表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/22

●甥っ子 カズ(長男)

 4歳下の妹の長男カズはとっても気持ちが優しい男の子。

 お姉ちゃんや妹達に挟まれて男の子1人だが、それでも捻くれずにすくすくと育っている。


 小さな頃は戦隊特撮ものが大好きで、よく戦闘シーンを真似て見せてくれていた。

 ただ、気になったのが彼の敵がヒーロー番組には出てこなかったキャラクターだったのが気になる。

「ねぇ、カズ。今、誰と戦っているの?」

 と聞けば、

「忍者!」

 という返事が。


 まぁ、それはいい。

 なにか他の番組とごちゃ混ぜになっているのかもしれない。


 だが、

「いま、キリンと戦ってるの!」

 と、張り切って答えられた時、私はどう対応すればいいのか困ってしまった。

 いったい彼は、どんな悪役が出てくる番組を見たのだろうか。

 平和な社会を脅かす敵がキリンって……。


 まぁ、それはさておき。


 カズとのこれまでのやり取りで、みやこがけして忘れる事が出来ないセリフがある。


◇◆◇◆◇


 あれは妹が3人目の子供を生む為に、実家に帰っていたときのことである。

 この時の妹は体調が悪く、お腹の子の生育も順調ではなかったので、実家で静養していたのだ。

 長女のみいちゃんは幼稚園に通っていて、そのまま旦那さんの家で祖父母と暮らしていた。

 だがカズはまだ3歳ほどで、母親と離れての生活は難しい。

 そこで妹はカズを連れて実家で静養していたのだった。


 みやこは当時、実家近くのアパートで旦那様と2人暮らし。

 仕事がない平日は、カズを預かることもたびたびだった。


 そんなある日のこと。

 リビングでお菓子を食べながらカズと遊んでいたのだが、そろそろ夕食の支度を始めようかと思っていたみやこは、

「いまから台所でお料理するから、カズはここでテレビを見ててね」

 といって立ち上がった。

 するとカズも立ち上がり、

「ボクも行く」

 とついてきた。

「でも、台所は遊ぶものがなにもないよ」

「いい、見てる」

 みやこが何を言っても台所から離れようとしない。


 まぁ、本人がそこにいたいというなら別に構うことはないだろう。

 そう思ったみやこは、調理に取り掛かった。


 それから10分ほどしても、カズは冷蔵庫横の壁に寄りかかってみやこを見ている。

 一向にその場から離れようとしない。

 調理の合間に話しかけてはいるが、このままでは甥っ子も退屈なのではないかと思って声をかける。

「ねぇ、カズ。そろそろカズが好きな番組が始まるんじゃない?やっぱりテレビ見てきたら?」

「いい、ここにいる」

「でもさ、そこに立ってるだけじゃつまらないでしょ?」


 みやこがそう言った時、ものすごい大きな声で返ってきた答えが


「つまるよ!!」


 だったのだ。



 思わず噴き出したみやこ。


 言葉には反対語というものがある。

「高い」の反対は「低い」。

「大きい」の反対は「小さい」。

 みやこが言った「つまらない」の反対は「楽しい」、「面白い」などだろう。


 また、もともとの言葉を使って「高くない」「低くない」、「大きくない」「小さくない」という表現をする事がある。


 ところがカズの頭では「つまらない」の反対は「楽しい」ではなく、ましてや「つまらなくない」ではなく、「つまる」と認識されていたようだ。

 子供の思考回路は、素直でいて、そして面白いものである。

  

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