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プラネットリライト  作者: 真っしろサマー
7/10

7 始めての訓練

 ほんの少し時間が経つと、エリ―さんはドアをノックして戻ってきた。その後ろには、ギルドマスタ―に劣らない筋肉でできてる中年オヤジみたい人が立っている。

 「トウヤ様、ギルドマスタ―、お待たせいたしました、ランディさんを連れてきました」

 「うむ、来たか。ランディ、お前にこやつが頼む」

 前に二人の会話は聞いてなかったので、ランディという人は何のために呼ばれてきたのがまったく分からない。

 そのランディが中に入ると、ニヤニヤしながらまっすぐに俺に向かって歩いてきた。そして、

 「こいつか?例の騒ぎが起こしたやつ」

 っと、俺も肩を叩いた。何これ?マジで痛い、肩が外れたのかと思った。

 「うむ、先ほどギルドに緘口令は敷いておったか、いつまで持つかどうかわからん。だから、お前に事が大きくなる前に、こやつを鍛えて欲しい」

 なるほど、さっきエリ―さんと二人が話したのはこの話だったのか。これは確かに助かったが、できれば少し手加減してほしい。

 「なるほど、そういうことか。確かにありえる話だ。エリクサ―なんて、御伽噺しか出てこないかと思ったが、まさか本当に存在するとはな―。おい、お前!名前は?」

 「えっと、轟刀矢です」

 「トウヤだな、死ぬほど扱いてあげるから、覚悟しとけよ?ハハハッ」

 「手加減していただけないかな―なんて、ハハハ」

 「無理無理。手加減なんかしたら、お前本当に死ぬ可能性が出てくるからな。そういえば、お前のステ―タスはどうなんだ?構わないなら、教えて欲しい。どのくらい程度ができるのかを知っておきたい。スキルとかは教えなくていいぞ」

 スキルと称号は教えなくていいなら、別に構わないと思うので、みんなに話したら、

 「えっ?」

 「え?」

 あれ?なんてエリ―さんが驚いてる。もしかしてレベル1にして、結構高い方?俺がチ―トだったりして、ハハハハ……

 「お前、ひどいな―」

 「え?そうなんですか?」

 ランディさんとギルドマスタ―は目を合わせして、かなり困ってる。俺はエリ―に確認しようと、目が合うと。エリ―さんはあからさまに目を逸らした。

 「仕方ない」っとランディさんは溜息して、俺にこの世界のステ―タスのことをある程度説明した。


 ランディさんの話によると、この世界の成人男子のステ―タス値、つまり15歳以上の男の平均数値は20だ。魔力の方は多かったり、無かったりもあるけれど。他のステ―タス値は基本的に20前後だ。

 どういうこと?つまりだ、俺のステ―タスは速度以外、殆どは平均より下だ。確かにひどい。でも仕方ないじゃない、俺は日本では普通の高校生だい、スポ―ツはやらないし、体育の成績も中の中だ。

 (うん、俺は悪くない。悪いのは世界だ。よし!言ってやったぞ、ずっと言いたいセリフだ)

っと、現実逃避する俺であった。


 「あっ、でも。レベルアップすると、貰えるステ―タスポイントは人それぞれだから、大抵5から10もあるから、ちゃんと将来のことを考えて振ると、一人前にもなれるから、アハハ……」

 そんな俺を必死に慰めるエリ―さん。

 「確かに、それもあるな。早とちりしたかもしれない、オレもまだまだだな。

 よし、そうっと決めたら、早速始めよう。着いて来い、トウヤ」

 「あ、はい。あの、ギルドマスタ―、エリ―さん。いろいろありがとうございます。」

 「うむ。気にするな。元々原因はわしたちだからな。ほれ、これを仕舞っときな。落とすなよ?」

 「トウヤ様、本当にすみませんでした。あと、頑張ってください」


 渡されたエリクサ―をちゃんと鞄に入れたのを確認すると、俺はランディさんについて、ギルド裏の訓練場らしきところへ来ていた。

 訓練場と言っても、ただの平地のようだ。何人かが訓練しているか、他にあるのはいくつの藁人形だけだ。

 俺たちが入ったのを気づいたら、殆どの人は手を止まって、俺たちを見ながら、ヒソヒソしてる。多分俺のことを言ってると思うんだろうな。さすがエリクサ―様だ。

 「何見てる、ギルド長の緘口令が忘れたのか?やりたくないやつは外へ出てけ」

 ランディさんが一喝をすると、みんな慌てて自分の訓練を始めた。

 俺たちは訓練場の一番奥のところまで進み、そこにはいろんな木製の剣やら、槍やらを並んでる。

 「お前が使っているのは短剣だな?」

 「はい」

 「じゃ、これをやる。」

 渡されたのは一振りの木の短剣、意外に結構重い。そしてランディさんが選んだのは長剣だ。

 「まずこれを使って、オレに攻撃してみろ。殺す気で来い、遠慮はいらんぞ」

 とりあえず、包丁を握っているように、片手で短剣に握って、距離を詰めようっと、ランディさんに接近した。

 長剣を持っていないランディさんの左手の方へ移動する俺に対して、ランディさんはまったく構っていない。これでいける!っと思って、短剣を刺す、が。

 「ふん!」

 ランディさんは目に見えない速さで、俺の隣に移動してきて、剣を振った。やられるっと思ってしまい、目を閉じた俺は、キンッという音とともに、手元の短剣の感触が無くなった代わりに、激しい痺れが伝わってきた。

 「全然だめ、素人同然だ。これじゃ、外を出たら、すぐに死ぬぞ。まずは握力が弱い!剣は命を守る最後の砦だ、死んでも放すな。判断はまあまあけど、目を閉じるな。常に敵の位置を確認しとけ。あとは剣を上に向け、下に向くと、殺せるものは殺せなくなる。そして、短剣の間合いは短いから、相手の体より、手元を狙え」

 「はい!」

 「分かったんなら、早く剣を拾って来い。死ぬまで続くぞ、生きたいならな」

 生きるために死ぬ?駄じゃれか―って突っ込みたいけど、俺にはそんな勇気はない。落ちた短剣を拾い、何度も何度もランディさんを攻撃したが、体ところか、服ですら触れたこともないままに打ちのめされた。


 疲れ果てて、立つことも満足にできない俺に、ランディさんは剣の握り方から、足の運びまで、一つ一つ丁寧に教えてくれた。俺もランディさんの期待に答えようっと必死に覚えようとする。


 そのままもう何回意識が途切れたのも分からないけれど、夕方が近づき、やっとランディさんから今日は終わりという返事を言い渡された。っと思ったら、ランディさんは二つの胡桃を俺に渡し、顔がニヤッと、

 「今日から毎日これらを握り締めながら、訓練場で走れ。潰すまで走り続けろ。終わったら帰っていいぞ?」

 (鬼だ、鬼がいる)

 「分かったか!」

 「はい!」

 「じゃ早く走れ!潰さないと、今日帰れないぞ?」

 「はい!っとその前に、あの―」

 「なんだ?」

 「一番近くの宿はどこにあるんでしょうか?」

 「……」


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