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1861年6月14日、ミズーリ州ジェファーソンシティ郊外の荒野。早朝。



1861年6月14日、ミズーリ州ジェファーソンシティ郊外の荒野。早朝。



夜明けがきて朝食の準備をしている時分に、ライアン軍に貼り付いていた才子(さいこ)が戻ってきた。

空き缶の中、ぐつぐつと煮えたぎったラードの海を泳ぐジャガイモを見た彼女が露骨に嫌な顔をする。


「嫌なら喰わなくてもいいけど? あたしだって仕方なく食べてるだけだし」


「……もうっ、これ、食べ飽きてるのに仕方ないわね」


そう云い(いい)ながら彼女はジャガイモをフォークを突き刺して口に運んだ。

才子(さいこ)が口の中でじゃりつくジャガイモに顔をしかめる。


「お湯じゃなく油で茹でるなんて本っ当に信じられないわ」


「『霞の』と二つ名のついたあんたでもそういう表情をするんだ。ちょっと驚いた」


男だった頃の仕種(しぐさ)や面影が何一つ残っていない才子(さいこ)を見たあたしが感心したように云う(いう)と彼女は口を尖らせる。


「仕方ないでしょ。

 あんた達がおれをこんな身体にしてくれたんじゃないのさ」


じゃりじゃりと砂を噛んでるんだかジャガイモを噛んでるんだかわからない朝餉(あさげ)(しょう)も含めた三人で摂った。

ジャーキーを口に含んでコーヒーを飲む。本当に味気(あじき)のない食事だ。

三者三様の渋い表情で食事を終わらせる。日本で米の飯が食べたい。


「ライアン准将は蒸気船でミズーリ川を遡上(そじょう)してくるわ。

 兵力は志願兵連隊が2個に連邦軍の中隊1個と砲兵大隊が1個で総数は千七百」


「蘭さんによればミズーリ州防衛軍は総数五百しかいないらしい」


才子(さいこ)が披露した情報にあたしが付け加える。

嫁の(しょう)がどうするのかと聞いてきたから、とりあえずライアン軍に潜り込むと答えた。



ミズーリ州防衛軍はミズーリ州兵とは別の組織です。

https://en.wikipedia.org/wiki/Missouri_State_Guard

https://ja.wikipedia.org/wiki/ブーンビルの戦い

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