ACT 02 大丈夫!ギーネの作戦だよ!
前日の夜を食堂の軒先で過ごし、夜明けとともに街路を彷徨いだした二人であるが、現在、ギーネ・アルテミスは冷や汗を垂らしながら、町の青空市場で交わされる取引を凝視していた。
……あ、在りのままに今、起こったことを話すぜ。
買い物しようとしたら、商品に『値札』がついていなかった。
何を言いたいのか分からないと思うが……俺にも分からねえ。
インフレだとか、値上げとか、そんなちゃちなもんじゃ断じてねえ。
物価の相場が見当もつかないんだぜ。
旅人と屋台の商人のやり取りを観察しているギーネの目の前で、弾薬が食料の包みと交換されていた。
「そもそも物々交換の占めるウェイトが大きいだろうことは、何となく想像していましたが……」
母国であるアルトリウスは、民生にそれなりの工業力を割り振れるだけの国力を有していた為、定価という制度が普及していた。
カルチャーショックを受けたギーネは、難しい顔をして考え込んだ。
……現金も貴重っぽいですね。あまり使われていません。
いえ。貴重なのではなく、乱高下して信用が低いのでそうか?
煙草とお酒、弾薬、チョコレートが、代替貨幣などとしては、珍重されてる様子。
ぬぬ……まあ、それ自体はよくあること。
現地における統治機構への信頼が低いだろうなんて事は、すでに予想していたことではないか。
いや、まて。よく見ると、何種類かの貨幣や紙幣が混合して使われています。
見覚えのあるあれは、帝國ポンド紙幣ですね。
すると、現金収入の入る仕事が少ないので、現金を使うのを控えているのか?
或いは、そもそも出回っている量が少ないのか。
なんか全然、見当がつかない。
これは考察しているだけではなく、実際に自分で経験してみないと分かるまいな。
しかし、差し当たっての問題はもっと別にある。
どの商品にも、値札が書いてない。定価が分からない。
まさか、定価が存在していないのでは……
いずれにしても、此の侭ではまずい。
下手すると、吹っかけられて丸呑みせざるを得ない。
人間関係の好悪や立場の強弱、コネ、交渉術などで値段が決まるような土地だったら、伝手のない私たちは詰んでいる様な気がしてならないぜ。
鉄板や廃車、土嚢などが積み上げられて構築されている町の防壁を抜けると、大きな広場に青空市場が広がっていた。
アーネイは、物珍しそうに目を細めて足を止めた。
異国情緒溢れる光景を興味深げに眺めているうち、それなりに横幅のある街路に沿って、屋台や露店が点在しており、様々な人種や民族、種族の人々が人混みを形作っているのに気づいた。……ちょっとまて、種族?
よく見てみれば、一見、人間にはちょっと見えない緑の肌の禿げた大男、牙が生えて角のある青年、皮膚に鱗が生えている女性もいれば、ネコミミをピンと生やした可愛らしい少女も暢気に鼻歌を歌って目の前を歩いている。
異世界人だろうか。いや、恐らくはミュータントか。
微かに警戒したアーネイだが、少なくとも目の前に限れば、どうやら普通の人々と特に問題なく共存しているようにも見えた。
或いは、ただの整形かもしれない。
あざと……可愛らしい猫耳の少女が目の前を歩いているというのに、しかし、普段なら大騒ぎしそうな主君が沈黙している。
気になったアーネイが真横を見てみれば、まるで石像と化したかのように固まったまま、ギーネはうんうんと唸っていた。
「そ、素数を数えるんだ。ギーネ。
素数は孤独な数字。全てのボッチ……げふん、げふん。弧高なる者に勇気を与えてくれる。
……2……3……5……7……11……13……17……19……23……」
あら、お嬢さまが何やら、てんぱっておられますね。
とは言え、無理もないか、とアーネイも嘆息を洩らしつつ、周囲の情景に見入っていた。
市場の雑踏を行き交う人々の三人に一人が、何かしらの武装を身に着けている。
新鮮な死体が側溝に転がっているのに、珍しくもない光景なのか。
誰ひとり見向きもしない殺伐とした風景なんて、アーネイだって見とうなかった。
上は突撃銃からライフル、サブマシンガンを背負った迷彩服、革服とプロテクターの集団から、下は警棒やナイフ、包丁程度を腰に吊るしている、その他の装いは平凡な人々に至るまで。
ドキュメンタリーなどで目にした、紛争中の第三世界の市場か、原住種族と戦争中の開拓地などによく酷似した、穏やかさの中に緊張感を孕んだ雰囲気が広場を包み込んでいた。
和やかな笑顔で談笑している老人と女子供まで、腰にナイフや小型のボウガンを吊り下げているのを見れば、ティアマット世界の治安の良さは推して知るべきであった。
物凄く嫌そうな顔をしているギーネが、アーネイに向かってポツリと話しかけてきた。
「アーネイ……核戦争後の北米を旅するゲームを覚えていますか?
