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婚約破棄、承りました。では、王家が決めずに私へ押しつけた三百二十七件の未決案件を、すべてお返しします 〜「灰色の悪役令嬢」は、もう誰かの代わりに嫌われません〜

作者: 他力本願寺
掲載日:2026/07/20

「この、人殺し!」


 鉱山事故で夫を亡くした女性が、補償決定書を私の胸へ叩きつけた。


「これでは冬まで暮らせません! あの人は王家の鉱山で死んだのに!」


 決定書の署名欄には、鉱山大臣と領主の名があった。私の名はない。


 けれど、遺族へ金額を伝え、怒りを受け止めるために請願室へ立っていたのは、私一人だった。


「おっしゃるとおり、この額では十分ではありません」


「なら、なぜ決めたのです!」


「私には決定権が――」


「言い訳までなさるの? この冷酷な悪役令嬢!」


 付き添いの女性に支えられ、泣きながら請願室を出ていく彼女へ、私は頭を下げた。


 彼女を、責める相手を間違えたと非難する気にはなれなかった。決めた者が姿を見せず、決めていない私だけを窓口に立たせたのだ。


 その日の夜。


「リディア。君との婚約を解消したい」


 十一年続いた関係は、たったそれだけの言葉で終わった。


 王城の小会議室では、窓を打つ雨音と、壁際に立つ書記官のペンが止まった音まで聞こえた。


 向かいに座るフェリクス殿下は、私をまっすぐ見ていた。逃げずに話そうとしていることだけはわかる。けれど、膝の上で組んだ指は、白くなるほど強く絡んでいた。


「ミレーヌ・ロッシュ嬢を愛しておられるのですね」


「……ああ。彼女といると、息ができるんだ」


 では私といるときは、息ができなかったのだろう。


 胸の奥に鈍い痛みが広がった。けれど私はいつものように、その痛みより先に、次の手順を探した。


 国王陛下への報告。両家の合意書。王太子妃教育の終了日。私に与えられていた執務室と入城許可証の返納。


「承りました」


 私が答えると、殿下の肩が目に見えて下がった。


「そうか。ありがとう、リディア。君ならわかってくれると思っていた」


 わかってくれる。


 十一年のあいだ、何度その言葉を聞いただろう。


「ただ、婚約と政務は別の話だ」


 続いた言葉に、私は顔を上げた。


「君には今後も、王国の相談役として僕を支えてほしい。地位については父上とも話す。これまでと同じように、各省から上がる案件を整理し、皆が納得できる案を――」


 私は机の端に置かれた黒革の台帳へ目を落とした。


 今朝、最後に数字を確かめたばかりだ。


「三百二十七件です」


「何が?」


「現在、私の執務室に置かれている保留案件の総数です。婚約解消が正式に成立した日をもって、すべて王家と各決裁者へお返しいたします」


 殿下は瞬きをした。


「返す? 待ってくれ。急に返されても困る。せめて結論案だけは、今までどおり君が作ってくれないか」


「どなたのお名前で決定なさいますか」


「それは、案件ごとに父上や大臣が――」


「では、その方々がお決めになるべきです」


「だから、その前の調整を頼みたいんだ。君が反対する者を説得し、全員が受け入れられる形にしてくれれば、署名はできる」


 全員が受け入れられる決定など、ほとんど存在しない。


 堤防を築く場所を選べば、守られない村ができる。鉱山事故の補償を増やせば、誰かが費用を負担する。遺族年金を恒久化すれば、新しい税が必要になる。


 私は事実を集め、選択肢を作った。反対者の怒りを聞き、決裁者が署名できるところまで負担を減らした。


 決定が歓迎されれば王家の功績となり、歓迎されなければ、窓口に立った私が「血も涙もない灰色の令嬢」と呼ばれた。


 今日もそうだった。決裁書には大臣と領主の名があったのに、遺族の怒りを受けたのは私だった。


 私は弁解しなかった。不満を受け止めるのも将来の王妃の務めだと、教えられていたからだ。


「殿下。私は一度も、決める権利をいただいておりません。ですから、決める責任も、本来は私のものではありません」


「責任を放り出すと言うのか」


「いいえ。私のものではなかった責任を、本来お持ちの方へお返しするのです」


「しかし、君がいなければ、誰が決める?」


「印章をお持ちの方が」


 書記官が息を呑んだ。


 殿下はしばらく何も言わなかった。やがて、困り切ったように眉を下げた。


「一度、落ち着いて考えてくれないか」


 私はいつも、返事をする前に正解を探してきた。


 相手を怒らせず、誰も困らせず、自分がもう少しだけ耐えれば済む答えを。


 けれど、その夜は探さなかった。


「考えても、私の答えは変わりません。お引き受けいたしません」



     ◆



 三百二十七件は、一夜で生まれた数字ではない。


 私が十六歳で会議の事前調整を任されてから六年。決裁者が意見の対立を収められないたび、書類は「追加の聞き取りを」と私の執務室へ戻ってきた。


 最初は七件だった。翌年には三十八件になった。それでも私は、自分が引き受けなければ困る人がいると思った。


 実際、困っている人はいた。


 だからこそ、決められる者が決めなければならなかったのだ。


 婚約解消の合意書が整うまでの十二日間、私は返却書を作った。


 鉱山事故の補償。


 昼間の女性の顔が浮かんだ。事故原因について確認された事実。王家、領主、鉱山組合で費用を分ける三案。各案で遺族が受け取れる額と、採掘再開までの期間。決裁者は鉱山大臣と領主。


