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陽のあたる場所へ(1)
おとぎ話に出てくる呪われた怪物は、いつも人間に倒されて、決して幸せを望むことはできない。
それは、物語を描く人間にとって、いつだって怪物は命を脅かす存在で、幸せになどなってはいけないからだろう。
けれど、不死の『怪物』になってしまった〈少女〉は思う。
誰も彼もに恐れられ、一人になってしまった怪物にとって、己を倒さんとやってきた英雄は、ただ一人怪物と向き合ってくれる存在だったのではないだろうか。
一人で死を待たず、誰かの手で殺されることが、怪物にとっては唯一の救いではないだろうか。
怪物が孤独を感じるのか、〈彼女〉は知らない。
ただ、『終わり』のない苦しみを一人で抱えなければならない辛さは、〈彼女〉はその身をもって知っていた。