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悪夢を振り払え〜あなたを魔王にはさせません!〜  作者: ねこおう
第4部 クズ達のレクイエム編(タイトル変更)
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376話 共闘の提案

 カレンの言い争いを見ていたアリスがちょっと興奮気味に言った。


「なんか向こうでキャットファイトが始まる雰囲気ですっ」

「ぐふ。体力が有り余っているのだろう」

「そうなんだ」


 ちなみにCランクパーティはこれ以上、難癖をつけられるのが嫌なのでその場から離れ、Cランククズパーティの遺体を山林に埋めに行った。

 もちろん、ちゃっかりガルザヘッサの素材は回収し自分達のものにした。

 冒険者カードと金目のもの(はほとんど持っていなかったが)も回収したが、こちらはギルドに預ける予定だ。

 


 アリスの予想は外れ、キャットファイトは回避されたが、壁になる事を頑なに拒否するリーダーと女盗賊。

 埒が明かないと見て全裸女魔術士がリサヴィに声をかけて来た。


「ちょっと、そこの神官とあなたはサラよね、それに魔装士のあなたもあの変態に狙われてたんだから女なんでしょ?服着たいからその間壁になってよ!」

「ぐふ?私は戦闘で疲れている。仲間に頼め」


 ヴィヴィの言葉に全裸長髪女戦士が見下した目でリーダー達を見て言った。


「わたし達に嫉妬して協力してくれないのよ」

「何が嫉妬よ!?」

「そうよ!変態に狙われてなくてほっとしてるのよ!」

「大体、そんなに恥ずかしがる事ないでしょ。乙女じゃない癖に!」

「ああっ!あなた何言い出すのよ!?」

「あなたがそのつもりならこっちも言うわよ!あなただって何度も馬鹿な男に騙されて……」


 醜い争いが目の前で展開されるのを見てヴィヴィが呆れた声で言った。


「ぐふ。お前達の黒歴史など誰も知りたくないぞ」

「「「「な、何が黒歴史よ!」」」」


 サラはこのまま放っておく事も出来ず協力する事にする。


「ヴィヴィ、アリス、手伝いましょう」


 そこで空気が読めない、というか何も考えていないリオが言った。


「じゃあ、僕も手伝うよ」

「「男は向こう行ってなさい!」」


 即、全裸女魔術士と全裸長髪女戦士が怒鳴った。


「そうなんだ」



 全裸冒険者達が服を着た後、お互いに落ち着きを取り戻し、彼女達は和解した。

 少なくとも表面上はそう見えた。

 アリスがふとある時に気づいた。


「あっ、リオさんっ、リフレッシュかけますねっ。変な臭いとかついてるかもしれませんからっ」


 ちなみにサラは戦闘終了後に女魔術士に気を遣ってこっそり自身にリフレッシュをかけていた。

 アリスの言葉に口だけフラインヘイダイにぱんつを取られた長髪女戦士が反応してアリスを睨みつける。


「ちょっと、それどういう意味よ!?」

「えっ?だってリオさんっ、とっさの事とは言えっ、ぱんつを握りしめましたからっ」

「わたしのぱんつが汚いって言うの!?」

「えっ?でもっ、しみぱんだってっ……」

「染みなんてついてなかったわよ!」

「まあっ、それはともかくっ、何日履いていたかわからないぱんつをっ触ったんですからっ」

「……あなた、なんかムカつくわね」

「えっ?そんな事ないですよっ」


 アリスがのほほんとした顔で否定した。

 そこで長髪女戦士はふっ、と勝ち誇った顔を浮かべる。


「ああ、あなたもフラインヘイダイに狙われなかったのでわたし達に嫉妬してるのね」


 自慢げな顔をする長髪女戦士にアリスは首を傾げながら答える。

 

「えっ?前に狙われましたよっ」

「……え?」

「前に耳だけの奴に狙われたんですっ。でもリオさんが助けてくれたんで事なきを得ましたっ!」


 そう言ったアリスの顔は誇らしげだった。

 長髪女戦士の言葉を内心ムッとして聞いていたリーダーが反応した。

 

