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135話 インターミッション その2(ヴィヴィ視点)

この話が初めての方はインターミッション その1(サラ視点)を読んでいただければ大まかなストーリーを把握できると思います。

ただ、あくまでも彼女ら視点なので一部事実と異なるところもありますので、気に入っていただけましたらぜひ最初から読んで見てください。



 私はヴィヴィ。魔装士のヴィヴィだ。

 魔装士とは大陸西の大国、カルハン魔法王国で生まれたクラスで、元々は武器運搬用に生まれたクラスだ。

 その事から“荷物持ち"や“棺桶持ち”などと蔑称で呼ぶ者達もいるが私は気にしない。

 私はあるものを探す旅の途中、魔物に襲われている駆け出し冒険者を助けた。

 それがリオとの出会いだ。


 リオはジュアス教団のエロ神官のサラと二人で旅をしていた。

 聞けば、リオが以前一緒に旅をしていたパーティと合流するところだという。

 私はエロ神官のリオを見る目が野獣が獲物を狙うときのそれである事に気づいた。

 私が助けた命がみすみすエロ神官の餌食になるのを見過ごせず、同行を申し出ることにした。

 エロ神官は自分の意図を私に読まれたことを察し、必死に私の同行を拒否しようとしたが、リオは私の純粋な心に気付いたのだろう。

 エロ神官の言葉を無視して私の同行をOKしたのだ。

 その後、エロ神官は偶然を装ってリオに全裸で迫るなど見境ない行動を繰り返したが、私が尽くその野望を砕いてやった。

 奴の悔しがる顔を見るととても気分がいい。癖になりそうだ。

 そうこう旅するうちにリオが同行していたというパーティ、ウィンドと合流した。

 ウィンドはBランク冒険者で構成されたパーティで私がその名を知っていたくらいだからそれなりに有名だ。


 パーティメンバーだが、

 ベルフィはパーティのリーダーでクラスは戦士だ。賞金首となっている魔物、金色のガルザヘッサを家族か恋人の仇として探しているらしい。

 これはリオも同じで、同じ仇という事でベルフィはリオがウィンドに同行するのを許可したらしい。


 副リーダーのカリスはベルフィと同じくクラスは戦士だ。

 ベルフィには知的な感じがしたが、こいつには全く感じない。ハッキリ言って脳筋だ。

 そして、こいつはエロ神官に一目惚れしたようだ。

 エロ神官は外見だけは私ほどではないがいいからな。

 しかし、エロ神官はリオを狙うのでわかるように歳下好みだから、年上のカリスにはまったく食指が動かなかったようだ。


 ナックはエロ魔術士だ。

 エロ神官とエロ同士仲良くするかと思いきや、エロ神官は自分の事を棚に上げてリオの教育に悪いとナックを説教する始末だ。

 鏡を見て言え、と言いたい。


 盗賊のローズはリオを含め、私達三人が気にいらないようだが、私は全く気にしない。

 

 当初は、すぐにウィンドへ入るはずであったが、私達の冒険者ランクが低いという事で保留となったので、私達三人でパーティを結成することにした。

 パーティ名はリサヴィ。

 リオ、エロ神官、そして私の頭文字をつけたものでリーダーであるリオが命名した。

 


 ウィンドと一緒に行動するうちに問題が起きた。

 カリスがエロ神官を好き過ぎてストーカーと化したのだ。

 私達の旅はこのストーカー一人に振り回されたと言っていいだろう。


 カリス……いや、もうストーカーでいいだろう、ストーカーはエロ神官にいいところを見せようと格好つけては無駄に怪我をする。とてもベルフィと同じBランクとは思えない情けない戦いっぷりだった。

