●イトコ
これはイトコ自身から報告があった、数年前の夏の日の出来事です。
◇◆◇◆◇
まだ暑くなる前の時間帯(おそらく午前9時頃)。
当時、小学校に通っていた長男ゆうを学校まで歩いて送っていった帰り、途中にある5メートルほどの高さのある木をジッと見上げているイトコ。
そしてキョロキョロと辺りを見回し、落ちていた手頃な長さの棒を発見。
その棒をしっかりと握り締め、そしてピョンピョンその場で飛び跳ねながら、一心不乱にブンブンと棒を振り回す。
あまり体力の無いイトコなので、息が切れると休憩を取り、息が整うとピョンピョン&ブンブン。
わりと小柄なイトコがその場でピョンピョン跳んでも大した高さには達しない。
そこで考えたイトコは助走をつけ、思い切りジャ~~~ンプ&ブンブン。
でも、あえなく失敗。
無駄にガッツのあるイトコなので、失敗に懲りず再三に渡ってジャンプ&ブンブン。
それにしても、このイトコは何をしているのか?
実は、イトコなりにそのような行動を取る理由があった。
それは!!
木の枝に付いたセミの抜け殻が取りたかったとの事。
(お前は……。←呆れて絶句するみやこ)
あまりに必死なイトコに、様子を見ていた近くのガソリンスタンドのお兄ちゃんが「手伝いましょうか?」と申し出た。若干、怯えた様子で。
が、イトコは「いえ、結構です。自分で取ります」と、きっぱり断った。
それからも、スタンドのお兄ちゃんに生温かい目で見守られながら、取り憑かれたように飛んでは棒を振り回すイトコ。
しばらくアホみたいに格闘した末、無事にセミの抜け殻をゲットした。
そしてイトコはスタンドのお兄ちゃんの拍手を背に受けながら、セミの抜け殻を手に意気揚々と家に帰ったという。