 続く紙には、東西どちらの村へ堤防を築くか、下級騎士の遺族年金を恒久化するかを記した。地形は水利官が、財源は財務官が調べている。私がしたのは、専門家の説明と、選択によって生じる負担を一枚の紙へ並べることだけだ。


 私は、誰が決めるのか、何がわかっているのか、どの選択で誰が利益を得て、誰が負担するのか、いつまでに決めなければ何が起きるのかを書いた。


 ただ一つ、書かなかったものがある。


 私ならどれを選ぶか、という答えだ。


「ご推奨案の欄が空白ですが」


 確認に来た鉱山監督官が、不安そうに尋ねた。


「補償額の根拠を示すのは、事故原因を調べた監督官と費用を算出した財務官です。どの負担を選ぶかは、結果を引き受ける決裁者がお決めになります。私は、そのどれでもありません」


「ですが、いつもはアーヴェル様が組合と遺族を説得してくださったでしょう」


「私は話を聞き、条件を整理しただけです。今回は、その記録をすべて添えました」


「では、どの案を選べば」


「それを決める権限のある方へ、ご説明ください」


 技師は戸惑っていた。けれど、やがて書類を抱え直し、小さくうなずいた。


「……承知しました。私が、調査と試算の根拠を説明します」


 彼には、初めからそれができたのだ。


 私はその背を見送り、次の箱へ手を伸ばした。


 指先が封蝋に触れたところで、何をしようとしていたのかわからなくなった。


 眠っていないせいではない。眠る前にも、同じことが起きるようになっていた。食事を選ぶだけで、厨房の手間と残り物の量と父の好みを順に考えてしまい、結局「皆と同じで」と答える。