 エロ神官が困る分には見てて面白かったが、ストーカーはエロ神官だけでなく、私やリオにまで害を及ぼすようになって来たのでそうも言ってられなくなった。

 「エロ神官はショタコンだから諦めろ」とナックがストーカーを説得したら、なんとあのバカはショタのマネをしだしたのだ。

 二メートル近くある身長にガッチリした体格、そして年相応の顔でショタマネされた時の衝撃はとんでもなかったな。

 見てる方が恥ずかしくなったぞ。

 そして、何故かそんなショタマネをする自分を気に入ったようだった。

 思えばストーカーはもうこの時からおかしくなっていたのだな。

 ストーカーの奇行はどんどんエスカレートし、自分をエロ神官の勇者だとい言い出す始末だ。

 エロ神官は何度も違うと言ってるのにな。

 奴の言動はどんどん現実からかけ離れていった。

 エロ神官の言葉を自分の都合のいいように脳内で自動変換しているようで、誰の手にも追えなくなった。

 奴が愚行でナンバーズを無くした時は本気で殺してやるつもりだったが、私達のリーダーであるリオに止められ、仕方なく見逃してやった。


 愚行と言えばエロ神官も酔った事を口実にリオをベッドに引きずり込んだ事があったな。

 この時は酒の量を間違えて眠ってしまい、最後までできなかった事を心底悔しがっていた。

 まあ、この私がいる限りエロ神官の野望は阻止してやるがな。


 そしてベルフィとリオの仇である金色のガルザヘッサとの決着をつける時が来た。

 金色のガルザヘッサとの戦いでストーカーは何をトチ狂ったのか、戦闘に参加しないどころかエロ神官の邪魔まで始め、金色のガルザヘッサの味方のようだった。

 結局、キレたエロ神官がストーカーの四肢をへし折って行動不能にしたが、私にしてみればエロ神官の行動は甘い。

 私なら殺していたな、あんな役立たず。

 金色のガルザヘッサだが、奴は魔族だった。

 私は迂闊にも魔族の放つ、魔の波動によって金縛りにあって仮面を破壊されてしまい、リムーバルバインダーの操作が不能になってしまったが、私の武器はそれだけではない。

 本来の私は魔術師だからな。

 リオが与えた傷に私がライトニングボルトを打ち込み、金縛りのお返しに麻痺させてやった。

 その後、エロ神官とベルフィがボコって金色のガルザヘッサの姿に化けていた魔族は死んだ。



 残る問題は、しぶとく生きていたストーカーだ。

 エロ神官がキチンと殺しておけばいいものを!

 何事にも詰めが甘い奴だ。

 ストーカーは怪我を治療してやった事に感謝もせず妄想自慢を始めた。

 自分が金色のガルザヘッサを倒したと言うのだ。

 全く救いようがない。

 エロ神官がリオに勇者の可能性があると言って奴を挑発した結果、奴はリオを渓谷へ突き落とし殺そうとした。

 奴がリオを殺そうとしたのはこれが初めてではなく、その尽くを私が阻止してやっていた。

 私は今回も奴ならやりかねんと金色のガルザヘッサ戦で破壊されたリムーバルバインダーから抜き取っておいた飛行の魔道具をリオに渡して置いたので、難を逃れる事が出来た。

 私達がそのまま、渓谷を飛行して向こう側へ渡ろうとすると、ストーカーはなんの準備もなく、サラに向かって渓谷をジャンプした。

 もともとジャンプで届く距離ではない事は誰でもわかるはずだが、奴にはわからなかったらしい。

 奴は私達に助けを求めたが、もちろん助けはしない。

 こうしてストーカーは渓谷へ落ちて死んだ。

 めでたしめでたし。


 ……となればいいのだが、下を流れている川へ落ちたようだし、体だけはBランクに相応しいほど頑丈だから恐らく生きているだろう。



 うーむ、

 こうして思い返して見ると、ウィンドと行動を共にした旅の記憶はストーカーのことばかりだな……。

 思い出すと不快だからさっさと忘れてしまおう。

 ともかく、私達はウィンドと別れ、世界を回る旅を始めたのだ。



 そうそう、私の探しものだが、

 見つかったようだ。


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