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自称最強VS主人公補正

「あいつ、異世界経験者よ。」

霧葉の発した言葉に海斗は驚愕の表情を作り、男は眉を潜めた。

「は?あいつも異世界行ってんのかよ!?」

「そうみたいね、それにレベルも32、男子生徒が気絶してるのも精神魔法みたい。」

「ほぅ…お前らもかぁ…」

男が不適な笑みを浮かべる。

「いいねぇ、俺は最強だ。勝ってみろよぉ?」

そう言い男は莉奈の髪の毛を放す。

その隙に莉奈は男の元を離れ海斗に抱きついてくる。

「おにーちゃんっ…!」

「莉奈…良かった、無事で。」

海斗は抱きついてきた莉奈を優しく抱きしめ返すと拘束されていた手を解放した。

「莉奈、よく聞け。」

海斗が莉奈の肩を掴み言い聞かせる。

「お前は他の子をここから逃がせ、いいな?」

莉奈は涙を拭い力強く頷いた。

「よし、頼んだぞ。霧葉!お前も莉奈を手伝え!」

「わかったわ!」

霧葉と莉奈は拘束されている女子生徒から先に拘束をほどいていく。

「さあどうする逃げちまうぜ?」

海斗が挑発まじりに言うと男はにぃと笑った。

「お前を殺してから金髪もろとも楽しめばいいさぁ。」

そう言うと男は構えた。

それを見た海斗も神経を足に集中させ構えた。

異世界に行ったとは言っても対人戦は初めてだ。

『スキル[主人公補正]を使用しました』

海斗は緊張する気持ちを押さえながら男に向かって飛び出した。

「速いっ!」

男は海斗の動きに反応できずに狼狽の声を上げた。

海斗は男の懐に入り込み男の顎めがけて拳を突き上げた。

「ぐっ!」

男は海斗の拳を受け身体を反った。

海斗はそんな隙を見逃さずにすかさず回し蹴りを入れた。

男は軽々ぶっ飛び教室の壁に打ち付けられた。

「そう言えばこの教室なんで机も椅子もないんだ…?いや、今はそれどころじゃねえ。」

海斗は頭に浮かんだ疑問を取っ払い男のほうを見た。

男は立ち上がり何事を無かったかの様に服を払った。

「やるじゃねえかガキぃ。」

「そりゃどーも…」

悠長な返しをするが正直海斗は驚いている。

あれだけやったのに傷一つなに状態で平然と立っているのだ。

「それじゃあこっちもぉっ…!」

男が前進し、海斗の前で拳を飛ばした。

海斗がそれをすれすれで交わし、男のみぞおちを狙って拳を飛ばそうとした突如男は体制を変え、蹴りを放ってきた。

「うおっ!」

海斗は横からの蹴りをなんとか受け止め、再び蹴りを放った。

男はそれを交わすように飛び退いた。

「お前、異世界歴何年だぁ…?」

男が不適な笑みを浮かべながら問うてくる。

「1日だ。」

「あぁ?1日?嘘つけ、1日でそんなに強くなれるはずがないだろぅ。」

「嘘じゃねえよ。」

幸い海斗は小さい頃から父親の影響で武術を少し習っていた。

その影響もあり、そこそこ戦えているのだろう。

「さっさとお前を警察に引き渡してやる。」

「それはどうかなぁ?」

男が右手を広げると、そこに光が集まり剣の形を作った。

光が払われ中から刀身の黒い剣が姿を現した。

「剣か…」

海斗はメニュー画面を開き剣を出した。

「お前もかぁ…」

男はそう言い突進してきた。

「くっ…!」

剣と剣が交わる甲高い音が響く。

海斗は男の剣を受け止めるので精一杯だ。

「どこか…隙は…」

『スキル[主人公補正]を使用しました』

そこで男が剣を大きく振りかぶった。

海斗にはそれがスローモーションの様に見えた。

「ここだ!」

海斗は男の腹部目掛けて剣を振った。

剣を大きく振りかぶった男は受け止めることが出来ず剣が命中した。

「がぁっ…!」

男の腹部からは鮮血が飛び散り、よろめきながら後ろに下がる。

「チェックメイトだ。」

海斗は剣先を男に向けた。

男は苦渋の表情を作り、そして笑った。

男は振り返り避難出来ていない女子生徒に剣を振るった。

「くそっ!」

海斗は急いでその少女の前に立った。

剣で受けとめようとしたが遅い。

剣は海斗の肩から腰にかけて切り裂いた。

鮮血が飛び散る。

痛さと熱さが込み上げてくる。

「う…あぁぁぁぁぁっ…!」

それらに耐えきれず悲鳴をあげる。

「ひっ…!」

後ろの少女が顔を青く染める。

立っていることも困難になった海斗はその場に倒れ付した。

「へっ…俺の…勝ちだぁ…最強に、勝てるはずがないんだよぉ…」

男が笑う。

「だ、大丈夫ですか!?」

少女が声をあげる。

海斗はその少女の紐を剣で斬った。

「に、げろ…はや、く…」

枯れた声で海斗が言う。

「けど…」

「行け…!」

「…」

少女が立ち上がる。

そして男の前に立ちはだかった。

「お前…な、にを…」

女子生徒は涙をこらえながら両手を広げる。

「お前も…死にたいのかぁ…?」

男が剣を構える。

少女はぎゅっと目を瞑り迫る死を感じた。

すると肩に小さな衝撃があった。

目を開けて見てみるとそこには自分を助けてくれた少年が立っていた。

そこで少年がふらっと倒れそうになるのを支える。

「大丈夫ですか!?」

するとその少年はニヤリと笑った。

「主人公は…死なないんだぜ?」

「あぁ?」

『スキル[主人公補正]を使用しました』

途端、男の横から一人の少女が飛び蹴りをかました。

男は吹き飛び壁に打ち付けられた。

「間一髪ね。」

飛び蹴りをかましたのは霧葉だった。

「もう、なに無茶してんのよ…」

霧葉が涙目になりながら訴えかけてくる。

「あはは…ごめん…」

海斗が力なく笑うと霧葉が歩みより肩を貸してくれた。

そして教室の端に連れていってもらい壁へよしかかった。

海斗が安堵した様にため息をつくと黒髪の少女が抱きついてきた。

先程庇った少女だ。

「ちょっ!?おい!?」

「ありがとうございますっ…!」

少女の顔は涙で濡れていて、身体も小刻みに震えている。

自分が助かったから感極まって泣いてしまったのだろう。

こう言う時にどうした方がいいかわからない。

だから莉奈にしたように少女を抱きしめ返した。

すると少女の身体から力が抜ける。

どうやら正解だったらしい。

「お巡りさん犯罪者が1人増えました。」

霧葉が携帯電話を耳にあてて飛んでもない誤解を招いている。

「お、おい!まて!別にこれはそういう訳じゃ!」

そこまで言って今まで意識してなかった胸を押し当てられている事実に気づいた。

身体はそうでもないのに胸は大きい……はっ…!

海斗は顔を真っ赤にしていた。

「お巡りさん急いでください。」

霧葉が引いた顔で言う。

「ちょっとまて!違う!違うんだぁぁ!」

学校中に海斗の悲鳴が響き渡った。

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