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悪夢を振り払え〜あなたを魔王にはさせません!〜  作者: ねこおう
第4部 クズ達のレクイエム編(タイトル変更)
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373話 欲望の末路

大筋は変わりませんが、おかしいところがあったので修正しました。

「……遅かったようですね」


 向かって来るフラインヘイダイ達が手にした戦利品、ぱんつを見てサラが吐き捨てるように言った。

 更にアリスが叫んだ。


「あっ!あの目だけの奴が持ってるぱんつっ!あれは勝負ぱんつですっ!」

「「「……」」」

「すっ、済みませんっ、なんでもないですっ」


 アリスは顔を真っ赤にして俯いた。

 勝負ぱんつを振り回していた目だけフラインヘイダイの目がサラを捉え、振り回していた腕がぴたりと止まった。

 そしてその目がいやらしい目つきに変わる。


「ぐふ。サラをロックオンしたな」


 どこか嬉しそうに呟くヴィヴィ。

 サラはムッとしながらも目だけフラインヘイダイを警戒する。

 口だけフラインヘイダイが顔をヴィヴィに向け、じっと見ているように動かなくなる。


「ぐふ?」


 口だけフラインヘイダイの口元いやらしく歪んだ。


「おめでとうヴィヴィ!あなたもロックオンされたようね!」


 サラが嬉しそうに言った。


「……」


 フラインヘイダイ達が手にしたぱんつを頭に被った。


「……本当に変態ね」


 サラが吐き捨てる。

 その姿は確かに変態そのものであった。

 

「ダイニ、ラウンド、カイシ」


 口だけフラインヘイダイがカタコトで言った。

 そして、いやらしい目つきをした目だけフラインヘイダイがサラに、そしていやらしく口を歪めた口だけフラインヘイダイがヴィヴィに三本指を卑猥に動かしながら襲いかかった。

 こうして目だけフラインヘイダイ対サラと口だけフラインヘイダイ対ヴィヴィの戦いが始まったのだった。 

 サラは突撃をさっとかわして鉄拳をその顔に叩き込むと目だけフラインヘイダイが吹き飛んでいった。

 サラは魔法強化した拳で殴りつけたとき、その場所が発光し、その場所のみバリアが発生するのを見た。


「……今のがリアクティブバリア。噂に聞いた通り厄介ね」


 殴られた目だけフラインヘイダイはノーダメージであった。

 フラインヘイダイの体はマナタイト金属と鉄による合金製で、まず通常の武器では傷すらつけることができない。

 更にフラインヘイダイには特殊な機能が備わっていた。

 その名をリアクティブバリアと呼ぶ。

 衝撃を受けるとその場所にバリアを発生させて破壊を防ぐのだ。

 更に大気中のマナを直接取り込む機能もあり、その行動時間は事実上、無限だとされている。

 ここまで話すと無敵だと思うかもしれないが、マナを吸収する速度はそれほど速くはなく、戦闘によるマナの消費量は吸収量を大きく上回るためリアクティブバリアを無限に発生させる事が出来るわけではないのでマナ切れを狙えば倒すことは可能だ。


「……しかも賢い」


 フラインヘイダイが吹き飛んだのは、サラの鉄拳の威力からではない。

 リアクティブバリアを全開にすればその場に留まることはできた。

 だが、それではマナの消費が激しすぎると咄嗟に判断し、マナ消費を最小限に抑えるために自ら後方へ飛んだのだ。

 ちなみに今までフラインヘイダイを倒した者達は、次のような戦法をとっていた。

 広範囲魔法を連発してリアクティブバリアを身体全体に発生させてマナを枯渇させ、飛べなくなって落ちて来たところを接近戦でボコって撃破する、というものだ。

 だが、サラはこの戦法を使えない。

 そのような広範囲魔法を授かっていないからだ。

 上級魔族にも大ダメージを与えるアークフォースならフラインヘイダイのリアクティブバリアを貫通し倒せる可能性はあったが、ここにはリサヴィ以外の者もいるため使用を躊躇っていた。

 ヴィヴィなら広範囲魔法を持っているかもしれないが、サラのために使うとは思えない。

 使う気があったとしてもヴィヴィも別のフラインヘイダイと戦闘中でそんな余裕はないだろう。

 他に魔術士といえば、Cランクパーティの中に一人いたが、彼は広範囲魔法を持っていなかったし、例え持っていたとしても一度でも使えばフラインヘイダイに敵と判断され、瞬殺される事だろう。



 リオをはじめ他のメンバーは見学を決め込んでいた。

 リオはタイマンを邪魔しちゃ悪いとの考えからで、Cランクパーティはアリスに注意を受けたからだ。

 男性が攻撃すると殺しに来ると。

 彼らは自分達の力をわかっていたので戦いの邪魔をしないようにアリスの指示に従ったのだ。

 Cランククズパーティも邪魔さえしなければフラインヘイダイが攻撃してこない事を知っていたのでじっと戦いを見守る。(相手がフラインヘイダイでなくとも戦うとは思えないが……)

 リオはヴィヴィと戦う口だけフラインヘイダイを見てある事に気づいた。


「あれ?そう言えばヴィヴィが女だと気づいたんだ。ガールズハンターはわからなかったのに」


 リオの呟きをどうやったか知らないが口だけフラインヘイダイは理解した。


「ザコとは違うのだよ!ザコとは!」


 口だけフラインヘイダイは何故かここだけ流暢に喋った。



 ヴィヴィは口だけフラインヘイダイのセクハラ攻撃を回避していたが、フラインヘイダイの指先から分泌される溶液によりリムーバルバインダーの魔法コーティングが所々剥げかけていた。

