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悪夢を振り払え〜あなたを魔王にはさせません!〜  作者: ねこおう
第4部 クズ達のレクイエム編(タイトル変更)
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347話 合同依頼を強要する者達

 リサヴィは十分休養を取ったので依頼を受けることにした。

 リサヴィがギルドに入ると多くの視線を浴びた。

 ほとんどの者達はそのパーティがリサヴィだと気づいているようだった。

 だが、今までのように無節操にサラやアリスの勧誘にやって来る者はいなかった。



 今までサラやアリスを勧誘する者達は根拠のない自信を持ったクズ冒険者が大半だった。

 ギルド規則を遵守するほとんどの冒険者は勧誘したい冒険者がいたとしてもその者が既に他のパーティに入っていると知れば行動を起こすことはない。(冗談ぽく誘って相手の様子を見る程度の事はする事もあるが、決して強引な、強要するような勧誘はしない)

 だが、リオがBランク冒険者の狂ったバーサーカーを倒したと知り、流石に彼らクズ冒険者達の根拠のない自信は揺らいだ。

 また、ほぼ同時に一部の者達が陰で呼んでいたリサヴィの二つ名、“死神パーティ”の名が広まってきた事も大きい。


「リッキーキラー、いや、リオだったか、奴はBランクに匹敵する強さを持っている」

「リサヴィを利用しようとしてコバンザメを仕掛けた者達が次々と謎の死を遂げたと言うぞ」


 死神パーティの噂を信じたあるクズパーティは、リサヴィを姿を見るなり、小さな悲鳴を上げてギルドから逃げ出して行った。


「なんか失礼ですっ」


 彼らが自分達の事を化け物でも見るような目で見ながら去って行くのを見てアリスがぷんぷんしながら言った。


「ぐふ。絡んでくるよりはいい」

「そうですね。少々不本意ですが」

「それもそうですねっ」

「そうなんだ」


 リオはそう呟くと依頼掲示板へ向かい、それにサラ達も続く。

 ちなみに今のリオは剣を二本装備している。

 増やした一本はフォリオッドから買った剣だ。

 二日間の休みの間に装備を見直して二本装備するようにしたのだった。

 依頼掲示板を眺めているリサヴィの元へ一組のパーティが近づいてきた。



 リサヴィに絡んで来る者達は激減したが、ゼロになった訳ではない。 

 リオの決闘やリサヴィの二つ名をまだ知らない者や、それらを知って尚、根拠のない自信に満ち溢れた冒険者達はいるのだ。

 そして、今まさにリサヴィに近づいてきたパーティこそ、根拠のない自信に満ち溢れたCランクパーティだった。

 とはいえ、彼らはサラやアリスを勧誘するつもりはなく、コバンザメをするつもりもなかった。


「リサヴィにコバンザメをやろうとしてのこのこついて行けば消されるかもしれねえ。しかしだ、合同依頼ならそんな暴挙はできないだろう」


 と彼らは考えて、リサヴィとの合同依頼に狙いを絞ったのだった。

 彼らのいう合同依頼とは、依頼を複数のパーティで行うことを前提とした、依頼掲示板に複数枚の同じ依頼が貼られるものと、一つの依頼を複数のパーティで受けるものの事だ。

 後者については一つの依頼を複数パーティで受けても報酬は変わらないので単純計算で一人あたりの報酬は下がる。そのため、実際には複数のパーティが組むというより、一組のパーティにフリーの冒険者が参加するようなパターンがほとんどである。

 今までにもリサヴィと同じ依頼を受けようと試みたパーティはいたが、それはあくまでもサラの前でカッコいいところを見せて自分がサラの勇者だとアピールするためだったので、彼らとは目的が全く異なっていた。