 何も決めなくてよい休日が、いちばん苦しかった。


「まだ戻る道は残せる」


 執務室の扉口で、父が言った。


 アーヴェル侯爵である父は、私が作った返却書の箱を見渡し、誇らしそうに、それから少しだけ困った顔をした。


「王国顧問として正式な地位を求めればいい。お前ほど働ける者を、王家も捨て置けまい」


「戻る道があれば、私は呼ばれます」


「当然だ。必要とされるのは名誉なことだろう」


「そして私は、また応じます」


 父の眉が寄った。


「応じてはいけないとわかっていても、困る方がいると言われれば、きっと応じてしまうのです。ですから今は、道を残さないでください」


「お前は昔から責任感の強い子だ。私はそれを誇りに――」


「お父様」


 遮った自分の声に、私自身が驚いた。


「今は、働ける娘だと褒めないでください」


 父は口を閉じた。


 長い沈黙のあと、返却書ではなく私の顔を見た。


「……どこへ行くつもりだ」


「母の故郷だったレーヴェへ。半年分の部屋を借りました」


「そこで何をする」


「まだ、決めておりません」


 それを口にするだけで、ひどく心細かった。


 けれど父は、今度は仕事を提案しなかった。


「そうか」


 短く答え、箱を運ぶ侍従を呼んだ。


 婚約解消が正式に公示された日、三百二十七件の返却書は受領印と引き換えに王家へ渡った。


 私が侯爵邸から持ち出したのは、衣装箱二つと、本が一箱。それに母が遺した、湖を描いた小さな絵だけだった。


 幼いころから仕えてくれた侍女長が、馬車の前で私の手を包んだ。


「お嬢様。どうか、お役目ではなく、ご自分のために眠ってくださいませ」


 私は大丈夫だと答えかけた。


 それが彼女を安心させる正解だと思ったからだ。


 けれど、やめた。


「眠れるようになりたいわ」


「はい」


 侍女長は泣き笑いの顔で、私の手を離した。



     ◆



 湖畔自治都市レーヴェに着いた日、私は宿へ入る前に他人の争いへ口を出した。


「今年から船着場の使用料を二倍にするなんて、勝手すぎる!」


「修理費を払わないくせに、桟橋だけ使わせろと言うのか!」


 湖から吹く風の中、宿屋の主人と漁師組合の男が怒鳴り合っていた。周りでは荷運び人や客が足を止めている。


 私は荷物を持ったまま、二人のあいだへ進み出た。


「失礼いたします。使用料を上げたい理由は、桟橋の修理費でしょうか」


「あ、ああ。そうだが」


「漁師組合が反対するのは、漁獲量が落ちる冬にも同じ額を負担する点ですか」


 男は目を丸くした。


「そうだ。春から秋なら、まだ払える」


「でしたら、季節ごとに料金を――」


「そこまでです」


 穏やかな声が、私の言葉を止めた。


 赤みのある茶髪の男性が、人垣を分けて歩いてきた。簡素な灰色の上着に市章の留め具をつけ、丸眼鏡の奥から私を見ている。


「お二人とも、続きは明日の公開集会で。修理費の帳簿と、組合の漁獲記録を持ってきてください」


「しかし、書記官長――」


「道を塞いだまま決めれば、あとで聞いていない者が出ます。今日は荷物を運びましょう」


 二人はまだ言い足りなさそうだったが、彼の言葉には従った。


 人が散ってから、私は男性へ頭を下げた。


「差し出がましいことをいたしました」


「本当に」


 あまりに迷いのない返事だったので、顔を上げてしまった。


「あなたの整理は的確でした。だからこそ危険です。皆は、もっともらしい案を出したあなたに従ってしまう」


「解決できるなら、そのほうがよいのではありませんか」


「あなたは桟橋の所有者ですか。漁師組合の代表ですか。それとも、評議会から調停を任された方ですか」


「どれでもありません」


「なら、あなたには決めた結果の負担を引き受けられない」


 返す言葉がなかった。


 男性は私の足元の衣装箱へ目をやり、片方を持ち上げた。


「宿をお探しでしょう。これは手伝えます。私はレーヴェの書記官長、オスカー・ハルトです」


「リディア・アーヴェルと申します。ですが、荷物は自分で」


「持てますか」


「……一つなら」


「では一つずつ持ちましょう」


 彼は私から全部を取り上げるのでも、意地を張る私へ戻すのでもなく、本当に一つだけ持った。


 翌日、私は公開集会を傍聴した。


 宿屋側は桟橋の修繕費を公開し、漁師側は月ごとの水揚げを示した。値上げそのものは必要だと全員が認めたが、負担の分け方で意見が割れた。


 怒号も飛んだ。宿屋の主人は机を叩き、漁師組合長は椅子を蹴った。


 それでも、オスカーは代わりに答えを出さなかった。


「通年同額にする案。漁獲量に応じて変える案。市の予算から一部を出す代わりに、観光船にも使用料を課す案。どの負担なら、皆さんは自分の名前で賛成できますか」


 話し合いは昼までかかった。


 最後に彼らは、冬季の漁船料金を下げ、不足分を観光船の使用料で補う案を選んだ。誰も満面の笑みではなかった。それでも、決定書には当事者たち自身が署名した。


「不満が残っていても、決められるのですね」


 集会後、私は誰もいなくなった議場でつぶやいた。


 議事録を束ねていたオスカーが、眼鏡の位置を直した。


「不満のない決定を待っていたら、桟橋のほうが先に沈みます」


「王都では、全員を説得し切れなければ、調整不足だと言われました」


「ここでは、反対した者の意見も記録します。決定することと、反対者を黙らせることは別ですから」


 胸の奥で、何かがほどけた。


 同時に、空いた場所へ不安が入り込んだ。


「私は、何をすればよいのでしょう」


 オスカーはしばらく私を見たあと、一枚の用紙を差し出した。


「昨日、二人の主張から争点を拾ったのは見事でした。レーヴェには、当事者の話を記録し、選択肢と負担を整理する『聞き書き人』がいます。今、一人足りません」


 用紙には、試用期間十日、担当一件、勤務は日没まで、報酬は銀貨十二枚と書かれていた。決定権を持たないこと、追加業務には双方の合意が必要であることまで明記されている。


