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06 結界
おさげの少女はどうやら人間ではなく幽霊だったらしい。
この洋館で命を落とした犠牲者だという。
おそらく化け物に殺されてしまったのだろう。
私は、なんどもそのおさげの少女に助けてもらった。
私一人だったら、とっくの昔に死んでたかもしれない。
そんな中、おさげの少女がある事を教えてくれた。
「結界?」
「そうよ」
生きた人間は出られないように、この洋館には結界がはられているらしい。
けれど、動物や死んだ人間の霊魂なら、出られるとか。
「出たかったら死ねば」と言った。
そんな事できるわけない。
私はまだ生きていたい。
生きて家族や友達にまた会いたいのだ。
私は意地悪な少女の前で、めそめそ泣いた。
「ずっと泣いてるだけじゃ、意味がないってば。死にたいの?」
死にたくないから泣いてるのよ。
幽霊であるあなたには、私の気持ちが分からないんだわ。