ここの雰囲気って、あれにそっくりじゃありません?」
どこか虚ろな声で尋ねてくる主人を元気付けようと、アーネイは朗らかな声で祝辞を述べた。
「おめでとう御座います。大好きなゲームにそっくりの世界ですよ」
「よくねえですよ!ゲームだから楽しめるんですよ!
貴女、自分が大好きなゾンビ彷徨う洋館探索するゲームを実際の生身でやりたいと思いますか!?」
「……え?」
「……え?なにその反応、ちょっと恐い」
しばし、ギーネと見詰め合っていたアーネイだが、落とし所を見つけて提案した。
「まあ、ここは大好きなゲームの世界に異世界転生できたと前向きに考えたらどうでしょうか?」
市場の人混みは小さいものの、荒々しさを感じさせるほどの活力に満ちていた。
言い換えれば猥雑で、しかも、どこか物騒な雰囲気が漂っていた。
なにやら不満げにぶつぶつと文句を呟いている傍らの主君を黙殺して、アーネイは少しだけ楽しげに市場を眺めながら囁いた。
「この荒廃した空気。どちらかと言えば、わたしは銀河系を舞台に叛乱軍が悪の帝国と戦うSF映画を思い出します。序盤に出て来た砂の惑星の都に似ていますね」
「……あれは4部が至高ですね。6部も捨てがたいけど。
インスパイアしたと言われる、隠し砦の三悪人もそのうち見たいです」
座り込んだギーネが何やら相槌を打つと、ため息を漏らしつつ天を見上げて呟いた。
「それにしても落ちぶれたものです。
帝國12氏族の次期当主から、こんな辺境世界の難民にまで転がり落ちるとは……
こんなことなら、惑星をも砕く無敵な宇宙要塞とか、クローン軍団とか造っておけばよかったですよ」
「あんた、幾らなんでも宇宙要塞は無理でしょうよ」
また見栄を張ってと、ちょっと呆れた様子のアーネイに対して、ギーネは鼻を鳴らした。
「設計図は引きましたよ。ちょっと資源と工業力が足りなかっただけです。
それに、クローン軍団の方はあと一歩までいきましたし。外見を必ず美少女に調整するのと、不老長寿の要素を組み込む課題がクリアできなかっただけで、基礎的な量産及び教育システムは構築済みでした。
あーあ。後、ほんの少しだけ時間と予算があったら、私は最強の諸侯、貴族の第一人者として今頃、帝國全土に君臨……うわあああ!しまったぁあ!」
「なんですか。突然、頭を抱えて絶叫して?狂を発したんですか?
周囲の人が変な目で見てますよ。止めてください、恥ずかしい。」
「よく考えたら、帝國科学技術庁の長官として潤沢な予算が使えるうちに、クローン兵士とか、せめてモビルスーツとか作っておけばよかったんや!
