11 砂の味
埃っぽい風が大都会の残骸に吹きすさんでいる。
廃墟の都市を包み込んでいた深海のような静寂が、突如、耳障りな叫び声に破られた。
曠野に墓標のように林立している高層建築の屋上で、人の顔を持った巨大な怪鳥たちが不気味な鳴き声で鳴いている。
怪鳥たちの目下に位置するひび割れたアスファルトの道路で一人の男が足を止めていた。
一度だけ怪鳥の群れへ警戒の眼差しを投げかけるも、息を潜めて音もなく物陰から物陰へと進む男の気配に怪鳥の群れが気づいた徴候はなかった。
熊の毛皮の帽子を被り、灰色のマントを羽織った逞しい体格の男だ。
黙々と足を動かして、文明の墓標と化したかつての大都会を足早に通り抜けようとしている。
怪鳥たちのしわがれた声が、男が後にしたビルディングの狭間に虚しく木霊していた。
男にとっては、初めて通り抜ける道だった。
十中八九安全とは耳にしていても、緊張は完全には解せなかった。
怪鳥共に見つからぬように高層建築と高層建築の狭間にある構造物や小路を縫いながら、見通しのいいかつての中央広場を迂回する男の足元を小さな鼠が駆け抜けていった。
やがて怪鳥の縄張りを完全に抜けた男は、額に吹き出ていた冷や汗を拭うと、腰の水筒を呷ってから、薄い雲が掛かっている空をそっと見上げた。
町に住む者たちが、嫌な臭気が漂うにも関わらずドラム缶でタイヤを焼くのを止めないのは、空を舞う怪物を恐れての為だ。
ゴムを焼く際に上空に発生する濃厚な黒煙は、空中から見下ろす視界を阻害し、毒性を含んだ臭気が目鼻を刺激して尋常の感覚を持つ生物を遠ざけてくれる。
暫く町に滞在している間に、ゴムを焼く独特の悪臭が衣服に染み付いたような気がして男は顔を顰めた。
町を守る防壁の数箇所には、有事に備えて鐘楼が配置されている。
ミュータントやバンデットの極めて大規模な襲撃など防壁内部にも被害が及びそうな有事の際には、鐘が打ち鳴らされて住民たちに警戒を、市民たちにはシェルターへの避難を促す仕組みとなっている。
日没後、鐘楼に昇って町の周囲の景色を見回してみれば、防壁からそれほど遠くない位置に人工的な光が瞬いているのに気づくだろう。
防壁に守られた町ほど安全でないとは言え、曠野に点在する廃墟に住み着いている人々は、けして少なくない。
そしてその中には、廃墟からものを拾ったり、ミュータントと取引して暮らしている人々もいれば、大規模な農場や牧場を築き上げて者たちもいた。
巨大イグアナに豚や鶏を飼育したり、或いは砂麦と呼ばれる品種改良された麦類を育てて、町に供給することで暮らしを立てている農民や牧民の立場と関係が、防壁の人々と比べて強いか、弱いか。また友好的か、敵対的かは、まるで地球の歴史をなぞるように共同体ごとに異なっていた。
現在、滞在している町の事情に限っては、消費者と生産者はどちらか片方が母体であったり、上の立場と言う訳でもない。
町が今とは比べ物にならないほど脆弱であった頃、ほぼ同時期に曠野の廃墟に住み着いたのが町周辺の牧場や農場の創設者たちで、彼らは時に助け合い、時にいがみ合いつつも、互いに徐々に発展してきた経緯があって、結果として比較的に友好な関係を保っている。
農場で主に生産されているのは、先刻も述べたが砂麦と呼ばれる小麦の末裔である。
恐らくは遺伝子操作の賜物であろう砂麦は、必要とされる水分も少なく、日光さえあれば滋養の枯れた土地。それこそ砂漠でさえ、すくすくと育ってくれる夢のような植物であるが、味に期待してはならない。
砂麦の種籾こそ、ティアマット最大の財産にして、人類が存続している最大の理由などと述べている学者も居るが、男からしてみると外国産の小麦の方がずっと上等に思える