「まだ、お引き受けするとは申しておりません」


「ええ。ですから、持ち帰って読んでください。返答期限は三日後です」


「今、決めなくてもよいのですか」


「契約は、急がせた側だけが得をします」


 私は用紙を受け取った。


 仕事を頼まれる前に、その仕事を断る権利まで渡されたのは、初めてだった。



     ◆



 三日後、私は署名した契約書をオスカーへ渡した。


 本当は二日目には、引き受けたいと思っていた。


 けれど私は、三日間すべてを使った。断った場合に誰が困るかではなく、自分がその仕事をしたいかどうかを考えるために。


 最初の依頼は、共同井戸の水を巡る争いだった。


 乾季を前に、商店街は朝から昼までの優先使用を求め、染物工房は夜明けから水を汲ませてほしいと主張していた。


「商店街の飲食店が水を使えなければ、旅人に食事を出せません」


「こっちは布を洗えなきゃ、その日の仕事そのものがなくなるんだ!」


 市庁舎の小部屋で、双方の代表が机を挟んでにらみ合った。


 私は持参された数字を確認した。


 井戸が一日に汲み上げられる量。飲食店と染物工房が必要とする量。雨期までの日数。


 単純に人数で割れば、商店街へ六、工房へ四。


 生業への影響で考えるなら、朝は工房、昼前から商店街。けれど商店街の火災用水まで考慮すると――。


「必要量は揃いました。今日はここまでにして、明日、使用時間の案を――」


 進行記録を取っていたオスカーが、会合を閉じようとした。


「お待ちください」


 私は書きかけた配分表から顔を上げた。


 数字だけを見ているとき、商店街の代表はずっと指で袖口をこすっていた。工房主は怒鳴りながらも、後ろに座る若い職人たちを何度も振り返っていた。


「水が足りなくなることで、何を失うのがいちばん怖いのでしょう」


 二人とも、すぐには答えなかった。


 先に口を開いたのは商店街の代表だった。


「三年前の乾季に、裏通りで火事があった。消火用の水まで使われたら、また同じことになる」


「飲食店の営業だけではなく、火災がご不安なのですね」


「そうだ。客が減るのも困るが、店が焼ければ終わりだ」


 工房主は、太い腕を組んだまま床を見た。


「うちは、朝に布を洗えなきゃ染めの工程へ進めない。休業が続けば、徒弟から切るしかない。そいつらは、やっと仕事を覚えたところなんだ」


 欲しいのは、井戸を長く使ったという勝利ではなかった。


 商店街は火事から町を守りたい。工房主は若い職人の仕事を守りたい。


 私は新しい紙の中央に線を引いた。


「確認できた事実と、考えられる選択肢を記します」


 井戸の使用時間を交互にする案。


 工房が早朝に使い、商店街が火災用水を別に確保する案。


 双方が費用を出し、湖水をためる貯水槽を共同で造る案。


 それぞれに、得るものと負担するものがある。貯水槽は今季の乾燥に間に合うが、両者に追加費用が発生する。共同管理の人手も必要だ。


「あなたは、どれが正しいと思うんだ」


 商店街の代表に尋ねられ、答えが喉まで出かかった。


 王都であれば、ここからが私の仕事だった。


 相手の性格を読み、どこまでなら負担させられるかを考え、不満が私一人へ向くように話を組み立てる。


 けれど契約書には、私の仕事が書かれていた。


 事実と争点と選択肢を記録すること。


 決めることではない。


「私が正しい案を決めるのではありません」


「それじゃあ、何のためにいる?」


 かつての私なら、その問いを責められたように感じただろう。


 私は紙を二人の中央へ置いた。


「皆様が、何を守るために、どの負担を選ぶのか。それを隠さずに決めるためです」


 話し合いは三日続いた。


 最終日、双方は早朝の使用時間を工房へ譲り、商店街が管理する火災用水には手をつけないと決めた。さらに費用を半分ずつ出し、乾季用の貯水槽を造ることになった。