そしたら銀河帝國は無理でも今頃、アルテミス朝星間帝国くらいはおったてて、皇帝ギーネ一世として、美少女ハーレ……じゃなくて、程度の低い恒星系の二、三を征服して君臨していたかも知れないのに!口惜しいですぞ!」
銀色の髪をわしゃわしゃとかいて、どうしようもない欲望を駄々漏れにして呻いているギーネを見ながら、アーネイは首をかしげた。
「侵略する度胸なんかあるんですか?いい意味でも悪い意味でも小物っぽいのに。
そう言えば、就任した政府の役職を半日で首になったことがありましたね。
歴代の最短記録ですよ。科学技術庁長官の半数はアルテミス家の者が歴任している安牌だったのに。一体、何をやらかしたんですか?」
ギーネは、そっぽを向きながら、不機嫌そうな表情を見せた。
「……何もしてませんよ。真面目に仕事しただけです。
叛乱軍の占領地に生物を捕食して増殖するバイオ兵器を投入しようとしたら、ユピテルの野郎に呼び出されて拘束された上、権限を剥奪されました。
あれさえ使っていれば、叛乱軍の全将兵を6時間±12分24秒で殲滅できたのに……」
「うわあ。なんという世界滅亡のフラグ。危険生物を暴走させて人類滅亡ですね。ユピテルはいい仕事しました」
「何云ってんですか。うまくいくに決まってるでしょう!」
「そうかなー」
「大丈夫!ギーネの作戦案だよ!」
「うっわ。どす黒い不安しか沸いてこない。
確かにお嬢様は天才かも知れませんが、時々、致命的な見落としをなさいますし」
「ちゃんと制御できるし、時間が来れば死滅するって説明したのに……設計図入れたコンピューターまで物理的に破壊されました。じじいにバットのフルスイングまでされて」
「それを聞いて心底、ホッとしました」
「そんな呆れた顔をしないでも大丈夫!確かにユピテルの行いは横暴で蛮行ですけど、バックアップはちゃんと取ってます!日頃の心がけって大事だよね!」
物凄く強張った表情を見せている家臣の前で、ギーネはぶつぶつと文句を垂れていた。
「格好つけやがって!あの爺め。
叛乱軍将兵もまた帝國の民なりとかほざいていました」
「いかにも、ユピテル執政官が仰せになりそうな言葉ですね」
「その場にいた元老議員や評議委員たちまで空気に流されて、わたしの解任動議に賛成しやがった!
あの時に最高執政官だったハデスの当主と元老院に直訴しようとしたのに、それも許されませんでした。
あいつ。自分の権限だけで同格であるわたしを解任しやがったんですよ。
内戦が続けば、犠牲が増えるだけなのに」
ギーネ・アルテミスは、往時の記憶を思い出して義憤に燃えていた。
(汝は邪悪過ぎる。帝國は汝を必要としていない……か。
ふん、ピーナッツバターのように性根の甘い奴ですぅ。
本当に危険だと思うのならば、私を殺しておけばよかったのだ。
くふふ、このギーネさんが捲土重来を果たした暁には、自慢の顎鬚を蝶結びにしてやるのだ。さらに、お前の可愛いらしい孫たちは、ベッドの上でメロメロになるまで百合百合してやるにゃあ。
ついでに私の解任に賛同した元老議員たちについては、一年を通して氷雪吹きすさぶネオシベリア地方で木の数を数えるという重要な仕事を割り振ってやるぞスターリン)
……あ、またろくでもない事を考えておられやがるな。
悪そうに笑っている主君の横顔を眺めて、無言のうちに何かを察したアーネイは、話題を転じた。
「東部辺境区が陥落した後、帝都に向かわなかったのにはそんな理由が在ったんですか」
「帝國の藩屏たる譜代貴族として面目がないと言うのもひとつ。
帝都への道程が危険な状態にあったというのもひとつ。
そして、顔も見たくない奴らがいたのも、また理由のひとつではあります。
