4】君に大注目☆
ママさんたちが必死に加奈を説得した結果。
「ん~。それもそうだね。じゃ、奥でいいです」
加奈はみんなの提案に頷いた。
店の奥の、さらに隅の壁際に案内される六人。
小林は水とメニューをテーブルに置くと、足早にその場を立ち去り、そして、厨房へと駆け込んだ。
今頃、厨房内は騒然としていることだろう。
緑のワンピースに身を包んでいる、このはた迷惑なダースベーダーのことで。
数分と経たないうちに、こちらの様子を遠巻きに見ているスタッフたちの山ができた。
彼等の視線があまりに痛い。
ママさん達は痛々しい視線をかわすために、メニューを見ているふりをしてひたすらうつむく。
その突き刺さるような視線を一身に浴びている当の本人は、左右の視界をマスクによって遮られているため、全く気づいていない。
鼻歌をかましながらメニューを眺めている。
(だから、鬼太郎の鼻歌はやめろって!)
ふと、メニューから顔を上げた加奈。
「あれ?みんなどうしたの?」
見ればママさんたちは肩をすぼめ、居心地が悪そうに下を見ている。
「えっ、あ、うん。厨房の人達がこっちを見てるなあって……」
加奈の正面に座るママさんが答えた。
「そうなの?」
加奈はグリッと首だけを回して、厨房に目を向ける。
席から厨房までかなりの距離があるが、暗黒マスクの異様さはすぐさま伝わってきた。
ダースベーダーに凝視され、あわてて中に引っ込むスタッフたち。
「本当だ~。みんな、見てたね~」
加奈はママさんたちの方へと向き直った。
そして。
少し肩を落とし、ポツリとつぶやく。
「やっぱり目立つのかなあ。……このワンピース」
――違うだろっ!!
一斉に心の中で突っ込むママさん達であった。