか?」

「一番可能性が高いのは邪神メイデスの使徒達でしょう。何度か彼らの邪魔をしていますから」


 ホスティの問いにサラはそう言い、メイデスの使徒との出来事を語った。



 話を聞き終え、ホスティとシージンは難しい表情をする。

 

「メイデスの使徒か」

「確かにこのところよく噂にしますね」

「そうだな」


 どうやらホスティ達も心当たりがありそうだったが、内容までは口にしなかった。

 

「それでその事を教団に、ナナルには話しているのか?」

「はい。教団でも調査するとの事でした」

「そうか。メイデスの使徒達の件は教団に任せた方がいいだろうな」

「私もそう思います」


 こうしてリオ暗殺の件の話も終わった。



 リオを除くリサヴィのメンバーはホスティのとの会談は厳しいものになると思っていたが、ここまで全くそんな雰囲気はない。

 アリスがほっとする一方で、サラとヴィヴィは今回の呼び出しの目的は別にあるのではと思い始めていた。


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