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陽だまりに月  作者: 長菊月
生き残ったバケモノと生き延びた男
30/84

願いと呪い(1)

 真っ赤になった部屋の真ん中で、〈彼〉は初めて、主の『願い』を聞いた。

 とても簡単な『願い』であったが、叶えられるのは自分だけだった。

 他の者は皆、血を流し、肉の塊になって転がっている。今日来た客も、共に暮らしていた屋敶の住人達も、血を流す為に用意された者も、〈彼〉以外は全て動かない肉塊になってしまった中で、選択肢はなかった。

 手が震えたが、できないとは言えなかった。逃げ出そうなどとは、考えもしなかった。

 それでも、〈彼〉が獲物を手にしたのは、誰かに何かを吹き込まれたからではない。

 主のことも、恐れてはいたが、嫌いだとか、憎いとか、思うようなこともなかった。

 誰かが耳元で囁くから、自分の他にいなかったから、主が望んでいたから、ただただ、その『命令』に従っただけだった。

 

 自分が何をしたのか知ったのは、屋敷を出た後だった。

 

 沢山の人を切ってきた。沢山の人を犠牲にした。

 何処で何を間違えてしまったのか、どうすればよかったのか、その答えは未だに出てこない。

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