ですが、あのような分からん連中とは違い、世の中には少しは物の道理が分かっている人間もいます。
ヘスティアの奴は、自分が帝國の最高執政官に就任した暁には、必ず呼び戻すとは言ってましたね」
「……ヘスティアさまが」
怜悧で危険な帝國屈指の大貴族を脳裏に思い浮かべて、アーネイは嫌そうに低く呟いた。
ギーネ・アルテミスの自称親友であるトゥーレ総督ヘスティアは、ギーネと同じく帝國開闢以来の名門12氏族の嫡流で、氏でも姓でもなく、代々の党首が女神ヘスティアの名を冠するのが一族の伝統であった。
帝國内の広大な領地や海外に経営するプランテーション農場から上がる収益は莫大なもので、帝國貴族でも五指に入る富裕さで知られている。
植民地においては巨富と同時に強大な私兵を擁しており、共和革命軍などからすれば、軍事力を有する大貴族のうちでも、もっとも危険で倒すべき敵に違いない。
アーネイの主君ギーネ・アルテミスとはまた別の意味で、敵対する諸勢力から帝國の危険人物の一人と見做されていた。
……お嬢さまには、余り近づいて欲しくない人物だが。さて、如何したものかな。
有能だとは思うものの、傲慢な性情のヘスティアは帝國の内外にあまりにも敵が多かった。
僅かに首を傾げてから、アーネイは主君に忠告しようとする。
「恐れながら、あの御方とお嬢さまと協力し合えるとは思えません」
「わたしも、それくらいは分かっています。
あの合法ロリは、露骨な程の野心家の癖、笑えるほどの吝ですからね。
背と同じく、中身も小物過ぎて到底、頼れる相手ではありません」
酷評である。
「今の状況で頼れば、弱味に付け込んで精々、飼い殺しにされるのがオチでしょう」
そう分析しつつ、ギーネはアーネイに対して言葉を続ける。
「それに今の私にとっては、アルトリウスでの地位や権力など、もはやどうでもいい。
このティアマットでの明日のご飯の方が大切です」
危険な上に頼りない相手であることは、ギーネも重々承知しているようだ。
主君の発言を吟味しながら、アーネイも肯いた。
まあ、帝國内部もきな臭くなってきた今の時期、この辺境世界に流れてきたのは僥倖か。
すきっ腹を抱えて涙目のギーネを横目で眺めつつ、アーネイも密かに思案に耽っていた。
私たちの寿命は長い。十年、二十年。或いは百年でも外世界でやり過ごして、時節を待って帰還するのも手だろうと、アーネイも判断する。
それとも……或いは、お嬢さまは本気で本国を見捨て、ティアマットの地で生きられるお心算かな?
「さて……仕事を探しますか。とは言え、わたしには働いた経験がありません」
ギーネが歩き出すと、アーネイもため息を洩らしつつ主君の背中を追った。
「胸を張って言うことではないでしょう」
「ですが、戦争の災禍を避ける為とは言え、アルトリウスからは少なくない人数が移住してきている土地です。なんとかなるでしょう」
昼から夕刻に掛けて職を求めて街を歩き回るギーネとアーネイであったが、しかし、結果は捗々しいものではなかった。
「外国人かい?ごめんねえ」
「表の張り紙?悪いね。もう決まったんだよ。従兄弟が村から出てきてね」
「うーん。住所のしっかりしている奴じゃないと」
人手を募集する壁の張り紙が、風に空しく揺れていた。
四件目の食堂を訪ねてみるも、やはりけんもほろろの対応であったが、ギーネはここで粘ってみることにした。
「りょ、料理は得意ですぞ!調理免許もありますし、とりあえず作らせて見てくださいのだ!」
「外国人?三つ目魚のチュッチャアプリャ作れる?」
「……なんですと?チュパカブラ」
慣れないティアマット語を使いつつ頑張るギーネであったが、聞いたこともない料理名(地元の独自料理だから当たり前だが)に目をぱちくりさせると、食堂の主は鼻を鳴らしてきびすを返した。