「アリス、だったわね。あなた達だったの?セユウに現れたという耳だけの奴と遭遇したのは?」

「そうですよっ。耳だけのはわたしが好みだったみたいですっ。ああ、思い出しただけでも嫌な気分になりますっ」


 そう言いつつその時の状況をアリスが説明し始める。

 ちなみにリオの活躍は二百パーセントほど誇張されていた。


「……なるほど。今回、あなたが狙われなかったことからその耳だけの奴は……」


 リーダーがぶつぶつ呟き、その側では女盗賊も何かを考えていた。

 女魔術士が疑問を口にする。


「今の話を聞くと耳だけの奴はさっきの奴らより感知能力が低いわね」


 長髪女戦士が頷く。


「耳だけフラインヘイダイが最弱なのかしら?」

「ぐふ。確かにさっきの二体とは明らかに能力が劣っていたな」


 サラが推測を述べる。


「どこか故障していたのかも知れませんね」


 そこで考え事をしていたリーダーが顔を上げてサラに尋ねた。


「その時は一体だったのよね?」

「ええ」

「だったらあなた達なら余裕で倒せたんじゃないの?なんで倒さなかったの?」


 サラがその時の状況を思い出したのか不機嫌な表情で質問に答えた。


「フラインヘイダイのリアクティブバリアの事を知っていましたし、その時は別のクズ達に付き纏われて邪魔だったんです」

「クズってさっきの奴らくらいの?」

「ええ」


 アリスが補足する。


「そのクズ達は自分達で“フラインヘイダイ討伐隊”って名乗っておきながら、わたし達に倒させて自分達の手柄にしようと考えてたんですっ!」

「そ、そう。それはやる気なくすわね」



 話に一区切りがついたところでカレンのリーダーがリサヴィのリーダー、と思ったサラに相談を持ちかける。

 

「サラ、私達でフラインヘイダイを討伐しましょう!」

「嫌です」


 サラが即拒否した事にリーダーはしばし呆然とした。

 同じ事を考えていたのか女盗賊が理由を尋ねる。

 

「何故よ!?あんな変態を野放しに出来ないでしょ!」

「あの変態に別の変態が集まって来るからです」

「え……?それはどういう意味?」


 サラはフラインヘイダイに裸にひん剥かれて何故か神のように崇めるようになった仮面だけつけた変態集団、美女仮面団とその彼女達を痴女盗賊団と呼び追いかけている痴女盗賊団捕獲隊の事を話した。

 

「……と言う事でフラインヘイダイに関わると面倒な事に巻き込まれます。特にあなた方、」


 そう言って女魔術士と長髪女戦士を見た。

 

「ひん剥かれた事が公になれば間違いなく美女仮面団から勧誘が来ます。道を踏み外したくなければ発見報告だけにとどめておく事をお勧めします」


 サラの言葉を聞いて「仮面だけで……」と長髪女戦士が呟き、妖しい笑みを浮かべた。

 サラは気付かなかった事にした。



「じゃあ、フラインヘイダイ討伐に協力してくれるわね?」


 今までの話をちゃんと聞いていたのかと疑問が残るカレンのリーダーの問いかけにリサヴィの女性陣は即答した。


「嫌です」

「嫌ですっ」

「ぐふ、断る」


 女盗賊も諦めていないようだった。


「そんな事言わないでよ。フラインヘイダイは暗黒時代の産物なんでしょ?きっと奴らの住処にはお宝がいっぱいよ!」

「お宝……」


 サラ達の脳裏にぱんつを頭に被り、両手に持ったぱんつを振り回すフラインヘイダイ達の姿が浮かんだ。


「……ぐふ。宝と聞いてこれほど心が踊らないとはな」


 結局、フラインヘイダイの居場所がわかったらその時の状況を考慮して慎重に検討する、とサラが回答する事で落ち着いた。

 サラは彼女達とはすぐ別れるつもりだったので実質、拒否回答である。



 Cランククズパーティの埋葬を終えたCランクパーティが戻ってきた。

 それを見てカレンのリーダーがCランクパーティに言った。


「あなた達、ドライね」

「なに?」

「クズとはいえ仲間が死んだのに悲しんでいるように見えなかったわ」

「というか、私にはすごく嫌そうに見えたけど」

「当たり前だ!あいつらは仲間なんかじゃないクズだ!」

「クズは知ってたけど、それってどういう事?」


 Cランクパーティが彼女達にクズ集団プライドの説明をする。

 

「ああ、あいつらもそうだったのね」

「でも笑えるわね。クズがプライドって」

「ぐふぐふ」

「だが、それも終わりだ!」


 そう言ったCランクパーティの盗賊にカレンのメンバーの視線が集まる。


「どういう意味?」

「プライドのクズリーダーをリオがボコったんだ!もう終わりだぜ!」


 そう言った盗賊は自分がやった事でもないのに何故か誇らしげだった。

 サラはこの盗賊がまたおかしな妄想を口走る前に話を変える事にした。

 

「ところでカレンの皆さん、私達は街道の魔物討伐依頼を受けていたのですがこの先はどうでしたか?」

「あの変態以外は出なかったわ」

「そうですか。リオ、依頼は十分でしょう。もう街へ戻りませんか?今から帰れば日が暮れる前には街へ戻れるでしょう」

「わかった」


 こうしてリサヴィはCランクパーティ、それにカレンを加えてベルダへの帰路についた。


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