 双方が追加費用を負担し、工房は貯水槽の清掃にも人を出す。どちらも、欲しいものをすべて得たわけではない。


 それでも署名を終えた工房主は、若い徒弟たちへ向かって言った。


「仕事は切らん。代わりに、貯水槽造りも手伝えよ」


 歓声が上がった。


 私は胸をなで下ろし、そのあとに奇妙な空虚さを覚えた。


 私が決めたわけではない。私が誰かを説得したわけでもない。


「私は、役に立てたのでしょうか」


 片づけをしていたオスカーが、書類から顔を上げた。


「ええ。私にも、足りないものを教えてくれました」


「あなたに?」


「私は会議を予定どおり進めることに気を取られ、水を時間と量だけで分けるところでした。あなたは、二人が口にしていない恐れを見つけた」


 オスカーは、完成した決定書を持ち上げた。


「そのうえで答えを渡さなかったから、彼らは自分で約束を守る理由を持てました。あれは、私一人ではできなかった仕事です」


「何も決めていないのに」


「決める力を奪わなかった。それが聞き書き人の仕事です」


 役に立つとは、誰かの代わりに答えを出すことだけではない。


 そのことを、私はまだ胸のどこへ置けばよいのかわからなかった。


 わからないまま、その夜、宿で二十枚の追加資料を作った。


 貯水槽の管理当番案。費用の徴収時期。完成が遅れた場合の井戸使用表。頼まれてはいなかったが、先に用意しておけば皆が困らずに済む。


 朝、市庁舎で束を差し出すと、オスカーは最初の一枚だけを見て、私へ返した。


「受け取れません」


「内容に誤りがありましたか」


「契約にない仕事です」


「ですが、必要になる可能性があります」


「その場合は、勤務時間内に必要性を確認し、追加報酬と期限を決めて依頼します」


「もう完成しています。報酬は結構です」


「あなたがそう言えば、私は価値のある仕事を無料で手に入れられる。でも、それを繰り返せば、次からは無料で差し出すことを期待するようになる」


 オスカーは資料を机へ置かず、私の両手へ戻した。


「私は、そういう依頼人になりたくありません」


 王都では、早く、多く、頼まれた以上に働けば喜ばれた。


 その喜びを愛情だと思っていた。


「……昨夜の仕事は、無駄だったのでしょうか」


「いいえ。よくできています。だから無料では受け取らないと言っています」


 責められていないのに、涙が出そうになった。


 私は資料を抱き締めるように持ち、うなずいた。


 その日、必要な四枚だけを勤務時間内に作り直した。追加報酬は銀貨二枚だった。


 残りの十六枚は、宿の暖炉で燃やした。


 紙が灰になるまで見ていたが、誰も困らなかった。


 三日後の日没間際、老いた船大工が市庁舎へ駆け込んできた。


「オスカー、頼む。隣の工房が、壊れた塀の修理代を全部こちらへ回そうとしているんだ」


 オスカーは壁の時計を見たあと、記録用紙を取り出した。


「まず、塀が壊れたときの状況を――」


「人命か、火災に関わるご依頼ですか」


 私が尋ねると、二人が同時にこちらを見た。


「いいえ。ですが彼は、父を亡くしたあとの私を何年も気にかけてくれた人です」


 境界線を言葉にできるオスカーにも、線を引きにくい相手がいるらしい。


「助けられることと、今夜引き受けるべきことは別です。明日の最初の時間を空けます。今夜は、双方に塀へ触れないよう伝えてください」


 かつて私へ向けられた言葉を返すと、オスカーはしばらく黙った。


「……規則は、人に守らせるより自分で守るほうが難しいですね」


「私も、まだ練習中です」


 船大工は翌朝の約束を受け入れ、帰っていった。オスカーも記録用紙をしまう。


 私たちは、どちらか一方が正解を教え続ける関係ではなかった。


 私の試用契約は、正式な雇用に変わった。


 同時に担当するのは三件まで。勤務は週四日。日没後の緊急依頼は、人命や火災に関わるものだけ。オスカーは条件を一つずつ読み上げ、私が理解したことを確かめてから署名した。


