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悪夢を振り払え〜あなたを魔王にはさせません!〜  作者: ねこおう
第4部 クズ達のレクイエム編(タイトル変更)
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427話 クズ冒険者の提案 その2

 クズ冒険者達の神経の図太さは尋常ではないのでこの程度の諦めたりは決してしない。 


「ったくしょうがない奴だな」

「あなた達には言われたくないでしょう」


 サラがそう言うとクズ達の標的がアリスからサラに移った。


「サラ、お前はやっとわかったようだな」

「はい?」


 リーダーは意味ありげにリオを一度見てからサラに言った。


「ショタコンを卒業したってわけだ。だか、顔に走るのはよくないぞ」

「は?」

「ああ、感心しないぞ」

「男は顔じゃない。ここだ!」


 そう言って大して太くもない腕を曲げて力こぶを作って見せるがこちらも大したことはなかった。

 にも拘わらずその顔はなんか誇らしげだった。


「よしっ!俺らが本当の男って奴を見せてやるぜ!」

「ああ!一緒の依頼を受けてな!」


 相変わらず彼らの顔は根拠のない自信に満ち溢れていた。


「さっきから何を言っているのですか?」

「何を言ってんだ。前に連れてたショタ野郎を捨ててこいつに乗り換えたんだろう?」

「……は?」

「まあ、わからなくなもない。あの野郎は不気味だったからな」


 サラが「何を言ってるのこの人達?」と首を傾げていると冒険者達からも驚くべき発言が飛んだ。


「馬鹿野郎!何言ってんだお前らは!!」

「そうですよ……」

「俺達は黙ってたのによ!」

「……は?」


 サラはギルドに入った時から冒険者達のリオへの視線が気になっていた。

 リサヴィで最も注目を浴びていなかったリオが注目を浴びている。

 今までリオをリッキーキラーと呼ぶ者は見下すものだった。

 冷笑する狂気と呼ぶ者は恐怖に身を震わせた。

 それが今、リオの姿に多くの女性、そして一部の男性が魅入られていた。

 それ自体はわからなくもない。

 リオの容姿は整っており、はっきりいって美形だ。

 今までは一部の者達しかリオが美形である事に気づいていなかった。

 何故か大半の者達がその美しさに全く気づかなかった。

 それが突然皆が気づき始めた。

 まるで今までのリオは魔法か何かで姿を変えており、その効果が消えて本来の姿が見えるようになったかのようだ。

 そう思っていたサラであるが、ここにいた彼らはリオが美形だったと“気づいた”のではなく、サラが勇者候補をショタから顔がいい男に“乗り換えた”と思っていたと知り愕然とする。

 前に出会ったイケメンズもそうだったが、ここにいる冒険者達もリオの顔を覚えていた者はいなかったようである。


「何言ってるんですかねこの人達っ」

「ぐふ」


 サラはアリスの言葉ではっ、と我に返るととりあえず今の話は聞かなかったことにしてクズ冒険者排除を最優先に行動する事にした。


「あなた達はリサヴィ派を名乗る者達を恐れているのでしょうが、彼らはクズスキルを用いる者達をターゲットにしているはずです。単独依頼を受ければ彼らに狙われる事はないでしょう」


 サラの正論にもちろんクズ冒険者達は納得しない。


「ざけんな!さっき言っただろうが!俺らにはリハビリが必要だと!」

「それによ、失敗したら誰が責任をとんだ!?」

「お前がとるのかサラ!?責任とって俺らの仲間になるっていうんだったら受けてやるぞ!!」

「「だな!!」」


 サラはクズ冒険者達の発言に言葉を失う。

 いや、それはサラだけでなく、彼らのバカ発言を聞いた者全員だった。

 いち早く立ち直ったサラは何故かキメ顔をしていたクズ冒険者達に冷めた目を向けて言った。

 

「アリスもさっき言いましたが、自分達で無理なく達成できる依頼から始めればいいだけです」


 サラの正論はまたもクズ冒険者達には通じなかった。

 逆ギレしてカッコ悪い事を大声で叫ぶ。


「ざけんな!そんな事してたら降格すんだろうが!!」

「俺らがCランクに上がんのにどんだけ無理したと思ってんだ!!」

「俺らがCランクの依頼を単独で達成できると思うな!!」

「「「「……」」」」


「どうだわかったか!?」とでも言いたそうな顔をしているクズ冒険者達にサラは再び冷めた目で言った。


「……つまり、Cランクの力がないと自覚しているのですね」


 サラの指摘でクズ冒険者達は自分達がバカな事を言った事にやっと気づく。


「「「……な、ざ、ざけんな!!」」」


 顔を真っ赤にして必死に怒鳴って発言を有耶無耶にしようとするが成功しなかった。

 これ以上、相手してられないと喚き続けるクズ冒険者達の前から去ろうとするが、彼らが前に回り込み行手を塞いだ。


「邪魔です」


 言うまでもないがクズ冒険者達は退かなかった。

 それどころか、何故か誇らしげな顔で話しかけてくる。


「まあ聞けって。これはお前らのためでもあるんだ」

「はあ?」


 サラは心底バカにした口調で言ったが彼らには通じなかった。


「俺達は何故かリサヴィ派に狙われる可能性がある」

「何故か、ではありません。理由ははっきりしています。クズスキルを……」


 サラの言葉を遮ってクズリーダーは話を強引に続ける。


「だがな!お前達が俺達と一緒に依頼を受ければ奴らが襲ってくる事はないはずだ!」

「まあ、襲って来てもお前らが返り討ちにすれば済む事だしな!」

「それでだ、無事俺達が帰って来れればお前達がリサヴィ派と無関係だと証明もできるってわけだ!」


 これだけ大勢の前で言質をとれば、仮にリサヴィがリサヴィ派と組んでいたとしても自分達に危害を加える事は出来ない、

 彼らはそう考えたのだった。


「そう、これはお互いのためなんだ!」

「ウィンウィンって奴だな!」


 そう言った彼らの顔はなんか誇らしげだった。

 が、その顔は一瞬で消えた。

 クズ冒険者達のバカ発言に我慢できなくなったヴィヴィがリムーバルバインダーでぶっ飛ばしたからだ。

 あほ面晒して気絶するクズ冒険者達。


「ぐふ。本当にいい加減にしろ、このクズ共」


 クズ冒険者とは言え、魔装士が三人を一瞬でのした事に冒険者達が驚く。

 「“暴力の盾”って二つ名は本物だったんだな」と誰かが呟くのが聞こえた。

 そこへギルド職員が慌てた顔でやって来た。


「精神攻撃を受けたのでっ反撃しましたっ」


 アリスは笑顔だったがその目は笑っていなかった。

 ギルド職員もクズ冒険者達を止めなかった罪悪感からか反論はなく、コクコク頷くのみであった。


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