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悪夢を振り払え〜あなたを魔王にはさせません!〜  作者: ねこおう
第4部 クズ達のレクイエム編(タイトル変更)
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424話 冒険者の不審死

 サラ達は街に着くと冒険者ギルドに向かう。

 いつも通りリッキー退治の依頼を受付に出したところ、受付嬢が冒険者カードを見て顔色を変え、奥に引っ込んだ。

 何事かと思っていると彼女の上司らしいギルド職員が現れて緊急の話があると言ってギルマスの部屋に案内された。

 このギルドのギルマスはとても腰が低く丁寧な口調で話し始めた。


「実は最近、冒険者の不審死が増えているのです」

「不審死、ですか」


 何故そんな話を私達にするのかとサラが首を傾げる。


「ぐふ。街中で死んでるのか?」

「いえ」

「では依頼中にということですか?」


 ギルマスは困った顔で答えた。


「冒険中にです」

「ぐふ。魔物に襲われて全滅もあるし、別に珍しいことではあるまい」

「ええ。そうなんですが……」

「ぐふ。言いたいことがあるならはっきり言え。私達は暇ではない」


 ヴィヴィの乱暴な言葉にギルマスは怒ることなく、逆に謝ってきた。


「すみません。不審死を遂げた者達には共通点があります。自身では依頼を受けず、依頼を受けた他のパーティの後ついて行った者達なのです」

「「「「……」」」」


 リオを除くリサヴィの面々はすごく嫌な予感がした。

 ギルマスは続ける。


「そして最近、その原因が明らかになりました。もう予想はついていると思いますが、依頼を受けた冒険者達が後をついて来た彼らを殺していたのです」

「「「「……」」」」

「その虐殺から逃れた冒険者がギルドにその事を訴えたことで事実が発覚しました。いえ、確定しました」

「お互いの言い分は聞いたのでしょう?」

「ええ。クズ……訴えた者達が言うには、依頼を受けた冒険者達がちゃんと依頼をこなせるか心配になって手助けしてやろうと後をついて行ったら殺されかけた、と言っていました」

「「「「……」」」」


 しばし沈黙後、ヴィヴィが口を開いた。


「ぐふ。要約するとクズスキルの“コバンザメ”、あるいは“ごっつあんです”目的でついて行ったら相手にキレられて殺されかけたということか」

「はい、そのようです」


 ギルマスが頷いた。


「呆れてものが言えませんね」

「でもっクズなのによく逃げ切れましたねっ」

「ぐふ。アリス、まだまだ甘いな。クズはな、足だけは鍛えている者が多いのだ」

「?……ああっ!!“ごっつあんです”や魔物から逃げるときのためですねっ」

「ぐふぐふ」


 ヴィヴィがよく出来ましたとでもいうように満足げに頷き、正解したアリスが嬉しそうに笑顔になる。

 サラはそのやり取りに呆れながらギルマスに続きを促す。


「それで訴えられたパーティはなんと?」

「クズパ……訴えたパーティが何も言わずに後をつけて来たので恐怖を感じた、と」

「状況から考えても訴えられたパーティの言い分の方が筋が通りますね」

「はい」

「それでそれが私達と何の関係が?」

「訴えられたパーティですが、彼らは自分達のことを“リサヴィ派”と名乗っていたそうです」

「はあ」

「ぐふ。一応確認だが、そのリサヴィ派のリサヴィというのは私達の事か?」

「はい、間違いありません」


 サラは頭が痛くなった。

 確かに冒険者の中にはリサヴィに関わって命を落とした者がいるのは確かだが、直接手を下したのは盗賊など明らかに犯罪を犯していた者達だけだ。

 限りなく黒に近いグレーな者達を殺した事はない。


「私達はその者達と無関係です。リサヴィ派、というのも今初めて知りました」

「そうですか」

「ぐふ。それで何か問題があるのか?クズが一掃されていいではないか」

「実を言いますとありません」


 ギルマスは迷わずキッパリ言い切った。


「クズ……彼ら自身は依頼を受けていませんから依頼達成率は変わりませんし、ギルドの居心地が良くなったという者もいるくらいです」

「はあ」

「とはいえ、やはりこのままにしてもおけません」

「ぐふ。確かにこういう輩はそのうち暴走して最初の目的とは違う事をし出すからな」

「その通りです」

「ベストは彼らに反省してもらって……」

「ぐふ。無理だな」

「ですねっ」

「そうなんだ」

「そうですね」

「ちょっ、ギルマスまで!?いやっそんな早く諦めないでください!」

「では協力して頂けますか?」

「そ、それは……」


 ギルマスの問いにサラは言葉を詰まらせ、他のメンバーを見るが皆、非協力的な視線を返すのみ。

 もちろん、サラもしたくない。

 という事でサラはギルマスの問いには答えず、締めにかかる。


「と、ともかく、私達に出来る事はそうはないですよ。せいぜいそのリサヴィ派とやらとは無関係で私達は認めていないと言うくらいでしょうか」

「ぐふ。やるなら自分達の名を使えと言いたいな」

「ヴィヴィさんの言うとおりですっ」

「そうなんだ」


 リサヴィはそのリサヴィ派とは無関係であると念を押してその街を去った。



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