 休日の初めは、相変わらず何をすればよいかわからなかった。


 オスカーは、私を休ませる計画を立てなかった。ただ、自分が昼食を取るとき、ときどき声をかけた。


「市場の南側に、豆の煮込みがおいしい店があります。一緒にどうですか」


「何か、ご相談でしょうか」


「いいえ。食事だけです」


「私と食事をして、何か得るものが?」


「煮込み鍋は一人前を作ってくれません。二人なら注文できます」


 理由があまりに実際的で、私は笑った。


 笑ってから、それだけが理由ではないと気づいた。


 けれどオスカーは答えを求めなかった。私たちは豆の煮込みを分け、湖を渡る帆船を眺めた。


 仕事の話をしない一時間が、少しずつ怖くなくなった。



     ◆



 婚約破棄から二か月後、王都から三通の新聞と父の手紙が届いた。


 一面には、フェリクス殿下が二つの村を訪れた記事が載っていた。


『王太子、西岸堤防案への署名を表明。東岸住民へ移転補償』


 殿下は、人口と避難路の条件から西の村を優先し、東の村には高台への移転費を出すと決めたらしい。


 西の村からは補償費が多すぎると批判され、東の村からは故郷を見捨てたと罵られていた。


 それでも記事の中に、私の名前は一度もなかった。


 決定文の末尾には、フェリクス殿下自身の言葉が載っていた。


 選ばなかった側の損失も、自分の決定の結果として説明を続ける、と。


 別の新聞は、鉱山事故の補償決定が期限を越え、採掘再開が一月遅れたと厳しく報じていた。遺族年金は、財源を巡って議会が割れた末、三年間の試行制度として始まった。


 王国は止まっていなかった。


 ただ、これまで私の執務室の扉で隠れていた対立が、人々の目に見える場所へ出ただけだ。


 父の手紙には、三百二十七件のうち、すでに八十九件が決裁されたとあった。十四件は期限に間に合わず損失が出た。百件以上は、担当大臣が期限を改めて公示した。


 そして王家では、法的権限のない王太子妃候補へ業務を集中させた経緯の検証が始まっていた。


『お前が行った仕事の日数と、王家から侯爵家へ支払われた対価を調べた』


 父の筆跡は、途中からわずかに乱れていた。


『対価は一度もなかった。私はそれを、娘が認められている証しだと思っていた。お前の労働を誇ることで、私も使う側に立っていた。すまなかった』


 手紙を読み終えても、私はしばらく動けなかった。


 謝ってほしかったのか、自分でもわからない。


 ただ、父が初めて私の能力ではなく、私が失った時間を見た気がした。


「王都へ戻りたくなりましたか」


 向かいの机から、オスカーが尋ねた。


 市庁舎は昼休みで、ほかの書記官は食堂へ出ている。私は父の手紙をたたんだ。


「いいえ。けれど、王国が私なしで決められるなら、私はあの場所で何だったのでしょう」


「今も、ここにいるのは仕事があるからだけだと思っていますか」


「違うのですか」


「少なくとも私は、あなたに依頼する案件が一つもない日でも、一緒に食事をしたいと思っています」


 窓の外から、湖鳥の鳴き声が聞こえた。


「なぜですか」


「あなたといる時間が好きだからです」


 オスカーはそれ以上、言葉を重ねなかった。


 私が返事を作れずにいることを責めもせず、眼鏡を外して曇りを拭いた。


「今日は煮込みではなく、焼き魚にしませんか」


「……はい」


 必要だからではなく、一緒にいたい。


 そんな理由で人に選ばれることを、私はまだ信じ切れなかった。


 それでも、その日の焼き魚は、王城のどんな晩餐より温かかった。



     ◆



 婚約破棄から五か月が過ぎたころ、フェリクス殿下がレーヴェを訪れた。


 同行者は護衛二人と、ミレーヌ嬢だけだった。


 王国の使節が来るなら広間を使うところだが、殿下は市庁舎の小会議室を希望した。王城で私たちの婚約が終わった部屋と、同じくらいの広さだった。


「久しぶりだ、リディア」


「お久しぶりでございます、殿下」


 立場にふさわしい挨拶を交わし、向かい合って座る。


 殿下は少し痩せていた。


 以前なら、私は睡眠時間や食事を尋ね、王都での仕事量を推測しただろう。今はしなかった。殿下の生活を管理するのは、私の役目ではない。


 ミレーヌ嬢は淡い黄色のドレスを着ていた。王太子の隣にいるからといって、王太子妃候補の紋章は身につけていない。


「今日は、二つの用件があって来た」


 殿下は膝の上で一度手を握り、それから机へ置いた。


「最初に、謝罪をさせてほしい」


 私は黙って次の言葉を待った。


「君が冷酷だったのではない。僕たちが決めなかった結果を、君に背負わせていた。君には署名する権限がなかったのに、反対する者を納得させるところまでを君の責任にした」


 殿下は、私から目をそらさなかった。


「堤防の件で、東の村へ説明に行った。石を投げられたよ。なぜ自分たちではないのかと聞かれたとき、誰かの調整が足りなかったからだと言いたくなった」


 そこで、いったん息を継いだ。


「そのとき初めて、僕が何を君にさせていたのかわかった。僕は全員を救う案を探していたんじゃない。誰にも恨まれずに済む言葉を、君に作らせていたんだ」


 胸の奥に、昔の痛みが戻った。


 けれど今の私は、その痛みを消すために殿下を慰める必要がない。


「社交界で君が『灰色の令嬢』と呼ばれていることも知っていた。訂正しなかった。君に怒りが集まれば、王家へ向く怒りが減ったからだ。すまなかった」


 正しい謝罪だと思った。


 だからといって、聞いた瞬間に傷が消えるわけではない。


「謝罪は、確かにお聞きしました」


「許してくれとは言わない。僕にそれを求める権利がないことも、今はわかっている」


 殿下は頭を下げた。


 王太子が元婚約者へ頭を下げた事実に、勝ったという喜びは湧かなかった。


 ただ、あの雨の夜から止まっていた時計の針が、一つ動いたように感じた。


 殿下が顔を上げるまで、私は待った。


「もう一つは、王国からの正式な依頼だ」


 護衛が、封印された書類箱を机へ置いた。


「隣国との水利協定が、七か月後に更新期限を迎える。君は三年前から両国の農業組合と話していた。王国へ戻れとは言わない。三十日間だけ、外部調停人として交渉の記録と論点整理を頼みたい」


 私は書類を開いた。


 契約期間、三十日。


 勤務場所は国境の合同会議所。報酬は金貨二百枚。交渉内容への調査権と、両国の専門官を招集する権限を認める。最終決裁者は両国の水利大臣。交渉が決裂した場合も、調停人個人に賠償責任を負わせない。


 依頼を断った場合の不利益もないと明記されていた。


 以前の殿下なら、作らなかった書類だ。


「よく整えられた契約書です」


「君の返却書から学んだ」


「私が過去に行った聞き取りの記録は、すべて水利局へ返却しております。担当官も内容を確認なさったはずです」


「ああ。だが、両国の代表は君を知っている。君が来れば、話が早い」


 私は契約書を閉じた。


 条件に不足はない。


 国境の農民たちが、水を必要としていることもわかる。私が行けば、少なくとも最初の聞き取りは円滑に進むだろう。


 以前の私なら、そこで考えることをやめていた。


 困る人がいる。私には助ける能力がある。ならば引き受けるべきだ。


 今は、もう一つ問いを持っている。


 私は、引き受けたいのか。


「お断りいたします」


 殿下の顔がこわばった。


「条件に不備があっただろうか」


「いいえ。正式で、適切な依頼です」


「なら、なぜ」


「私は現在、レーヴェで二件の調停を担当しております。三十日の不在は、契約した仕事に影響します。それに、ここでの生活を中断してまで、その依頼を引き受けたいとは思いません」


