初めての交戦
「そうそうやっぱ一番最初の敵って言ったらこいつだよな。」
海斗と霧葉は湿地帯へ訪れていた。
二人の目の前にいるのは深い緑色をした液体の塊、スライムだ。
スライムと言えばドラ○エの青いスライムを想像すると思うが目の前にいるスライムは身体の中心に赤い球体があり、イメージでいうと汚い水だ。
「思ったより気持ち悪いわね…」
霧葉が顔を青く染めながら言う。
「それに関しては同意だけど倒さなきゃないしな。」
そう言うと海斗は腰に着けた剣を抜いた。
「…初期装備これかよ。」
海斗が抜いた剣は明らかに石で作られており少しかけていたりもする。
続けて霧葉も剣を抜き、そのボロさに汗を滲ませた。
「これ勝てるの…?」
「まあ言ってスライムだろ?」
「まあ…そうだけど…」
霧葉は随分不安そうな素振りを見せる。
いつもは割りと強気なのだがこう言うときには女の子らしくなるのだ。
「よし!いくぞ!」
「あっ、ちょっと!」
海斗は勢いよく飛び出しスライムに向かって切りかかった。
「はあ!」
剣を振り下ろすとスライムは二つに切り裂かれた。
「割りと切れるなこれ……ん?」
海斗は眉を寄せた。
切り裂かれたスライムが再生したのだ。
「ねえ、スライムって雑魚モンスターじゃなかったの?」
「…俺の知ってるスライムじゃねぇ…」
海斗が冷や汗をかく。
すると霧葉が前に出た。
「こう言うのって弱点があるんじゃない?」
霧葉が剣を抜いた。
「だとしたら…!」
霧葉は勢いよく飛び出しスライムに剣を振った。
「この赤い玉!」
剣は深い緑色の身体を突き抜け中心の赤い球体を切り裂いた。
すると赤い球体はガラスのように砕け散り、スライムの身体が蒸発するようにその場から消えた。
「どうやら正解見たいね。」
「お前すげえな。」
「あんたがわかんなくてどうするのよ…」
霧葉が呆れたと言った様子でため息をつく。
すると不意に視界に横長の四角が現れた。
『EXP20 G12 獲得』
「お、経験値と金か。」
海斗がそれを眺めていると続けて同じ横長の四角が現れた。
『スライムの欠片 獲得』
「欠片…?武器の素材になったりするのか…?」
「ねえ、経験値もお金も貰えるしスライムをたくさん倒せばある程度までは強くなれるんじゃない?」
霧葉がステータス画面を見ながら話してくる。
霧葉のステータス画面には『次のレベルまでEXP63』と書かれてある。
スライムで経験値が20もらえるのであれば二桁くらいまではすぐに上げられるだろう。
「そうだな。じゃあ二手に別れてスライム狩だ。」
『EXP20 G12 獲得』
『EXP20 G12 獲得』
『スライムの欠片 獲得』
『EXP20 G12 獲得』
『スライムの欠片 獲得』
『EXP20 G12 獲得』
『EXP20 G12 獲得』
『スライムの欠片 獲得』
『EXP20 G12 獲得』
『EXP20 G12 獲得』
『スライムの欠片 獲得』
『EXP20 G12 獲得』
………
『レベル10に上がった』
「やっとだー長かったー。」
海斗はその場に倒れて伸びをすると頭の方から足音が聞こえてきた。
その方を見やると霧葉が立っていた。
「だらしないわね…」
「お前も終わったのか?」
「ええ一応ね。」
霧葉がステータス画面を開き見せてくる。
霧葉
レベル10
HP 69/48
MP 46/46
攻撃 91
防御 51
素早さ 63
魔力 49
「んじゃ俺も」
海斗はそう言い自分のステータス画面を開いた。
海斗
レベル 10
HP 68/51
MP 10/10
攻撃 70
防御 52
素早さ 59
魔力 46
「げ、全体的に霧葉より下回ってる…」
海斗は頬に汗を滲ませながらステータス画面を見比べた。
強いて言うなら防御が1だけ上回っているくらいだ。
「そう言えばこのスキルってやつは?」
「丁度いい、教えるついでにやってみるか。」
そう言い『スキル』に触れると画面に重なるように画面が浮かび上がってくる。
そこには『スキル』と『個人スキル』という二つの項目があった。
「個人スキル?」
聞いたことのない言葉に引かれ海斗がそれに触れると再び重なるように画面が浮かび上がってきた。
「ん?主人公補正?」
そこには一つだけ項目がありそれには『主人公補正』と書かれてあるだけだった。
残りスキルポイントは12と示されており、『主人公補正』を取得するには10ポイント必要と書かれてある。
海斗は興味本意で『主人公補正』にスキルポイントを割いた。
『スキル[主人公補正]を取得しました』
画面にテキストが表示される。
こういうところは異世界というよりゲームだ。
隣では霧葉が個人スキル画面を眺めており、その画面には『アナライズ』と書かれてある。
「アナライズって…確か分析、みたいな意味じゃなかったっけ。」
「だとしたらかなり便利じゃないか?」
海斗の経験則によると見ただけでそのモンスターの名前やレベル、その他詳細がわかるような機能だろう。
「そうね、じゃあさっそく…っと」
霧葉がスキルポイントを『アナライズ』に振り切る。
『スキル[アナライズ]を取得しました』
「よし、じゃあ一旦戻るか。」
「わかったわ。」
そう言い二人が歩みだした途端に海斗の視界に一つのテキストが現れた。
『スキル[主人公補正]を使用しました』
「は?」
海斗が足を止めると、その足元から土が盛り上がってきた。
土が取り払われ姿を表したのは金色のもぐらだ。
鼻の部分がドリルのようになっている。
「…なんだこいつ。」