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放浪記  作者: セルロイド
4/15

旅人の手記・3

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◇ 3.旅籠屋『雄鶏』 昼

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 招宴の月・9日。

 うう。眠い。

 二度寝したい。布団から離れたくない。

 が、もうチェックアウト。

 さっさと荷物をまとめて、部屋から出ねぇと。


 ぐう。



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◇ 3-1.レギデア平原 昼

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 この時期の土ってけっこう冷たいんですね。

 おかげで目が覚めた。


 しかし容赦無いなぁ。

 荷物が辺り一面に散らばってら。

 公衆の面前で荷物をちまちま拾い集める。とんだ羞恥プレイがあったもんだ。あんまりにもミジメで鼻の奥がツンとしやがるぜ。

 二度と寝坊はすまい。


 途中、猫族フェルパーの女の子が手伝ってくれた。

 優しさが身にしみるぜ。



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◇ 3-2.レギデア平原 昼

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 え?

 うそ?

 こいつ王子様?

 まじ?

 ヤバ――



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◇ 3-3.レギデア平原 夕

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 ああ。クソ。

 もう夕方だ。

 泥棒猫のせいで今日の進捗はゼロだ。

 ……ゼロ! 進捗ゼロ!! ふざけんな!! 『雄鶏』の看板が俺を見てやがる!! 丸一日かけて追いかけっこしただけかよ!!!


 ちくしょう!

 こいつ絶対に許さねぇ!



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◇ 3-4.レギデア平原 夜

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 キャンプを張ったら少し落ち着いた。

 おかしいな。計画じゃ、今頃星を眺めて優雅に晩酌をたしなんでいる所なのだが。

 現実じゃ、引っくくった猫泥棒の前で黙々と肉を焼いている。


 はあ。

 こんな時でも肉はいい匂いがするなぁ。

 空腹時に嗅ぐ料理の匂いは美しい。夜闇にパチパチと揺れる炎もあいまり、草原の夜を幻想的に彩っている。


 ……これでギャーギャーうるさい猫が居なけりゃな。

 そんなに食いてぇのか、おらぁ。

 ほーれほーれ。肉だぞぉ。

 香辛料がたっぷり塗られた、とびっきりの肉だぞぉ。

 てめーは匂いだけ味わって、その辺の草でも――


 喰われた。


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