「水利協定がまとまらなければ、国境の農地が――」


「フェリクス様」


 ミレーヌ嬢が、静かに遮った。


「謝罪を受け入れていただくことと、依頼を引き受けていただくことは別です」


 殿下が、はっとしたように彼女を見た。


「リディア様は、依頼を断っても不利益を受けないと書かれた契約書を読んで、お断りになりました。その返事を変えさせようと国境の方々を持ち出せば、以前と同じです」


 ミレーヌ嬢は政治を知らないと聞いていた。


 けれど、人の返事を尊重するために、専門知識は必要ないのだ。


 殿下は目を伏せた。


「……そのとおりだ。すまない」


「殿下が決めるようになったことを、私は嬉しく思います」


 私はまっすぐ、かつての婚約者を見た。


「ですが、そのご褒美として私が戻る必要はありません」


「わかっているつもりだった」


「今、おわかりになればよいのです」


 殿下は、もう一度だけ契約書へ目を落とした。そして自分の手で箱へ戻し、蓋を閉じた。


「ほかの調停人を探す。三人の候補から返事をもらっているんだ。本当は、君に頼むことを先に決めていた」


「でしたら、今度は候補の方々の条件を比べて、殿下がお選びください」


「ああ。僕が決める」


 その声に、以前のような逃げ道はなかった。


 ミレーヌ嬢は席を立つ前、私へ深く頭を下げた。


「私からも、お詫びいたします。私は何も知らないまま、フェリクス様にとって楽な場所にいました」


「あなたが私の仕事を奪ったのではありません」


「はい。ですから、あなたの代わりになるとも申しません。私は私に必要なことを学び、それから、この方との関係を決めます」


 殿下が苦笑した。


「僕は今、彼女から婚約を保留にされている」


「保留にも、期限と決裁者を記してくださいませ」


 私が答えると、ミレーヌ嬢が吹き出した。


 殿下も、少し遅れて笑った。


 それは十一年の婚約のやり直しではない。


 もう互いの人生に責任を持たない者同士が、ようやく交わせた、短い別れの笑いだった。


 二人を見送ると、廊下の窓辺でオスカーが待っていた。


「話は終わりましたか」


「はい」


「一人でお茶を飲みたいですか。それとも、誰かと湖畔を歩きたいですか」


 何があったのかも、私がどんな返事をしたのかも、先に聞かなかった。


「湖畔を歩きたいです。あなたと」


 オスカーは微笑み、私へ腕を差し出した。


 湖へ続く道で、私は依頼を断ったことを話した。


「もし私が王都へ戻ると決めていたら、どうしましたか」


「寂しいとは伝えます」


 その答えに、私は足を止めた。


「止めないのですか」


「あなたが自分で選んだなら。契約書に不利な条項がないか、一緒に確認します」


「そうですか」


「ただし、戻ってきてほしいとは言います。これは依頼ではなく、私の希望です」


 私は彼の腕へ置いた手に、少しだけ力を込めた。


「覚えておきます」


 その日、私は初めて、誰かの希望を聞いても、それを叶える責任を感じなかった。


 ただ、叶えたいと、自分で思った。


 湖畔の道が終わる前に、私は足を止めた。


「オスカー。仕事ではない話をしてもよいですか」


「もちろん」


「以前、依頼がない日でも私と食事をしたいとおっしゃいましたね。あれは、交際を望んでいるという意味でしょうか」


 彼は眼鏡の奥で目を見開き、それから耳まで赤くした。


「そのつもりでした。急かしたくなくて、続きを言えませんでした」


「私は、含まれた意味を正しく読むのは得意なはずなのですが、自分へ向けられたものは難しいようです」


「では、曖昧にしません。私はあなたに恋をしています。仕事仲間としてだけでなく、恋人として会いたい」


 胸が速く鳴った。


 正しい返事ではなく、望む返事を選ぶ。


「私も、休日にあなたと会いたいです。恋人として」


 オスカーは、契約書へ署名するときより何度も確かめるように、私の手を取ってよいかと尋ねた。


 私は笑って、自分から彼の手を握った。



     ◆



 婚約破棄から一年後。


「申し訳ありません。今月は三件を受けていますので、新しい聞き書きは来月以降になります」


 市庁舎の窓口で私が告げると、依頼人の男性は困った顔をした。


「そこを何とか、夜にでも」


「夜間の受任はいたしません。お急ぎでしたら、こちらの二名が今週中に対応できます」


 別の聞き書き人の名と料金を記した紙を渡す。


 男性はしばらく粘ったが、やがて一人を選び、そちらの窓口へ向かった。


 私は追いかけなかった。


 胸は痛まない、とはまだ言えない。


 けれど、痛んだからといって、引き受け直すことはなくなった。