砂ばかりの土地でも育つから砂麦なのではなく、砂みたいな味だから砂麦ではないのか。
あのように不味い麦など、他に食べ物があるなら頼まれても食べるのは御免であった。
町の防壁から曠野に出、男の健脚で一時間ほども歩いた頃。男の前方の小高い丘の上、石壁と木製の柵に囲まれた牧場が見えてきた。
大きな町では、防壁はコンクリートや積み上げた廃車。土嚢や石垣などで絶えず強化される。
飽きずに襲撃を繰り返すミュータントの集団や変異生物の群れでも易々と乗り越えられないほどに強固で、しかも銃やクロスボウを持った自警団員によって厳重に守られている。
壁の内側は安全に思えるが、逆に言えば、出入り口を怪物に落とされると逃げ場がない。
住民が一人も逃げられずに全滅してしまった町や村の噂も、ティアマットに住んでいれば、年に一度は耳にする話だった。
なので、強固な防壁を構築しつつ、住民の緊急脱出用経路や防壁の抜け穴を作っている町も少なくない。
一方、崩壊前の古いライフラインや地下道などを怪物やミュータントが嗅ぎ付け、突然、防壁の内側に出現して住民たちを殺傷する事例も珍しくない。
人類の敵対種たちには、狡猾な者もいる。抜け道を探り出すか、自ら作り上げて、町を手に入れる。或いは、滅ぼすことを夢見ている盗賊やミュータントは、大地の底から湧いているのではないかと思うほどに数が多く、一方で、金を積まれたり、身内を人質を捕られて、町の裏切り者が手引きする例には事欠かない。
滅んでいた町から辛うじて逃げ出した者、己や一族、仲間以外は信用できない者が、町から離れて独自の拠点を築き上げていることも多い。
生存の為に導き出した解答は人それぞれで異なっているのは当然で、自力で命や財産を守る自信の在る人間は、自分でルールを定めて自分の小さな国や集団に施行している。
公共に対して義務を負わず、自分たちだけで財産や物資を自由に使えるのは集団として大きな強みであった。
しかし、その分、大きな共同体とは違って、小集団のミュータントやバンデットにも脅かされる日々を送らざるを得ない。
人類の置かれている状況が共同体ごとに異なっている以上、何が正解で何が間違いということもない。
命や財産、家族を守りきれれば勝ちであり、死んでしまったら、或いは失ってしまったら負けであった。
人数と武装を揃えて、地の利があろうが、大群に襲撃されてしまえば必ずしも生き残れるとも限らない。
男の見たところでは、前方に見えてきた牧場の建築物は、素朴な造りではあるが、かなり強固な拠点として考えられているようにも見えた。
小高い丘の頂は、なるほど、周囲全体に対して見晴らしがいい。
木材で組んだ見張り台の上に、ライフルを手にした見張りが張り付いていた。
此方を狙っているので、大きく手を振って敵ではないと知らせてみる。
牧場を取り囲む背の低い石垣の周囲には、さらに土嚢を積み上げて防御力を補強してある。
入り口近くの陣地には、ヘルメットを被った子供たちがまるで機銃のように備え付けの鉛管の筒先を男に向って狙い定めていた。
「よそものだ」
「それも、知らない顔だぞ」
「怪しい……じいちゃんに知らせて来いよ」
「お前が行け」
手を上げながら近づいてくる男の格好を見て、好奇心をそそられたのか。
ささやきあっている子供たちが潜む土嚢の陣地には、設置された鉛管の横にジャガイモの袋が山積みされ、傍らには薬剤の入ったプラスチックケースも置かれている。
……ジャガイモバズーカだ。珍しいもんを見たな。
鉛管に入れたポテトを化学反応で勢いよく砲弾として標的に打ち出す、玩具みたいな鉄砲の一種であった。
