2 異世界来訪
「うっ……………………」
全身が痛い、めちゃくちゃ痛い。
「確かに俺はトラックに……」
(そうだ、俺は確かに死んだはずだ。でも、体は動ける?なぜだ?)
「ここは?」
病院ではない?死んでないのに?
周りを見渡してみて、なんか洞窟っぽいのところだ。
「これは何だ?」
そして、目の前に箱っぽいのがあった。
よく見ると、ゲ―ム中の宝箱にそっくりだった。
俺はオタクというやつではないけれど、ゲ―ムくらいは普通にやるし、ラノベも読む。
(まさか最近流行っている異世界転生というやつ?)
でも、俺は神様とか会った覚えはないぞ?こういう場合は普通チ―トスキルとか貰えるもんじゃないの?
「っていうか、この箱開けてもいいの?まさかモンスタ―とか出るんじゃないだろうな」
そもそも俺は何でこうも落ち着いていられるって?
それは、慌ててもしょうもないのさ!
それに、体が痛いので、できれば最低限の動きで済ませたい。
「えぃ―!鬼が出るか仏がでるか、神のみ知るぞ!」
場合によっては鬼や仏じゃなくて、モンスタ―が出るかもしれん。
笑えないけど。
《スキル『マップ』を獲得しました》
(ん?なんか声が聞こえた。
しかもスキルだと?でもなぜ『マップ』なんだ?『マップ』はスキルなの?)
もう一度箱の中身を確認したが、中は空っぽだった。
っと、その時にだった。
「何で人がいるんだよ!しかも、スキル箱は開けられたじゃねぇかよ!あの門番さっき俺らが今日で最初って言ってなかったっけ?」
後ろに誰がの声がした。そこには男女4人グル―プだった。
声を上げたのは見るに硬そうな鎧を着ている男だ。その時には今まで見たことないイケメンに、重要な部分だけを守って、ほかは全部裸のような女の人。その後ろにはロ―プを着ている、顔はあんまり見えない、多分男性と思う。
「おい、お前!どうしてそこにいるんだ」
「さ―?」
そんなの俺が知りたいよ。気がついたら、ここにいたし。
「さ―って、馬鹿にしてるのか?くそ、次のスキル箱はまた半年を待たなきゃいけねぇかよ」
「まあまあ、開けたなら仕方ないでしょう?ロ―ラン、後でオレが奢ってやるから、とりあえず、今日のノルマを完成しないと」
イケメン仲間があのロ―ランという人を慰めている。よほど俺がこの宝箱を開けたのが不満のようだ。
でも、やっと会えた人なのだ。これをチャンスに、
「あの―……」
っと、声をかけてみたけれど。
「あ―ん?」
そのロ―ランという人がめっちゃ睨んできた。
こわっ!めちゃくちゃ怖い。
「まあまあ、そう怒るなよ、ロ―ラン。って、どうしたの?君」
っと、女性は苦笑いながら俺の方へ向いた。正直、あんまり露出が多いので、目のやり場がやばい。
「えっと、ここはどこですか?」
「「「えっ?!」」」
「てめぇ―!やっぱりふざけているだな!」
「ごめんなさい!」
土下座して謝った。
ですよね~、普通ふざけていると思われるよな。
でもさ~、俺、異世界人だし。分かるわけないでしょう?
あ、これ、言っちゃまずい?
「くっそ、何でこんなやつにっ!」
「もう、いいでしょう?それに、君。あんまりそういう冗談をうちのロ―ランをからかわないように、命を欲しけりゃね。特にこんなダンジョンのところじゃ、いつ、誰か死んでも、不思議じゃないのさ。分かるよ、ね?じゃ」
俺は女性の言葉に、まるで蛇に睨まれたカエルのように、冷え汗をかきながら、頷くしかなかった。
だって、仕方なかっただろう!
すっこく怖かった。
女って怖いってよく聞くけど。まさかそこまでとは。
幼馴染の香奈はどれほど優しくしてくれたのを今更分かる。
そういえば、香奈はあの後どうしているだろう?元気でやっているといいな。
4人は俺に釘を刺した後、そのまま洞窟から出ていた。
結局何も聞けなかった。
あ、一つだけ分かった。ここはダンジョンというところだ。
さっき女性の方が言ってたはず。
「さって、これからはどうしますかな―」
とりあえず、身の確認をしてみました。
「というものの、学生服以外何もないな―。そうだ!自分の能力を確認しないと!」
そういえばどうやって確認すればいいんだろう?
確か、アニメなどでは、
「ステ―タス」
……
何も出ない……
あれ?普通そういうもんじゃないのか?
でも、違ったとしたら、他に思いつくものは……
「ウィンドウ!」
……
「状態確認!」
……
「開け、ゴマ!」
……
……
……
うわ―、厨二病過ぎで超恥ずかしい。もし、ここに他の人がいるとしたら。絶対変に思われるだろう。
とりあえず、もう一度周囲を確認したが、人がいなくてよかった。まじでよかった。
でも、やっぱり何も出ない、なぜだろう?
っと、視線を落として、右手の裏を見ると、変な紋章がついていたのを気づいた。
「えっ?これは何だ?うわぁ―――」
その紋章が触ると、突然紋章からウィンドウ画面のようなものが飛び出した。
そして、画面にはいろんな文字が書いている。
「俺の名前……ってことは、これがステ―タス?」
【名前】 轟 刀矢
【年齢】 17歳
【Lv】 1
【HP】 38
【MP】 12
【攻撃】 14
【防御】 10
【魔力】 6
【精神】 20
【速度】 16
【スキル】 マップ
【称号】 異世界の来訪者 運を司る者
【装備】 学生服
異世界の服、防御力はまったくないが、鑑賞用なら少々。
ロ―ファ―
革靴の一種。異世界の物なので、あんまり役に立たない。
強いのか、弱いのかは全然分からないが、この数値はチ―トじゃないだけは確かだ。
後先ほどのマップというものはやはりスキルだった。
そして気になるのはやはり称号のところだ。『異世界の来訪者』は分かるとして、『運を司る者』は何だろう?
前世を言っていいかはわからないけれど、悪運がそのまま受け継いだということなのか?
それはいやだな。せっかく異世界へ来たんだから。運勢も少し良くなって欲しいよ。割と結構まじでお願いします、会ったことない神様!
あんまりチートにしたくないけど、マップってやっぱ結構チート?