 「そこまでしてクズスキル?を使いたいのか?」、「真面目に依頼をこなせよ」と言いたいところだが所詮、彼等はクズ冒険者である。

 リサヴィの強さがBランクに匹敵するのは疑いようもなく、合同依頼ができさえすれば彼ら自身が何もしなくても依頼達成は約束されたようなものである。

 更にクズスキル?“ごっつあんです”が発動できれば言うことなしだ。

 彼らクズパーティは楽して稼げる方法をそう簡単に手放す気はなかったのである。

 クズパーティのリーダーがいつもリサヴィに声をかけてくるクズ達と同様に根拠のない自信を持って上から目線で話しかけてきた。


「よおっ、お前らも依頼を探してんのか?」


 リーダーは彼らがリサヴィである事を知りつつ、気づかない振りをして話しかけてきたが、サラ達はもちろん気づいていた。

 ギルドに入って来たとき、彼らが嫌な、ねちっこい視線を送って来ていたからだ。


「「「「……」」」」


 サラ達が不信感丸出しの目を向けるがリーダーは全く気にせず続ける。

 

「俺達もよ、ちょうど依頼を受けようと思ってたんだ。お前らも一緒に受けろよ」

「ラッキーだなお前ら!俺らと一緒に受けられるなんてよ!」

「おうっ!」

「だな!」


 彼らのパーティ内でのみ盛り上がる。


「これなんてどうだ?」


 リーダーはサラ達の返事を待たずに指差したのはBランクの依頼だった。

 リオが無反応なのでサラが代わりに答える。

 

「結構です」

 

 しかし、サラの言葉は通じなかった。

 彼らは根拠のない自信に満ち溢れたクズ冒険者達である。

 ちょっと冷たい態度を取られたくらいで引き下がる訳がなかったのである。


「しょうがねえなぁ。じゃあ、どの依頼をやりたいんだ?」

「DとかEはダメだぞ」

「おうっ、最低でもCだからな」


 すでに一緒に依頼を受ける事が決まったかのように話を続けるクズ冒険者達。

 彼らはこのように他の冒険者達にも済し崩しに一緒の依頼を受けさせた事が何度もあった。

 しかし、サラはこれまでの冒険者達のように状況に流される事はなかった。


「私達はあなた達と一緒に依頼を受ける気はありません。もう話しかけてこないで下さい」


 サラが再びキッパリと拒絶するとクズパーティは怒り出した。

 怒りでランクは同じでもリサヴィの方が格上である事をすっかり忘れ、いつもの調子で上から目線で怒鳴りつける。


「ざけんな!」

「こっちは妥協して依頼を選ばせてやるって言ってんだぞ!お前らも妥協しろ!」

「他に暇そうな人達を探して下さい」


 サラがバカな事を言い出すクズ冒険者に不機嫌な表情で反論すると彼らは更に怒り出した。


「ざけんな!」

「俺らがお前らと一緒にやってやる、と言ってんだぞ!」

「ったく、何度言えばわかんだ!?頭弱すぎだろ!」


 クズ冒険者達はこれまでと同様、格下相手に対する態度で喚き、サラ達のヘイト値を上昇させる。(リオは除く)

