9】また一難
すると!!
ママさんたちの目に飛び込んできたのは、二度と目にしたくなかったあの姿。
もちろんそこにいたのは、爽やかなライトグリーンのワンピースを着た、爽やかという表現から最も遠いダースベーダー。
逆光となっており、その不気味さは80%増し(当社比)。
―――な、なんでそこにいるのーーーっ?!
5人は心の中で大絶叫。
ダースベーダーもどきが窓ガラスに張り付くように立ち、こちらに向かって軽やかに手を振っている。
―――何してんのよ!!早く帰れーーーっ!
急いで視線をメニューに戻した5人。
「あっちを見たらダメよ!あんな怪しい人物と知り合いだってバレたら、この町で暮らしていけなくなるわよ!!」
「そ、そうね」
「分かったわ!」
5人は一心不乱にメニューに目を落とす。
―――ゆうママが早くいなくなりますように。
彼女たちの願いは旦那の昇進でもなく、子供の健康でもなく。
ただ、その一点だった。
「……もう、ゆうママはいなくなったかしら?」
しばらくして、1人のママさんがちらりと窓に目をやる。
「ひぃぃっ!?」
そのママさんは小さな悲鳴を上げ、急いでメニューに視線を戻した。
「まだいるのね?!」
「い、いたわ!絶対に見たらだめよ!!」
「もちろん!」
再び5人に緊張が走る。
窓の外のダースベーダーは両腕を大きく振り回しながらピョンピョン飛び跳ね、自分の存在を猛烈アピール中だ。
どよめきが増す店内。
―――ゆうママ!そんな事していたら、不審者として通報されるわよ!!
―――って言うか、誰か通報して!!一刻も早くここから遠ざけてぇっ!
ママさんたちの視界の隅に映るダースベーダーは、こりずに手をふり続けている。
―――旦那の給料が下がってもいい!
―――子供がテストで0点とってもいい!
―――神様!どうか、どうかあの脳天気なダースベーダーを私たちの見えない所へーーー!!
これまで神など信じなかった彼女たちだが、この時ばかりは心の底から神に祈った。