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234話 マウ、無双する

 悪臭が去ったのでアリスがエリアシールドを解除した。

 途端に女パーティがサラを取り囲む。

 サラが困惑している中、マウは彼女らに洞窟へ突入した者達とは違うものを感じたようでアリスに声をかける。


「こいつら何?」

「あ、はいっ、サラさんを狙ってるレズパーティですっ」


 アリスが言葉をオブラートに包む事なく答えた。

 それを聞いた女盗賊がアリスを睨む。


「私達はレズじゃないわ!ただ女の子が好きなだ……」

「よしっ、お前は黙ろうか」

「うぐっ」


 女戦士が女盗賊の口を塞ぐ。


「……へえ」


 “両刀使い”のマウが妖しい笑みを浮かべる。


「あら、またマウの悪い癖が出ましたわ」

「だね。それはともかく、あのバカ達が戻ってくる前に街に戻ろうよ」

「ぐふぐふ」



「おい、お前ら、いい加減サラに絡むのはやめな」


 街へ戻る途中もしつこくサラへアタックをかける女パーティにマウが注意する。

 マウの声に女パーティのリーダーが反応する。

 

「絡んでいません。誠意を持ってパーティ加入をお願いしているのです」

「ほうほう。まあどっちでもいい。サラをどうしても仲間にしたいってならまずはあたいらを倒してからにしな」


 マウが女パーティのリーダーに妖しい笑みを浮かべる。

 それを見て女パーティのリーダーが身を震わせる。


「……あなた、只者ではないですね。そういえば名前はマウ、でしたか」

「ああ、リトルフラワーのマウだ」

「リトルフラワー……聞いたことありませんね」


 彼女らはギルドでサラがガブリムロードと戦う事は聞いていたが、一緒に行動しているパーティが誰なのか確認していなかった。

 パーティ名を聞いて女盗賊が叫ぶ。


「サキュバス!サキュバスのマウ!?」


 女盗賊の叫びを聞き、女パーティが顔色を変える。

 流石にサキュバスという二つ名は皆知っていた。

 

「え!?で、では、あなたがリリス!?そしてあなたがジェージェー!?」


 リリス、ジェージェーが女パーティに挑発的な笑みを浮かべる。

 女パーティはサラから離れると強敵手?のリトルフラワーと対峙する。


「……なるほど、あなた達が……」

「こりゃいい。一度手合わせしたいと思っていたんだ」

「ふふ、どんな攻めするんだろう」

「あ、あの、私はその、ノーマルなので」


 女パーティの女魔術士は妖しい戦いが始まるのを察して怯えた表情になる。

 彼らの挑戦的な視線を受けてもリトルフラワーはまったく動じなかった。


「もう一度言うぜ。サラを勧誘したいならあたいらを倒してからにしな!」


 説明するまでもないが、マウが言っているのはベッドの上での戦いであり、彼女らもそれを十分理解していた。


「マウ、あなたの趣味に私達を巻き込まないで」

「そうだよ。“その程度”の相手なら一人で十分だろ?」


 ジェージェーの言葉に女パーティが敵意を彼女に向けるが、動じることは全くない。

 マウが悲しそうな表情、と言っても演技とすぐわかる、で言った。


「連れねえなあ。たまには団体戦もありだと思ったんだがな。で、どうする?こっちはあたい一人だ。怖いなら逃げてもいいぜ?」


 女パーティがマウの挑発に乗ってきた。


「……言ってくれますね。いいでしょう。そこまで言うなら相手になってあげます」

「ああ!受けて立つぜ!」

「あんたの技をぜんぶ受けてあげるよ!」


 マゾ属性がありそうな女盗賊が頬を赤らめながら言った。


「あの、私は不戦敗で……」


 ただ一人、女魔術がビクビクと震える。


「よし、じゃあ、街についたら早速勝負だ。安心しろハンディをつけてやる。四人全員でかかって来ていいぜ!」

「言ってくれるじゃねえか!」

「ふふ、久しぶりに本気が出せそうですね」

「“あんあん”言わせて“もらうよ”!」

「わ、私はノーマルなので数にいれないでっ!」


 こうしてマウの助け(趣味)のおかげで女パーティのターゲットから外れたサラであった。



 街へ着くとギルドへ向かい、依頼結果を報告した。

 そこで待っていたニューズにリリスが「ご苦労様でした」と小金貨一枚をリーダーに手渡した。

 その額の多さに皆びっくりすると同時に大喜びし、ニコニコ顔でギルドを後にした。



 リトルフラワーはリオとの賭けに負けた約束を守り、街で一番高い店を予約した。

 この店は貴族が利用することもあり、警備は万全だ。

 万が一にも臭パーティが臭撃して来たとしても容易に追い返すだろう。

 開始までは時間があるため、一旦解散した。

 サラ達が改めて店にやって来るとリトルフラワーは既に来ており、街についてすぐに女パーティと一緒に姿を消していたマウの姿もあった。

 その顔はとても充実しており、女パーティとの“四(三?)対一の変則マッチ”に勝利を収めたのは間違いなかった。


「よう、サラ。あいつらとは“話”をつけたぜ。もう、お前にちょっかいかける事はないから安心しろ」

「あ、ありがとうございます」


 サラはどう説得したのか聞かなかった。

 リオの隣にはちゃっかりアリスが陣取り、反対側をジェージェーとマウが取り合う。

 

「マウは今日、四人も“食った”んだろ!遠慮しなよ!」

「馬鹿野郎!あんな口だけの奴らじゃ全然満足できねえよ!それに四人じゃなく三人だ!一人は部屋の隅で震えてて食う気が起こらなかったぜ!」

「三人でも十分だろ!」

「気にすんなっ。男は別腹だ!」

「リオさんはダメですっー!」

 

 彼女らの争いは店の者に注意されるまで続いた。



 高級店ということもあり、出てくる料理はどれも見たことがないものばかりでどれも美味しかった。

 ヴィヴィは参加こそしているものの飲み食いはせず、仮面を取ることもなかった。



 マウが洞窟に突入した冒険者達の事を話題にする。


「しかし、久しぶりに見たな。クズ冒険者」

「そうなんだ」

「えっ?わたし達っ、しょっちゅう見てますよっ。っていうか冒険者って大体あんな感じなんじゃないんですかっ」

「おいおい」

「あんなのばっかりならとっくにギルド信用無くしてるよ」

「そうなんだ」

「皆さんはあんなのばかりと出会っているのですか?」

「ぐふ。私達の中にクズコレクターの二つ名を持つ者がいるからな」

「誰の事言ってるのよ?」

「ぐふぐふ」

「え?サラさんっ、いつの間に二つ名が増えたんですかっ?ぴったりですけど……いたいですっ」

「そうなんだ」


 サラはアリスに続きリオをど突く。


「そんな二つ名持ってません!」


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