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悪夢を振り払え〜あなたを魔王にはさせません!〜  作者: ねこおう
第4部 クズ達のレクイエム編(タイトル変更)
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378話 デバグ・デッドとの再戦

 目の前の光景を見てサラが呟いた。

 

「ーーやはりこうなりましたか」


 ウォルーを倒した場所に戻ってみるとその場に残ったCランククズパーティの死体が転がっていた。

 

「ぐふ。クズリーダーの仲間もいるな」

 

 ヴィヴィの言う通り、Bランククズパーティの盗賊と魔術士の斬り刻まれた死体も転がっていた。

 Bランククズパーティの神官の死体はなかったので、何らかの理由で彼らと別れ、一人で街へ帰った可能性もあるが確認する手段はない。

 クズ冒険者達を葬った犯人だが探す必要はなかった。

 デバグ・デッドがクズ冒険者の頭をまるでボール遊びでもするかのように蹴って遊んでいたからだ。

 デバグ・デッドがクズ冒険者の頭を蹴るのをやめてリオ達を見た。

 その顔はとても太々しかった。


「何よあの魔物!?」


 カレンのメンバーはデバグ・デッドを今まで見たことが事がなかったようだ。


「なんであの時、一緒に襲ってこなかったんだろう?」


 リオはこの魔物が隠れていた魔物だと確信していた。

 リオの疑問にアリスが答える。


「デバグ・デッドは縄張り意識が強いんですっ。ここの縄張りが最初にやっつけたデバグ・デッドだったんだと思いますっ」

「そうなんだ」

「ここを縄張りにしてたのが死んだのでっ、縄張りを広げにやって来たんだと思いますっ」


 デバグ・デッドは数的劣勢にも拘らず戦う気満々で尻尾を刃形態にさせて手に持った。

 更に地面に突き立ててあった剣を抜いた。

 それはBランククズパーティのリーダーが持っていた魔法剣だった。

 デバグ・デッドが右手に刃形態に変えた尻尾、左手に魔法剣を持って構えた。

 アリスが思わず叫ぶ。


「ええっ!?二刀流っ!?」


 その構えは様になっており、初めて試す訳ではなさそうだった。


「……へえ、面白いね」


 リオは前に出ると剣を抜き、二刀流で対峙する。


「あ、今度は最後まで僕が相手するから邪魔しないでね」


 先に遭遇したデバグ・デッドはCランククズ冒険者とBランククズパーティのリーダーが割り込んで来たので最後まで戦えなかった。

 それがリオは不満だったようだ。

 

「え?ちょっとリオ!?」


 カレンのメンバーはリオの言葉に慌てるが、リサヴィのメンバーは平然としていた。


「ぐふ。向こうは魔法剣を持っているぞ。そんな装備で大丈夫か?」

「大丈夫。問題ない」

「ぐふ」

「気をつけて下さい」

「頑張って下さいっ!」


 連携を取ろうとしないリサヴィの様子を見てカレンのリーダーが思わず叫ぶ。


「ええっ!?あなた達、それでいいの!?」

「向こうは魔法剣を持ってるのよ!」

「ヴィヴィが魔法の武器を持ってるんでしょ!?一番いいので挑みなさいよ!」


 しかし、カレンのメンバーはすぐ、「ああ、あの魔物は見掛け倒しなんだ」という結論に達した。

 だが、その考えは直ぐに間違いだと気づく事になる。



 デバグ・デッドの剣術は大したものであった。

 並のCランク冒険者なら二、三打ち合う間に屍に姿を変えていただろう。

 Bランク冒険者であっても一人で立ち向かうのは厳しいだろう。

 しかし、リオはCランク冒険者であるが並ではなかった。

 刃形態の尻尾を剣で受け止め、受け流す。

 魔法剣の一撃は流石にまともに受け止めるのは危険と判断し、避けたり、避けるのが難しい時はその刀身の平を叩いて剣先の方向を変えて防いだ。

 このデバグ・デッドは先のデバグ・デッドより遥かに強かった。

 しかし、それでもリオの力の方が上で、武器の不利を補って余りある。


「……すごい!」


 カレンから感嘆の声が漏れる。

 デバグ・デッドは刃形態の尻尾を手放すと尻尾単体で上空から、死界からリオを襲った。

 しかし、リオはその攻撃を読んでいたのか、難なくかわす。

 奇襲が失敗と見るとデバグ・デッドは尻尾を再び刃形態にして二刀流の構えに戻した。


「な、何よあの尻尾は!?」

「あんな自由自在に動くの!?」


 このデバグ・デッドは攻撃力だけ見れば先のフラインヘイダイより上であった。

 カレンはデバグ・デッドの強さに驚き、それ以上にそのデバグ・デッドに一人で立ち向かい、まだ余力を残しているように見えるリオの強さに驚いていた。


「あの魔物ランクはいくつよ!?」


 アリスがカレンの疑問に答える。


「デバグ・デッドのランクはCですっ」

「ええっ!?あれでCなの!?」

「はいっ。ただっBランク相当という人もいますよっ。尻尾はっ、第三の腕と呼ばれているんですっ。それくらい自由自在に動くんですよっ」


 そこに戦いの最中だというのにリオが会話に参加してきた。


「ああ。第三の腕と言えばナックが言ってたんだけど……」

「リオ!今はそんなバカ話はいいですから目の前の敵に集中しなさい!」

「そうなんだ」


 デバグ・デッドは刃形態をした尻尾でリオの剣と刃を交えた瞬間、その尻尾が刃形態からジャバラ形態になり、リオの剣の刀身に巻き付いた。

 そしてその先端がしゅっ、とリオに迫る。

 顔に突き刺さるかと思えた攻撃だったが、リオは紙一重でかわし、尻尾が絡まった剣を手放すとすかさず短剣を手にして、デバグ・デッドの体に突き刺した。

 短剣はデバグ・デッドの体を貫通して背中へ突き抜けた。

 その直前、刺した音とは明らかに異なる金属と金属がぶつかるような鈍い音がして短剣によりデバグ・デッドの体内から何かが体外へ押し出された。

 プリミティブだった。

 プリミティブを失ったデバグ・デッドは全身の力が抜けたように倒れた。

 デバグ・デッドはプリミティブを掴もうとそちらへ手を伸ばすが、その前にリオが短剣を頭に突き刺すとその手は力を失い、完全に動きを止めた。


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