 私の勤務は週四日。同時に受ける案件は三件まで。休日のうち一日は一人で過ごし、もう一日はたいていオスカーと過ごす。


 王都から届く新聞によれば、三百二十七件の保留は残り六件になっていた。長期調査が必要なものは、保留ではなく「調査継続」として、担当者と次の報告日が公示されている。


 すべての案件に決裁者と期限を記す規則も施行された。


 フェリクス殿下は今も、ときどき批判されている。


 けれど、批判された大臣や議員が、私の名を出すことはなくなった。


 ミレーヌ嬢は一年の政治教育を終えたあと、殿下からの二度目の求婚を受けたという。今度は彼女自身が決めた期限に、彼女自身が返事をした。


 その知らせを読んでも、私の胸は静かだった。


 父は一度だけ、レーヴェを訪れた。


 書類も縁談も持ってこなかった。湖畔を歩き、私が借りた小さな家で豆の煮込みを食べた。


「眠れているか」


 父が尋ねたのは、それだけだった。


「はい。近ごろは、目覚ましの鐘に気づかない日もあります」


 昔の父なら、怠けすぎだと言ったかもしれない。けれどその日は、皿へ目を落として「そうか。よかった」と答えた。


 失った十一年が戻るわけではない。短い謝罪一つで、理想の親子にもなれない。


 それでも私たちは、何を話すかをこれから選び直せるのだと思った。


「リディアさん。少し時間をもらえますか」


 夕方、オスカーが二通の書類を持ってきた。


「勤務時間は、あと半刻あります」


「一通目は仕事の話です」


 差し出されたのは、聞き書き人の養成所を作る計画書だった。


 レーヴェだけでなく、近隣の町でも、決定を肩代わりせずに話を整理できる者を育てたい。教師は私とオスカー。週二日の講義から始め、既存の仕事量を減らした分だけ報酬を補う。


 運営責任、予算、撤退条件まで記されていた。


「共同運営者になってほしいと思っています。ただし、返答期限は一月後。修正案も、拒否も受け付けます」


「検討いたします」


 私は計画書を受け取った。


「もう一通は?」


「仕事ではありません」


 オスカーは、珍しく眼鏡を外した。机へ丁寧に置いたあと、小さな紺色の箱を開く。


 中には、湖の色をした青い石の指輪があった。


「私は、あなたを愛しています」


 いつも落ち着いている声が、ほんの少し震えていた。


「迷っているあなたも、休んでいるあなたも、仕事がなくて何の役にも立たないと感じているあなたも、一緒に生きたい。私と結婚してくれませんか」


 私は反射的に、答えるための条件を探した。


 住む場所。家計の分担。養成所との関係。侯爵家への報告。彼にとって有利な返事。


「返事に期限はありません」


 オスカーが言った。


「指輪も、今は受け取らなくていい。考える時間が――」


「いいえ」


 彼の顔が強張った。


 私は慌てて首を振った。


「お断りするという意味ではありません。期限は要りません」


 正しい結婚かどうかを、誰かに決めてもらう必要はない。


 この人といると、役に立たない時間が怖くない。


 できないことを、できないと言える。


 彼の希望を叶える義務はない。それでも、同じ希望を持ちたいと私が思う。


「私も、あなたを愛しています」


 声にすると、胸の奥へ温かなものが満ちた。


「私は、あなたと家族になりたい。ですから、結婚してください」


 オスカーは何度か瞬きをした。それから、困ったように笑った。


「私が申し込んだはずなのですが」


「私からも申し込みたいのです」


「では、喜んでお受けします」


 彼は私の前にひざまずき、指輪をはめた。


 青い石は、窓の向こうの湖と同じ色に光った。


 立ち上がった彼の腕が、ためらうように私の背へ回る。私は待たずに、その胸へ自分から身を寄せた。


 触れた唇は少し震えていて、温かかった。


 三百二十七件の保留を返した日、私は何も持たなくなると思っていた。


 けれど、違った。


 誰かの代わりに引き受けていたものを手放したからこそ、自分で選べるものが残ったのだ。


 仕事も、休息も、愛する人も。


 私はもう、誰かの代わりに嫌われない。


 これから引き受けるものは、私が望み、私の名前で選んだものだけだ。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


もし、リディアとオスカーのその後や、聞き書き人として新たな案件に向き合う二人を長編で読んでみたいと思っていただけましたら、感想欄で教えていただけると嬉しいです。


皆様からの感想や評価を、長編化を検討する際の参考にさせていただきます。

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