 最初に切れたのはヴィヴィだった。

 いや、サラとほぼ同時だった。

 サラはヴィヴィがリムーバルバインダーを操作する前に手で制した。


「カウンターへ行きましょう」


 サラはそう言うと先頭を歩き出し、それにリオ達が続く。


「おいおい、依頼決めたのか?俺らにも言えよ」

「ったく、チームワークってものを知らんな、お前らは」

「まあ、俺らがじっくり教えてやればいいじゃないか」

「おうっ、ベッドの上でとかな!」

「だな!」

「「「「……」」」」


 このクズ冒険者達もリサヴィが今まで出会ってきたクズ冒険者同様に客観的に物事を見ることが出来なかった。

 彼らは何故かリサヴィと一緒に依頼を受ける事が出来ると信じて疑っておらず、言いたい放題しながらリサヴィの後をついて来た。



「いらっしゃいませ」

「依頼掲示板にはなかったのですがリッキー退治はありますか?Fランクの」


 サラの言葉を耳にしたクズパーティからすぐさま突っ込みが入る。


「バカか、お前は」

「おいおいサラ、Cランク冒険者がFランクの依頼を受けれる訳ねーだろが!」


 彼らは相手がリサヴィだと知っている事を隠すのをやめたようだ。

 クズパーティから「ガハハ」と笑いが起きる。


「少々お待ちください」


 サラの質問を受けて受付嬢が事務所の奥へ消え、すぐに一枚の紙を持って戻ってきた。


「お待たせ致しました。丁度一件ございました」


 サラは受付嬢から依頼書を受け取り内容を確認する。


「おいおい、サラ、いや、受付の姉ちゃんもよ、受けられねえ依頼なんか見ても仕方ねえだろう」

「だな!」

「訳わかんねえ事やってねえで俺らと依頼を受けるぞ!」

「ぐふ。そっちの方がわけわからんな」

「んだとこの棺桶持ちが!」


 クズパーティのリーダーがヴィヴィに睨みをきかす。

 彼らはリオの強さは(不本意ながら)認めていたが、ヴィヴィの二つ名“暴力の盾”は知らず、そこら辺にいる魔装士と同じで雑魚だと舐めていた。

 サラは騒ぎを無視してリオに依頼書を見せる。


「リオ、これ受けていいですね?」

「いいよ」


 リオはきちんと目を通したかのか疑うほど返事は早かったがサラは確認しない。

 二人の会話を聞き、リーダーは目をヴィヴィからサラに移して「ガハハ」とまた笑い出す。

 その後にクズパーティのメンバーも「ガハハ」と続く。

 しかし、サラは気にしない。


「ではお願いします」

「承知いたしました。カードの提示をお願いします」


 サラが冒険者カードをテーブルに置く。

 それに他のメンバーも続く。

 「ガハハ」とまだ笑っていたクズパーティだが、受付嬢の「はい。受付完了しました」の声を聞き、口を開けたままあほ面を晒した。



 サラ達がクズパーティなどいないかのように無視して出口へ向かって歩き出すとクズパーティが我に返り、サラ達を追いかける。


「ちょ、ちょ待てよ!」 


 クズパーティはサラ達を追い抜いて出口を塞ぐ。


「邪魔です」


 サラの冷めた言葉をクズパーティはスルー。


「なんでお前らがFランクの依頼を受けられんだ!?」


 サラはため息をついて言った。


「説明する必要などないのですがこれ以上、付き纏われても迷惑なので教えます。私達はリッキー退治に限り、ランクに関係なく受けられるのです」

「ざ、ざけんな!」

「それじゃあ、俺らが一緒に受けられねーだろが!」

「そうですね。理解したところでそこを退いて下さい」

「「「「ざけんな!」」」」


 リーダーがハッとした表情をする。


「あっ!てめえら!ギルドとグルで俺らを騙そうとしてんな!?」

「そうかっ!本当はそのリッキー退治の依頼ランクはEだな!」

「疑うのは自由ですが、さっさとそこを退いてください。邪魔です」

「ざけんな!オメエらが俺らと一緒の依頼受けると言うまでここを退かねえぞ!」

「「「「……」」」」


 クズパーティのリーダーが幼稚な、バカらしい発言をしたその数秒後、その場から退く事になる。

 そんなバカな行為をギルド職員が見逃すはずがなく、彼らは厳重注意を受けた。

 クズパーティは渋々退いたが、それで諦めるような者達ならここまでしつこく絡んでくる事はないのである。

 彼らはリサヴィのリッキー退治はEランクだと確信していた。

 であればコバンザメで報酬を分取れるじゃないか、と思ってしまった。

 思い込んだら止まらない。

 彼らクズパーティはリサヴィの後を慌てて追いかけて行ったのだった。


 頭の悪い彼らは怒りですっかり忘れてしまっていた。

 リサヴィにコバンザメを仕掛けるのは危険だから一緒の依頼を受けさせようとしていた事を。

 


 数日後、リサヴィが依頼を終えてギルドに戻って来た。

 そこにリサヴィの後を追いかけて行ったはずのクズパーティの姿はなかった。



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