とはいえ、此れが意外と馬鹿にならない威力を持っている。
ジャガイモでも高速であたれば、乗用車くらいなら簡単に穴を穿つ。
勿論、火砲の類とは比べ物にならないが、牛や馬みたいなでかい図体をした亜獣類でも、喰らえば泡喰って逃げ出すくらいの威力があった。
子供たちを見張りにつかせて、大人は一人かい。えらく無用心だな。
そんな風に値踏みした男だが、顔を顰めて見回した時に偶然、樹木の上に、迷彩服で背景に馴染んでいる覆面が潜んでいることに気づいた。
手に抱えたクロスボウで静かに男に狙いを定めている。
冷酷な瞳で見据えながら、音もなく人を殺せる大型のクロスボウが、ぴたりとレオの心臓に狙いを定めている。
こっちが本命か。
渋い表情で見上げてから、視線を逸らしてゆっくりと歩き出した。
離れの牛小屋では、女の指示で歌いながら子供たちが働いていた。
壁にはミュータントの死骸が積み重ねられている。
青い肌をしたデモンズと呼ばれるミュータントだ。
乱杭歯を剥き出しにした醜い顔に恐怖の表情を浮かべて死んでいた。
射撃練習の標的にされたのだろう。
壁に繋がれた一体などはずたずたに裂かれて、粘り気の多い不快な青色の血が地面に大きな染みを残していた。
町からやや離れた土地に建つ『ハウザーの牧場』は、街道の十字路近くに位置していた。
郵便配達は危険な生業であるのは、別に今現在に限ってのことではない。
洋の東西を問わず、郵便配達人は古来よりもっとも危険な仕事の一つに数え上げられる。
近世英国においては、郵便馬車にはラッパ銃と二丁の短銃で厳重に武装した護衛が付き添っていたし、明治日本でも郵便配達人は強盗に備えて拳銃で武装していた。
21世紀頃でも、南米などの治安の悪い国で郵便配達人に軍や警察の護衛がつくのは珍しいことではない。
ましてや、ティアマットである。人に対して敵意を持つ変異生物や戦闘機械、ミュータントが群れなして彷徨っている悪夢みたいな崩壊世界であった。
その危ういこと、多少、治安が悪い国など比較にならない。紛争地帯も顔負けの緊張感である。
町の人間たちにとっても昔からの顔馴染みが営んでいるハウザーの牧場は、そんな郵便配達人たちにとっては憩いの場所であり、街道の中継地点で安心して利用できる休憩所の一つとして知られていた。
石壁の内側には、複数棟の建築物が並んでまるで牧場自体が小さな町の如き様相を呈していた。
酒場の看板を掲げた建物に入る。
天井では薄暗い電気照明が店内を照らしていたが、光源が足りないのか。
壁の燭台に蝋燭が揺れている。
店内で飲んでいた客の幾人かが、値踏みするように鋭い視線を男に送ってきた。
席に座っている旅人や牧童、行商人に混じって、古びた青い制服の郵便配達人が隅で眠っていた。
剣呑な視線を送ってくる数人を相手にせずに、男は待ち合わせの相手を探して視線を彷徨わせた。
昔から知己は別としても、どうもハンターという人種を好きになれなかった。
粗暴な者も少なくないし、中には他人は愚か、己の命まで軽んじるほどに荒んでいる者もいる。
とは言え、ティアマットに住んでいる者にとっては、色々な局面で頼りにせざるを得ない相手であるのも事実であった。
尋ね人を見つけ、毛皮の男は隅にある席へと寄っていく。
灰色の帽子に鼠色の背広を着込んでいる痩せた男が、丸い眼鏡の向こう側からレオを見上げてきた。
仲介人に聞いた通りの服装をしている。
毛皮を纏った大男が先に口を開いた。
「……あんたが口入れ屋か」
全身毛皮の大男に遠慮なく値踏みの視線を投げかけながら、痩せた男が口元を歪める。
「……あんたが客か」
「レオだ」
「ようし、レオ。約束通りの時間だな。