 どう倒すか考えているところで、こちらへ向かって来くる女冒険者達の姿を認める。


「……ぐふ」


 先頭を走る二人は服を着ていたが後ろの二人が素っ裸だったことから、彼女達がフラインヘイダイの餌食になった事がわかる。

 全裸冒険者達はリュックで前を隠していたが完全には隠せず下半身の大事なところは丸見えだった。

 ちなみに予備の服はリュックに入っていたが、ぱんつを奪われなかった女冒険者達に急かされ、着る時間を与えられなかったのだった。

 リーダーがそれらしい理由を並べたが、悪意が全くなかったとは断言できない。

 山道を素っ裸で走るという羞恥プレイに全裸冒険者達は顔を真っ赤にしながら何かに目覚めそうな雰囲気であった。



 そんな女パーティ、カレンの元へ向かっているパーティがいた。

 本能に忠実に従ったCランククズパーティだ。

 彼らはフラインヘイダイの標的にならないように気をつけて遠回りしながら彼女達のもとへたどり着くと行手を塞ぐように立ち止まった。


「助けに来たぞ!」

「「「「……」」」」


 カレンの面々は彼らに感謝の言葉の代わりに嫌悪の表情を向ける。

 それは当然であった。

 彼らは下半身にテントを張り、前屈みになってやって来たのだ。

 更にその顔は鼻の下を伸ばし、いやらしい目つきで全裸冒険者達をガン見しており、とても助けに来たとは思えなかった。

 まあ、実際、彼らは助けに来たわけではないので彼女達のその思いは正しかった。

 クズ冒険者達は全裸の女魔術士と長髪女戦士をガン見しながら言った。


「俺達に任せてお前達は下がってろ!」


 言ってる事は男らしいがその表情と体勢が全てを台無しにしていた。

 言うまでもなく、カレンの面々は彼らを信用しない。


「冗談じゃないわ!あの変態達は私達の敵よー!」

「それに彼女達は防戦一方じゃない!」

「心配すんなって、あいつらに任せとけば大丈夫だ!」

「俺達が保証する!」

「「おうっ!」」


 そう言ったクズ冒険者達は前屈みで、その目は全裸冒険者達をロックオンしたままだった。

 その様子を見てカレンの面々は納得した、

 などという事は全くなかった。


「イヤらしい目でこっち見るな!」

「気にするな!俺達は気にしねえ!」

「こっちが気にする、って後に回るな!この変態ども!」


 全裸冒険者達が後に回り込もうとしたクズ冒険者達を睨みつける。

 余りのクズ行動に我慢できず、ひん剥かれなかったリーダーと女盗賊が全裸の二人を庇うように立つ。


「あなた達がクズなのはわかったからどっか行きなさい!」

「そうよ!私達はクズに構ってる暇はないのよ!」


 流石Bランク冒険者である。

 彼らがクズである事を一瞬で見抜いたのだった。

 ……いや、Bランクは関係ないかもしれない。


「「「「だ、誰がクズだ!?」」」」


 しかし、彼らはその場に留まり続け、相変わらず全裸冒険者達をガン見しながら言った。


「大丈夫だって。フラインヘイダイと戦っているのはリサヴィだぞ!」

「えっ!?リサヴィですって!?」


 カレンのメンバーは全員リサヴィの名を知っていた。


「じゃあ、目だけの奴と戦ってる戦士の姿の女性が、」

「おうっ、鉄拳制裁のサラだ!」


 そう言ったCランククズパーティのリーダーの顔は自分とは無関係なのに何故か誇らしげだった。

 ついでに他のメンバーもやっぱり何故か誇らしげだった。

 その時だ。

 彼らの頭上を何かが通り過ぎた。



 そのほんの少し前。

 ヴィヴィはやって来た女冒険者達に口だけフラインヘイダイの相手をさせようと向かって来た口だけフラインヘイダイをリムーバルバインダーで思いっきりぶん殴り、その女冒険者達の方へ吹っ飛ばした。


「ぐふ。本当に頑丈だな」


 殴られた口だけフラインヘイダイはノーダメージだった。

 ただ、ダメージこそないが、二十メートルほど離れた。

 これもサラの時と同じく、マナ消費量を抑えるために自ら後方へ飛んでダメージを逃したのだ。

 そこで口だけフラインヘイダイは先ほどの女冒険者達に気づいた。

 彼女達へ顔を向けて口を歪める。

 それは見下した笑みのように見えた。

 それに気づいたぱんつを奪われなかったリーダーと女盗賊が怒鳴った。


「「ぶっ殺す!」」


 口だけフラインヘイダイはとても性格が悪いようで、その怒りを受けて満足そうに頷く。

 そして、再びヴィヴィと相見えようとしてその直線上に障害物を発見する。

 その障害物とは、カレンに「助けに来た」と言っておきながら口だけフラインヘイダイがやって来たと知ると、彼女達を見捨てて我先にと逃げ出したCランククズパーティであった。


「「「「……へ?」」」」


 口だけフラインヘイダイは彼らをお宝奪取の邪魔をする者と判断し、排除のために右腕の三本指を刀に換装した。

 クズ冒険者達はそれを見て、自分達が口だけフラインヘイダイに敵と認識されたと気づく。


「ちょ、ちょ待てよっ!」

「ち、違う!」

「俺達は邪魔しね……がああぁぁ……」


 逃げようと背中を見せたクズ冒険者達を口だけフラインヘイダイが刀で容赦なく両断していく。

 直線上から逃げ出したクズ冒険者もいたが無駄だった。

 顔には口だけしかないのにどうやって位置がわかるのか不明であるが、そのクズ冒険者は追い回わされた挙句、背後から真っ二つにされて死んだ。

 こうしてCランククズパーティが全滅した。



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