↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/4

お嬢様とクズな婚約者

公爵令嬢エレオノーラシリーズのタグに、公爵令嬢エレオノーラとつけました!

良かったら感想や下の★マークなど頂けると、とても励みになります。

「エレオノーラ。結婚後のことについて、いくつか話しておきたい」


王都でも有数の高級料理店。


周囲には王国の有力貴族たちが集まり、静かな音楽が流れていた。


その中で、エレオノーラ・フォン・グランディアは、目の前に座る婚約者を見つめていた。


「はい。何でしょう、アルフォンス様」


「まず、私の交友関係についてだ」


アルフォンス・フォン・レイヴァン。

レイヴァン侯爵家の嫡男。

そして、エレオノーラの婚約者だった。


「結婚後も、私は今まで通り自由に行動する」


「……自由に、ですか?」


「ああ」


アルフォンスはワインを口にした。


「友人との付き合いもある。女性との交友もな」


エレオノーラの表情が僅かに固まった。


「女性との……交友、ですか?」


「そうだ」


悪びれる様子はない。


「君も知っているだろう。私は女性に人気がある」


「存じております。嫌というほど」


王都では有名だった。


レイヴァン侯爵家のアルフォンスには、常に女性の影がある。


劇場の女優。

商会の娘。

下級貴族の令嬢。

そして、エレオノーラが知っているだけでも、数人の愛人。


「結婚すれば、グランディア公爵家の娘として相応しい振る舞いをしてもらう」


「……はい」


「余計なことには口を出すな」


「余計なこと、とは?」


「私の女性関係だ」


エレオノーラは黙った。


「私は次期侯爵だ。妻一人だけを見て生きるほど暇ではない」


「……そうですか」


「理解してくれて助かる」


アルフォンスは満足そうに笑った。


「君は優秀だ。グランディア公爵家の財産も、領地もある」


その言葉に、エレオノーラはゆっくりと顔を上げた。


「……今、何とおっしゃいましたか?」


「だから、君は優秀な妻になると言った」


「その後です」


「グランディア公爵家の?」


「はい」


アルフォンスは少しだけ眉をひそめた。


「財産と領地がある」


「それが、どうかしましたか?」


「どうも何も」


アルフォンスは笑った。


「私と結婚すれば、レイヴァン侯爵家とグランディア公爵家は強固な関係になる」


「……」


「悪い話ではない」


エレオノーラは微笑んだ。


「そうですね」


「分かってくれたか」


「はい」


彼女は静かに頷いた。


「とてもよく分かりました」


その笑顔を、少し離れた場所から見ていた人物がいた。


エレオノーラ付き侍女長。


マリアンヌ・ローデリア。


彼女は笑っていた。

笑っていたが、目が笑っていなかった。

そして、その隣に立つ侍従長、ヴィクトル・アルディスが静かに呟いた。


「……聞きましたか」


「ええ。一語一句、漏らさず」


マリアンヌの声は柔らかかったが、妙に冷たかった。


「どうします?」


「まだです」


「まだ?」


「お嬢様のお気持ちを確認しておりません」


マリアンヌは扇を閉じるように、指先をゆっくりと握った。


「ですが」


「ですが?」


「私の個人的な感想を申し上げるなら」


彼女の笑顔が深くなる。


「埋めましょうか」


ヴィクトルは眉一つ動かさずに尋ねた。


「どこに?」


「庭に」


「却下です。お嬢様が悲しまれます」


「では、生きたまま遠くの国へ」


「それも却下です。外交問題になります」


「難しいですね」


「ええ。実に困ったものです」


二人は同時にため息をついた。


「とりあえず」


ヴィクトルが眼鏡の位置を直しながら言った。


「屋敷に戻りましょう。情報を整理します」


「そうですね。会議です」


「十人全員を?」


「もちろん」


「騎士団長も?」


「呼びます」


「騎士団三千人は?」


マリアンヌは少し考えた。


「……待機」


「それだけですか?」


「今のところは」


その言葉が、この日、王国最大級の騒動の始まりだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。