時間に正確なのはいい事だ。早速ビジネスを始めよう」
両手を摺り合わせながら、口入れ屋は大きく肯いている。
今の時代に、細かな時間まで正確に待ち合わせることに、どれほどの意味があるとも、価値が見出せるともレオは思わなかった。
しかし、口入れ屋は、腕時計を眺めてから神経質そうに肯いている。
そしてレオが望んでいる郵便配達人たちとの繋ぎを取るには、まずはこの男に仲介を頼む必要があるのだ。
口入屋は、大昔の……文明崩壊前のビジネスマンのような格好をしていた。
尊大な雰囲気に妙に時代掛かった背広。ぴかぴかに磨き上げた革靴。
ネクタイと唾付きの帽子とまで来ては、奇妙な人物だと思わざるを得ない。
文明の崩壊した世界においては、見る者に奇異な印象を与える。
僅かな動揺を押し隠して、レオが対面の席に腰を下すと体重に耐えかねて椅子が軋んだ。
テーブルの傍らに若い女がやって来た。
「注文は?」
やる気のなさそうなぶっきらぼうな口調でレオに訊ねてくる。
レオは、手元のメニューを一瞥した。
「……炭酸水があるな。それを」
前払いの硬貨をテーブルに置きながら、口入れ屋に用心深く視線を送った。
ウェイトレスが立ち去ってから、レオは改めて男を観察してみた。
未だに文明社会が継続しているという妄執に執り付かれてるのか。
其れとも、本人なりの美学の追求の結果なのか。
……どちらにしても、ファッションセンスの欠片もない奴だ。
同じ感想を相手が抱いたとは露知らず、結論したレオは相手の言葉を待ってみる。
(変異熊の革服は動き易くて頑丈である。
ティアマットの寒冷な気候では快適な上、素の防御力も高い)
口入屋も、猟師も、自らのファッションセンスがティアマット社会の頂点を極めた。或いは、極めつつあると信じて疑わない人種であったから、初対面の相手の感性の乏しさに対して憐憫を覚えたが、幸いにもそれを表面に出さないだけの礼儀正しさを持っていた。
「ところで、ビジネスの話に入る前に一つ聞いておきたい」
口入れ屋が眼鏡を指で上げながら、尋ねてきた。
「俺や仲介人の事を誰に聞いた?誰の紹介だ?」
なんとも、もったいぶった奴だな。
呆れながら、レオは素直に話した。
「ギイ爺さんだ」
懐かしい名前を聞いた背広の口入れ屋は、深々と肯いている。
「あの爺さん、まだくたばってなかったのか」
「ふん。いいだろう」
椅子に座りなおした口入れ屋が、手元の鞄からリストを取り出しながら訊ねてきた。
「人と仕事の紹介が俺の仕事だ。で、仕事を探してるのか?人を探しているのか?」
「足の早い郵便屋を探している。エリックって奴がお勧めだと聞いた」
ソーダが運ばれてきた。
冷たい炭酸水を口元に運びながらレオが沈黙を保っていると、リストを捲りながら口入れ屋は鼻を鳴らした。
「もっと物騒な仕事の仲間を集めているのかと思ったぜ」
異相の大男を胡乱げに眺めてから、眼鏡の底で眼を瞬いていた。
「間が悪いな。エリックは、今はちょっと都合が悪いんだ。
だが、足の早い郵便屋なら他にも幾人か心当たりがある」
「届けてくれるなら、別に誰でも構わない」
特に名指しの相手がいる訳でもないし、人伝に耳にした名に拘泥している訳でもない。
口入れ屋がリストを捲りながら、レオに訊ねてきた。
「あて先は何処だ」
「バハリス」
「……バハリス。確か、青の曠野の向こうか」
リストを捲る手を止めて、口入れ屋が考え込んでいる。
リストの大部分をテーブルの上に分けると、難しい表情をして残りを捲っている。
リストは情報の塊だろうに、常時、持ち歩いているのか。
其れとも大勢の人材を抱えていると顧客に誇示する為の小道具なのか。
