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悪夢を振り払え〜あなたを魔王にはさせません!〜  作者: ねこおう
第4部 クズ達のレクイエム編(タイトル変更)
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381話 魔装具の修理

 ギルドを出たリサヴィは宿屋へ直行せず防具屋へ向かっていた。

 フラインヘイダイによってヴィヴィのリムーバルバインダーの魔法コーティングが一部剥げたのでその修理をするためである。

 しかし、残念ながら修理できないと断られた。


「カルハンに近いのに出来ないんですねっ」


 アリスが不満を口にする。


「ぐふ。近くとも別の国だからな。それに予想はしていた」

「そうなんだ」

「あっ、じゃあ、ウーミさんに聞いてみたらどうですっ?その魔装具ってウーミさんが手に入れたんですよねっ」

「そういえばそうでしたね」

「ぐふ。そうだな」

「じゃあ、聞いてみよう」

「ですねっ」

「ぐふ。そうすると商業ギルドだな」


 リサヴィは商業ギルドに向かった。



 商業ギルドの中に事務所を構えている商会も多い。

 ウーミが働いているイルシ商会も商業ギルド内に事務所を構えていた。

 リサヴィが商業ギルドを訪れると皆の注目を浴びた。

 どうやら皆リサヴィの事を知っているようだった。

 ベルダ解放の事は公にしていないが、勘づいている者達もいるようだ。

 サラが受付でイルシ商会のウーミに会いたいと言うとしばらくしてウーミが走ってやって来た。


「皆さんから会いに来てくれるなんてうれしいです!」

「はあ。実はウーミに相談があるのですが」

「そうですか。立ち話もなんですからどうぞこちらへ」


 ウーミに案内されて商談に使われる部屋に案内された。


「それで今日はどんな御用でしょうか?」

「ぐふ。魔装具についてだ」

 

 ウーミはヴィヴィから話を聞き、難しい顔をする。


「話はわかりましたが、僕もちょっと難しいですね」

「ぐふ。お前はこの魔装具をどうやって手に入れたのだ?」

「いやあ、大変でしたよ!」


 そう言うとウーミの苦労話に見せかけた自慢話が始まった。

 リサヴィの避難の目がヴィヴィに集中するが、表情は仮面で見えず、態度も特に変化はなかった。

 しかし、ヴィヴィも自慢話を聞く気はないようでウーミの話を強引に断ち切った。


「ぐふ。ないならそれでいい。邪魔したな」


 リサヴィが立ち去ろうとするとウーミが慌てて呼び止めた。


「ちょ、ちょっと待ってください!」

「ぐふ。私達は暇ではない」


 ヴィヴィはそう言ったが、実際のところはベルダ鉱山への許可証待ちで時間を持て余していた。


「すみません、結論を言うとリムーバルバインダーを修理する方法はあります。あ、これは言い過ぎですね。可能性はあります」


 その言葉を聞いて皆が立ち止まり、ウーミを見た。


「ぐふ。どういうことだ?」

「はい。実はベルダ鉱山では運搬に魔装士が使われていまして、そのほとんどはフェラン製の搬送に特化した廉価版なんですが、カルハン製のものも少なからず使用していたはずです」

「えっとっ、つまりっ、その人から買い取るって事ですかっ?」

「それも手ですが、鉱山には魔装具の修理が出来る者が常駐しているはずなのでその方に修理をお願いしてみては如何でしょうか?ベルダ鉱山なら皆さんの目的地であるユーフィ様のところへ行く時に必ず通るところですし、それほど手間でもないでしょう」

「ぐふ。そうだな。助かった」

「いえいえ。お役に立てて何よりです」

「しかし、そうしますと結局、ギルドから許可証をもらうまでは何も出来ませんね」

「ですねっ」

「あっ、皆さんは許可証を待っているのですか?」

「はい。ギルマスからはあと二、三日はかかると言われています」

「そうですか……」


 そこでウーミは何事か考える素振りをして顔を上げた。


「それでは私達の護衛をして頂けませんか?」

「はい?」

「実はイルシ商会としてベルダ鉱山へ荷物を運ぶ物があるんですよ」

「えっ、この非常時にですかっ?」

「といいますか、これは魔物の襲撃が起こる前に決まっていたものなのです。中止という話も来ていませんのでどうしようかと困っていたところなんです」

「そうなんですねっ」

「もちろん、事情が事情なので相手も強く抗議は出来ないと思いますが、商人としては可能な限り契約は果たしたいわけです」

「なるほど。それなら私達が許可証を持っていなくても鉱山へ入れますね」

「はい。どうでしょうか?」

「ぐふ。出発はいつだ?」

「明後日には出発したいと思っています」

「ぐふ。いいのではないか。ギルマスの話も予定であって確定ではない」

「ですねっ」

「そうですね。リオはどうですか?」

「いいよ」

「ありがとうございます!」


 そこでサラは気になる事を尋ねる。


「あなたもユーフィ様のもとへついて来てもらう事になりますがそれは大丈夫ですか?」

「ああっ、そうですねっ。わたし達だけで行ったら帰り許可証がないですねっ」

「ご心配なく。もちろん、私も一緒に行きますので」

「そうですか。それではお願いします」

「はい!」


 ウーミが勢いよく立ち上がる。


「じゃあ、早速交代の話をして来ないと!」

「はあ、ん?交代?」

「はい。実はベルダ鉱山へ向かう予定だったのは僕の隊じゃなかったんです」

「ぐふ。話をつけてくれるだけでいいぞ」

「いえいえ!僕が皆さんと旅をしたいんです!」

「ぐふ。では頼む」

「はい。すぐ確認して来ますので少し待っててください」


 ウーミが部屋を出て行こうとするのをヴィヴィが止めた。

 

「ぐふ!ちょっと待て!」

「はい?」

「ぐふ。フットベルダのような事は御免だぞ」

「……ああ。はい。今回は誰がなんと言おうと同行は断ります!」


 そう言ってウーミは部屋を出て行った。



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