「チュッチャアプリャも作れんのではなあ。うちでは雇えんな」
「調理手順を一目見せてくれれば、完璧な記憶力と肉体制御で、三ツ星シェフも真っ青の再現をしてみますぞ!」
「さっさと出て行ってくれ。商売の邪魔だ」
ギーネは追い払われた。
「ぬぬ、世間の風は想像以上に冷たいです。これはもしや履歴書の空白の仕業?」
仕事は中々に見つからず、二人は町外れの街路を力の無い歩調でとぼとぼと歩いていた。
「……人々の反応は悪くないのに、雇い入れようとはしない。何ゆえ?」
天を仰いで呻いているギーネの横合いで、アーネイもため息を洩らした。
「露骨なよそよそしさと警戒の眼差しを受けるのは、ちょっときつかったです。
まあ、嫌悪や蔑視がないだけマシですか。
わたしが彼らの立場でも同じようによそ者を警戒するでしょうし……」
途方にくれたギーネは、天を仰いで文句を呟いている。
「ため息は幸せが逃げますよ、アーネイ。しかし、結構きついですね。
母国でアルバイトを探すようにはいかないとは思っていたけど、よそ者に対する風当たりがこれほど強いとは……あまりにも聞いた話と違いすぎます。解せぬ」
それから顔をしかめると、何かに気づいたかのように立ち止まった。
「あ、しまった。
私たちが参考にしていたのは、大陸中西部のデーターか。
同じティアマットでも、アルトリウス人やその他の民族が何千と移住してきている土地と孤立した辺境の地方では、条件が異なるんだ」
ギーネが爪を噛んで、唸り声を上げている。
「中西部は、複数の次元ゲートが存在する重要な中継地かつ人口密集地。
だが、東海岸は違う。他の土地と交通がほぼ遮断された人口の希薄な廃棄世界の片隅。
こんなことにも気づかないなんて」
アーネイは片眉を上げて、焦りを見せているギーネを怪訝そうに眺めた。
「どういう意味ですか?私にも分かるように説明していただけませんか?」
暫くの間、神経質そうに人差し指の間接を軽く噛んでいたギーネだが、やがて落ち着きを取り戻したのか、ゆっくりと説明を始めた。
「景気がいいとか、悪いとか以前の問題です。
資源が枯渇している廃棄世界は、ある意味、それ単独で成立している閉鎖系の世界です。
江戸時代のようにリサイクル中心の経済が成立し、しかも人口が希薄で許容限界があるから、雇用が限られています。
とは言え、流通や交通が完全に途絶えているわけでもありませんから、採用に地縁が大きな意味を持つのでしょう。
もし閉鎖系の社会なら、収支の帳尻を合わせるのは共同体の維持と安定の為に重要な要素となります。基本的な傾向として、住人は閉鎖的な性格を持つことになります」
沈黙が二人の間に舞い降りた。やがてアーネイが低い声で重々しく呟いた。
「では、絶望的ですね」
「あくまで推測です。まだ分かりません。
それにそうした傾向があるとしても、例外は常にありますし、此れだけ大きな町なら、他所との流通や交通もあります。
現に、明らかに住民ではない旅人や流れ者が、食料や貨幣を交換していましたし、町の入り口では、よそ者らしい人々も工事に従事していましたしね。
恐らく町の店舗に務めるのは、住民だけに限るのでしょうが、単純労働の働き口ならば、よそ者でもありつけるのではないでしょうか」
「……単純労働ですか」
アーネイが深々とため息を洩らした。
「大型免許と溶接、危険物取り扱いに強化外骨格の資格を持っているから、どのアウターワールドに行ってもやっていけると思ったんですがね。
田舎町で機械に規格の違いがあるにしても、ここまで求人がないとは想定外でした」
ぼやいているアーネイの言葉を聴いて、ギーネも相槌を打った。
「弁護士や簿記の資格も、税制や法律が違う国では意味ねーですし」