ソーダを啜りながら、レオは奇妙に芝居がかった男と対面していることに奇妙な違和感と居心地の悪さを覚えていた。
「問題があるのか?」口入れ屋に尋ねてみると、一言で返された。
「時期が悪い」
口入れ屋が細い瞳をさらに眇めると、まるで狐のような面相となった。
「ルートを熟知した古参の案内人や郵便屋が出払っている」
口入れ屋の言葉に、レオは分厚い首を不器用に竦めた。
「どういうことだ?」
「港で大市が開かれているだろう」
「ああ」とレオ。
「街道が物騒になってる。遠出用の装備を持ってる連中で経路に詳しい奴らは、軒並み、旅人や行商の護衛に廻っているのさ」
肩を竦めつつ、口入れ屋は言葉を続けた。
「連中にとっちゃ、今がかき入れ時だ。
元々、郵便配達を請け負う奴はそう多くない」
「一人もいないってことはないだろ」とレオ。
「残っているのは、反対方面の奴ばかりだな」
「他にいる連中は?そっちのリストはなんだ?」
「戦闘屋や追跡の専門家。廃墟での生存術や探索に長けている奴。
どいつもこいつも、曠野を横断して荷物を届ける仕事には不向きだ」
口入れ屋は、随分と手広く紹介業を営んでいるらしい。
「郵便屋はいないのか?」
レオが顎を撫でながら訊ねるも、口入れ屋は渋い顔で首を振った。
「いるっちゃあ、いるがね……青の曠野は、それなりに危険だ。
横断するだけとは言え、一応は命がけになる。と、なると駆け出しには荷が重い」
近くでバーのカウンター席に座っていた若い女が口を挟んできた。
「あたしが引き受けるよ」
動き易そうなオリーブグリーンのジャケットとズボンに、ポーチをつけている。
「駄目だ。一度も抜けた経験がない奴は、流石に紹介できん」
口入れ屋は一言で退けたがレオが口を挟んだ。
「誰にでも最初はあるものだろ」
こいつめ。勿体ぶって、値を吊り上げるつもりかな。
口入れ屋に対して眉を顰めつつ、レオは若い女に向き直ると値踏みしてみた。
口入れ屋は割り込むように声を荒げた。
「怪物が多く棲息している領域をルートの未経験者が横断する際には、地理を熟知したベテランを組むのが普通なんだ。
未経験者といっても、他のルートでは充分な経験を積んでいるのが前提でな」
「ふむ?」
「ルート毎のベテランと行動を共にすることで、土地ごとの生存の為の行動や安全な経路、休憩所や水場、敵意ある生物の習性、近づいてはならない危険な場所を学んでいく。
ルート未経験の郵便屋に回すとしても、最低一度はベテランと共に往復してからの話だ」
口入れ屋の説明はレオにも納得がいくもので、しかし、そうなると。
「……今は、いないってことか?」
「ベテランは、他所での仕事に廻ってる……さて、どうしたものかな」
口入れ屋は用心深そうに口元を撫でていたが、何かを思い出して掌を叩いた。
「いや、待て……あんた、ミュータント嫌いじゃないだろうな?」
「別にそんなことはない」
猟師の肯くのを見た口入れ屋はなにやら満足したように口元に歪んだ笑みを湛えると、リストの一枚を取り出して手元のメモに何やら書付を始めた。
「ようし、そいつは結構。大変に結構。
なら、うってつけのが一人いる。ただ、昨日一仕事終えて帰ってきたばかりでな。
次の仕事は、早くて三日後かな。それでいいか?」
「ああ、文句はない」
「連絡先を聞いておこう。あんたの宿泊先は?」
「ナズグルだ。町中央にあるホテル。
連絡がつかない時は、ギルドの郵便係りに俺宛の言伝を残してくれればいい」
「よし、そこなら問題ない。こちらから連絡させよう」
口入れ屋が片手で杯を掲げながら、請け負ったと大きく肯いた。
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